上 下
155 / 280
ハードで楽しい深夜のお仕事

第1話

しおりを挟む
 次の日の寝覚めはあまり良くなかった。
  昨日、帰宅してから聞いたICレコーダーの影響なのか、宮地に事細かくダメ出しされる夢だった。
 撫で肩が悪いだの、鼻が低いのが悪いだの、鉛筆の持ち方、箸の持ち方…お前は僕のオカンかよ!ってツッコミ入れそうになる変な夢。
 けど…当たらずも遠からずな気がした。
 多分、何をする仕草も、憎い相手なら鼻についてしまう。
 
 どこが?何が?なんてきっと、宮地自身把握できていないのかもしれない。
 まさに目に付くし鼻について仕方ないんだ。

 だからこそ、僕が本当の理由を見つけて奴の目の前で突き付けてやらなきゃならないんだ。

 

 今朝は図書室を見に行く番だ。
 とはいえ、昨日の状態がいつもとすでに違う状態になってるから…意味がないかも。
 期待しないで行こう。
 まあ、図書室の怪人はゆっくり進めて行けばいいで。
 半分遊びなんだし、すぐに解決したら面白くない。
 紆余曲折しながら答えに辿り着くのが、謎解明の醍醐味だし。

 昼休みに片付けを理由に早川さんと話せるだけでも大きな進歩だ。

 さて駐輪場で鍵を複数掛けて、図書室前に直行だ。
 昨日の大雨のせいか、湿気で少しベトベトする空気の中、生徒用玄関からぐるっと周って図書室へ向かった。

 昨日の帰りに見た風景と変わらないはずだった。
 …けど、そこにあった風景は大幅に違和感があった。
 机の上にかけられたシートの数々…。
 雨漏りしないから、ここに書物や書類を運び込んだはずだ。
 不自然すぎる。
 窓から覗くと、シートも布製で水を弾く物ではない。
 昨日の帰りには無かった…埃除け…?
 たった1日なのに…?
 
 埃じゃなければ…何を避けようとしたんだ…?
 まさか…図書室の怪人防止…?

 ガチャガチャ。

 クソっ!鍵が掛かって中に入って、確認出来ない。

 これは…一体なんなんだ…。

 ピロリロリーン。
 
 えっ、奈落!?

『気になる事があればスマホで写真撮っておけ。
 後で、手ががりになるかも知れねぇぞ。』

 あ!ああ、そうか!

 僕は奈落のアドバイスの元、写真を数枚撮った。

 これを神谷先輩に見せて意見を聞いてみよう。
 早川さんに突き付けても、せっかく話せる仲になったっていうのに、台無しになりそうだ。
 
 しばらく、その風景を見ていたが、変化が見られなかったので、その場を立ち去り保健室に向かった。

 ピロリロリーン。

『明日、朝早くから槇ちゃんとこ行くんだろ。
 今日は早めに帰宅して十分に寝ておけよ。』

 そうだ。
 明日は仕事の本格的な始動だ。
 槇さんに迷惑かけない為にも今日の行動は、慎重にしよう。
 怪我でもして、手伝えなくなっても嫌だし。

 今日は金曜日…、保健室同盟(仮)活動もひとまず神谷先輩や土屋先輩に相談するくらいにしておこう。
 昼休みも図書室の手伝いで、図書室の怪人どころじゃないな。
 
 まぁ、奈落の言う通りに何か目に付く物があれば写真を撮ってみよう。
 これも情報だしね。


 保健室に着くと、神谷先輩が待ち侘びたように僕の目の前にすっ飛んで来た。

「おはよう!ね、ね、どうだった?図書室。
 昨日と何か変わってた?
 早く聞きたくて、ウズウズしてたんだ。」
「おはようございます。
 神谷先輩。
 とりあえず、座りましょう。」

 なんか、僕の話しを待っていてくれる人がいるなんて…嬉しくてくすぐったい気持ちになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

俺の幼馴染がエロ可愛すぎてヤバい。

ゆきゆめ
キャラ文芸
「お〇ん〇ん様、今日もお元気ですね♡」  俺・浅間紘(あさまひろ)の朝は幼馴染の藤咲雪(ふじさきゆき)が俺の朝〇ちしたムスコとお喋りをしているのを目撃することから始まる。  何を言っているか分からないと思うが安心してくれ。俺も全くもってわからない。  わかることと言えばただひとつ。  それは、俺の幼馴染は最高にエロ可愛いってこと。  毎日毎日、雪(ゆき)にあれやこれやと弄られまくるのは疲れるけれど、なんやかんや楽しくもあって。  そしてやっぱり思うことは、俺の幼馴染は最高にエロ可愛いということ。  これはたぶん、ツッコミ待ちで弄りたがりやの幼馴染と、そんな彼女に振り回されまくりでツッコミまくりな俺の、青春やラブがあったりなかったりもする感じの日常コメディだ。(ツッコミはえっちな言葉ではないです)

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

隣国に売られるように渡った王女

まるねこ
恋愛
幼いころから王妃の命令で勉強ばかりしていたリヴィア。乳母に支えられながら成長し、ある日、父である国王陛下から呼び出しがあった。 「リヴィア、お前は長年王女として過ごしているが未だ婚約者がいなかったな。良い嫁ぎ先を選んでおいた」と。 リヴィアの不遇はいつまで続くのか。 Copyright©︎2024-まるねこ

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

処理中です...