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ハードで楽しい深夜のお仕事

第1話

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 次の日の寝覚めはあまり良くなかった。
  昨日、帰宅してから聞いたICレコーダーの影響なのか、宮地に事細かくダメ出しされる夢だった。
 撫で肩が悪いだの、鼻が低いのが悪いだの、鉛筆の持ち方、箸の持ち方…お前は僕のオカンかよ!ってツッコミ入れそうになる変な夢。
 けど…当たらずも遠からずな気がした。
 多分、何をする仕草も、憎い相手なら鼻についてしまう。
 
 どこが?何が?なんてきっと、宮地自身把握できていないのかもしれない。
 まさに目に付くし鼻について仕方ないんだ。

 だからこそ、僕が本当の理由を見つけて奴の目の前で突き付けてやらなきゃならないんだ。

 

 今朝は図書室を見に行く番だ。
 とはいえ、昨日の状態がいつもとすでに違う状態になってるから…意味がないかも。
 期待しないで行こう。
 まあ、図書室の怪人はゆっくり進めて行けばいいで。
 半分遊びなんだし、すぐに解決したら面白くない。
 紆余曲折しながら答えに辿り着くのが、謎解明の醍醐味だし。

 昼休みに片付けを理由に早川さんと話せるだけでも大きな進歩だ。

 さて駐輪場で鍵を複数掛けて、図書室前に直行だ。
 昨日の大雨のせいか、湿気で少しベトベトする空気の中、生徒用玄関からぐるっと周って図書室へ向かった。

 昨日の帰りに見た風景と変わらないはずだった。
 …けど、そこにあった風景は大幅に違和感があった。
 机の上にかけられたシートの数々…。
 雨漏りしないから、ここに書物や書類を運び込んだはずだ。
 不自然すぎる。
 窓から覗くと、シートも布製で水を弾く物ではない。
 昨日の帰りには無かった…埃除け…?
 たった1日なのに…?
 
 埃じゃなければ…何を避けようとしたんだ…?
 まさか…図書室の怪人防止…?

 ガチャガチャ。

 クソっ!鍵が掛かって中に入って、確認出来ない。

 これは…一体なんなんだ…。

 ピロリロリーン。
 
 えっ、奈落!?

『気になる事があればスマホで写真撮っておけ。
 後で、手ががりになるかも知れねぇぞ。』

 あ!ああ、そうか!

 僕は奈落のアドバイスの元、写真を数枚撮った。

 これを神谷先輩に見せて意見を聞いてみよう。
 早川さんに突き付けても、せっかく話せる仲になったっていうのに、台無しになりそうだ。
 
 しばらく、その風景を見ていたが、変化が見られなかったので、その場を立ち去り保健室に向かった。

 ピロリロリーン。

『明日、朝早くから槇ちゃんとこ行くんだろ。
 今日は早めに帰宅して十分に寝ておけよ。』

 そうだ。
 明日は仕事の本格的な始動だ。
 槇さんに迷惑かけない為にも今日の行動は、慎重にしよう。
 怪我でもして、手伝えなくなっても嫌だし。

 今日は金曜日…、保健室同盟(仮)活動もひとまず神谷先輩や土屋先輩に相談するくらいにしておこう。
 昼休みも図書室の手伝いで、図書室の怪人どころじゃないな。
 
 まぁ、奈落の言う通りに何か目に付く物があれば写真を撮ってみよう。
 これも情報だしね。


 保健室に着くと、神谷先輩が待ち侘びたように僕の目の前にすっ飛んで来た。

「おはよう!ね、ね、どうだった?図書室。
 昨日と何か変わってた?
 早く聞きたくて、ウズウズしてたんだ。」
「おはようございます。
 神谷先輩。
 とりあえず、座りましょう。」

 なんか、僕の話しを待っていてくれる人がいるなんて…嬉しくてくすぐったい気持ちになった。
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