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図書室の怪人と夜のデート

第18話

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「わー!そこまでは…!
 わかんないですけど、関わってるのは間違いないんじゃないかと。
 何かしらの秘密を誰かと共有してるみたいな…。」
「確かに、1年で初めの事件に関わっていないのに、調べられるのを嫌がるってのは、それ以降の事件に関わってると思われても仕方ない。
 ふむ…。」

 神谷先輩は僕の話をし聞いて考え込んでしまった。

「じゃあ、その早川さんに直接ズバッと聞けばいいじゃない!」

 げっ…この人すごい直球だな。

 土屋先輩の意見が素直すぎて僕は、ドン引きしてしまった。

「あのね~、土屋さん。
 そんなに素直に話すくらいなら、秘密になんかしてないでしょ。
 隠すって事は、知られたくないって事だよ。
 正面切って答えられない内容だと認識するのが正解じゃないかな。
 ま、とにかく今は考えがまとまらないし、情報として受け取るよ。
 放課後にそれぞれ、やらなきゃならない事もあるし。」

 神谷先輩は土屋先輩に集中力を削がれて、不機嫌そうな声で天を仰いだ。

「なんだかなぁもう!
 謎解明なのに、解明に向かってるのかさえわからないわ。
 ま、放課後の特別任務に望みをかけるしかないわね。」

 やっぱり、神谷先輩に任せて正解だな。
 これで後は放課後の向井君との接触に集中出来る。
 
  お弁当を食べ終えて一息ついた頃、土屋先輩が唐突に変な事を言い出した。

「そういえば、あなた達彼女はいないの?」
「ブッ!」
「い、いませんよ。
 イジメられてるのにそんな余裕ありませんって!」

 神谷先輩は思わず吹き出したお茶を、慌てて布巾で拭いた。

 「つまんな~い。
 って、私も今現在は居ないけど。
 恋バナくらいあるかなってさ。」
「今現在って、過去はいたって事?
 随分と物好きだなぁ。
 どんな勇者だったの?
 妄想じゃないよね。」
「神谷先輩…いくらなんでも、ツッコミがキツイですよ。」
「失礼しちゃうわね。
 これでも中学生の時にはちゃんと居たのよ。
 彼氏!
 ちなみに、妄想じゃないから。」

 土屋先輩は腰に手を当てて、偉そうな態度で上から目線で僕と神谷先輩を見た。

「へぇ。
 それは上級生?同級生?」
「ううん。下級生よ。
 一つ年下。
 中3の春から夏までの間だけのお付き合いだったけど。」
「年下ですか…なんか土屋先輩となら、彼氏というかペットになりそうですね。」

 僕は思わず心の声を滑らせた。

「だはは!ウケる!
 有村君ナイス~!」
 「2人とも本当に失礼ね。
 これでも、告白されたのよ!
 だいたい、あなた達なんて付き合った経験すらないんでしょ。
 この高校3年の間に、なんとか彼女を作ってみなさいよ。
 青春台無しよ!」

 あ…確かに高校3年過ぎても一目惚れやら片想いすらした事ないなんてのは嫌かも。
 付き合い出来なくても、好きになる気持ちは味わいたいなぁ。
 とは言え、全然イメージ湧かないんだよな。

 女の子と触れ合った事だって…。

「ああっ!」
「何?有村君驚かせないでよ!」
「大丈夫?急に大声出して…。」
「…す、すいません。
 何でもないです。」

 僕の脳裏に、神楽さんの腰に抱きついた感触が蘇ってた。
 いやいや、これは恋愛感情じゃなくて、単に女の子慣れしてないだけだ。
 思い出すだけでドキドキする。
 本当に女の子を好きになったら、これ以上のドキドキが来るんだろうか…。
 好きになるってどんな気分なんだ?
 尊敬して、好きになる人なら沢山いるのに…恋愛はどう違うのかな…。

 あ!そういえば奈落…色々過去に失敗したって事は、一応…恋愛経験あるんだよなぁ。
 奈落の恋愛ってどんなのだろう…。
 聞きたいな…けど、槇さんいわく…利用されたりしたとか…失敗してるとか…。
 教えてくれないだろうな。
 本当は参考までに、奈落や槇さんの恋バナを是非聞いてみたいんだけど。

「確かに恋愛したくない訳じゃないけど、こればっかりは運が必要だからなぁ。
 僕の周りには、一癖も二癖もある女の子しか来ないし。
 それに女子にイジメられてるせいか、女の子の実態を知り過ぎて…後遺症が治るまで恋愛出来ないかもな…はあ。」

 神谷先輩は大きなため息をついた。

「私はステキな男子がいればすぐに飛びつくけどな。
 あーあ。
 あのピアノの美少年、あれから一切見ないのよね。
 運が無いのかしら。」
「もしかして、彼こそ怪人とか幽霊だったのかもよ。」
「確かに…異常なくらい、あれから存在を消してますよね。」
「幽霊じゃ、お付き合い出来ないじゃない!
 2人とも意地悪ね。」

 思わぬところで、3人で恋バナ(?)をしたけど、それはそれで結構楽しかった。
 浅すぎる内容だったけど…学校で恋バナするなんて…今までの僕の生活ではあり得なかったな…。
 
 僕は今現在が青春の真っ只中である事を、忘れていた自分に気が付いた。

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