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情報とは最大の武器である
第20話
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「あの…森園先輩の話しって、あんまりしちゃいけないのわかってるんですけど…、せめて写真とかありますか?
ほら、登校して来た時の事…もしここに来たら…。」
「そうよね、またここに来る可能性は高いと思うわ。
でも、私は写真持ってないのよね。
彼女、写真を撮るの嫌いなタイプだったから。
神谷君はどう?」
「あ!ゲホっ!ゴホ!ごめん、おにぎりがつかえて…。」
神谷先輩はお茶をグイッと飲んで、つかえた米を流し込んだ。
「森園さんの写真って、中学の卒業アルバムには載ってるはずだよ。
今度、スマホに送るよ。」
「ありがとうございます。」
「彼女がもし、ここに来たらあまり無理に気を遣わないでいてあげましょう。
普通にしてあげるのが1番だと思うのよね。」
「そうですね。
僕も賛成です。
腫れ物に触るような態度は相手に失礼だと思います。
登校するのだって、やっとの事なんですから、心地よく迎えてあげましょう。」
僕等3人は頷いて、心の中で約束した。
お弁当を食べ終えた神谷先輩が不意に、僕に聞いて来た。
「有村君…君の方のイジメは悪質化していないかい?」
「えっ…あ、はい。」
「いつも、僕等の話しばかりだからさ。
少しは君の辛い気持ちもぶち撒けてよ。」
「そうよ!言っちゃいなさいよ!
ここでは誰も非難しないわ!
その方がスッキリするわ!」
「あ…。」
そうだ…この2人は僕を信頼してくれてるのに、僕はまだ心を開いていなかった。
気持ちの共有をしていなかった。
情報を集める事ばかりに夢中になって…。
先輩達は僕をちゃんと信頼してくれてたのに…。
僕は自分の事ばかり…最低だ。
僕もちゃんと胸の内を言わなきゃ。
僕も先輩達を信頼してるって証明しなきゃいけない。
「実は…今朝、自転車をゴミ置場に隠されてしまって。
カゴを壊されました。」
「やだ!器物損壊じゃない!悪質!
男のくせに汚いのね!
イジメるなら正々堂々としなさいって言うの!」
「正々堂々イジメるって…何だよ土屋さん。
そうじゃないでしょう。
有村君、イジメはエスカレートしやすい。
僕が言うのも何だけど、身の危険を感じたら声を上げた方がいい。
その時は、僕もきちんと話しを聞いてる事を証言してあげるから。」
「神谷先輩…。」
ジーンと来てしまった。
先輩だし、友達とちょっと違うけど…でも、かなり気持ちが伝って来て嬉しかった。
「私も証明してあげる!
そうだ!同盟を組みましょう!
保健室同盟!」
えっ!?同盟!?
「え~ダサいな。」
「じゃあ、いい名前ある?」
「…今すぐには…有村君は?」
「僕も…いきなり過ぎて…。
とりあえず保健室同盟(仮)で。」
「わかったわ。
森園さんが来た時にでもまた名前を考えましょう。」
ガラガラ。
パタパタとサンダルの音を立てて加納先生が入って来た。
「おやおや、楽しそうですね。
ここだけでも、そうやって笑ってくれたら、僕もここを開放してる甲斐があります。」
「加納先生。
先生もお弁当ですか?」
「ああ、職員室はピリピリしてて食べた気がしないんでね。
パンとコーヒー牛乳だからまあ、味は大して変わらないんだけど…雰囲気がね。」
「じゃあ、先生もこっちで一緒に食べましょう!
同盟結成記念日を祝わなきゃ!」
「わわわ!土屋さん~。」
土屋先輩は加納先生の腕をグイグイと引っ張って、僕等の所へ引っ張って来て、ベッドに座らせた。
「加納先生が、ここを開放してくれてるんだから加納先生も保健室同盟(仮)の仲間って事でお願いしますね。」
「ほ…保健室同盟(仮)?」
「ぷぷっ!」
「くくくっ!」
僕等は吹き出しながらも、保健室同盟(仮)の経緯を説明した。
加納先生は複雑そうに苦笑いをするだけだった。
保険医という立場上、一緒に喜ぶのも変なんだろう。
けど…、この昼休みは短時間で本当に実りある話しが出来たと思う。
そして、この同盟は僕等の心の支えとなる筈だ。
僕はそう心の中で思った。
ほら、登校して来た時の事…もしここに来たら…。」
「そうよね、またここに来る可能性は高いと思うわ。
でも、私は写真持ってないのよね。
彼女、写真を撮るの嫌いなタイプだったから。
神谷君はどう?」
「あ!ゲホっ!ゴホ!ごめん、おにぎりがつかえて…。」
神谷先輩はお茶をグイッと飲んで、つかえた米を流し込んだ。
「森園さんの写真って、中学の卒業アルバムには載ってるはずだよ。
今度、スマホに送るよ。」
「ありがとうございます。」
「彼女がもし、ここに来たらあまり無理に気を遣わないでいてあげましょう。
普通にしてあげるのが1番だと思うのよね。」
「そうですね。
僕も賛成です。
腫れ物に触るような態度は相手に失礼だと思います。
登校するのだって、やっとの事なんですから、心地よく迎えてあげましょう。」
僕等3人は頷いて、心の中で約束した。
お弁当を食べ終えた神谷先輩が不意に、僕に聞いて来た。
「有村君…君の方のイジメは悪質化していないかい?」
「えっ…あ、はい。」
「いつも、僕等の話しばかりだからさ。
少しは君の辛い気持ちもぶち撒けてよ。」
「そうよ!言っちゃいなさいよ!
ここでは誰も非難しないわ!
その方がスッキリするわ!」
「あ…。」
そうだ…この2人は僕を信頼してくれてるのに、僕はまだ心を開いていなかった。
気持ちの共有をしていなかった。
情報を集める事ばかりに夢中になって…。
先輩達は僕をちゃんと信頼してくれてたのに…。
僕は自分の事ばかり…最低だ。
僕もちゃんと胸の内を言わなきゃ。
僕も先輩達を信頼してるって証明しなきゃいけない。
「実は…今朝、自転車をゴミ置場に隠されてしまって。
カゴを壊されました。」
「やだ!器物損壊じゃない!悪質!
男のくせに汚いのね!
イジメるなら正々堂々としなさいって言うの!」
「正々堂々イジメるって…何だよ土屋さん。
そうじゃないでしょう。
有村君、イジメはエスカレートしやすい。
僕が言うのも何だけど、身の危険を感じたら声を上げた方がいい。
その時は、僕もきちんと話しを聞いてる事を証言してあげるから。」
「神谷先輩…。」
ジーンと来てしまった。
先輩だし、友達とちょっと違うけど…でも、かなり気持ちが伝って来て嬉しかった。
「私も証明してあげる!
そうだ!同盟を組みましょう!
保健室同盟!」
えっ!?同盟!?
「え~ダサいな。」
「じゃあ、いい名前ある?」
「…今すぐには…有村君は?」
「僕も…いきなり過ぎて…。
とりあえず保健室同盟(仮)で。」
「わかったわ。
森園さんが来た時にでもまた名前を考えましょう。」
ガラガラ。
パタパタとサンダルの音を立てて加納先生が入って来た。
「おやおや、楽しそうですね。
ここだけでも、そうやって笑ってくれたら、僕もここを開放してる甲斐があります。」
「加納先生。
先生もお弁当ですか?」
「ああ、職員室はピリピリしてて食べた気がしないんでね。
パンとコーヒー牛乳だからまあ、味は大して変わらないんだけど…雰囲気がね。」
「じゃあ、先生もこっちで一緒に食べましょう!
同盟結成記念日を祝わなきゃ!」
「わわわ!土屋さん~。」
土屋先輩は加納先生の腕をグイグイと引っ張って、僕等の所へ引っ張って来て、ベッドに座らせた。
「加納先生が、ここを開放してくれてるんだから加納先生も保健室同盟(仮)の仲間って事でお願いしますね。」
「ほ…保健室同盟(仮)?」
「ぷぷっ!」
「くくくっ!」
僕等は吹き出しながらも、保健室同盟(仮)の経緯を説明した。
加納先生は複雑そうに苦笑いをするだけだった。
保険医という立場上、一緒に喜ぶのも変なんだろう。
けど…、この昼休みは短時間で本当に実りある話しが出来たと思う。
そして、この同盟は僕等の心の支えとなる筈だ。
僕はそう心の中で思った。
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