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『有意義』な1日をエンジョイ!

第12話

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 とりあえず控え室で小休憩した後、ショーが始まるまで、パーク内を槇さんと先輩達と共に歩く事にした。
 とはいえ、やっぱり奈落の事が気掛かりで…。
 半ば上の空で僕は皆んなに付いて歩いた。
 
 気がつくと、花魁道中が始まっていた。

「有村君も観ようよ!凄い綺麗よ!
 写真も撮って貰えるみたい!」
「土屋さん、テンション高すぎ…。
 有村君が困ってるじゃん。」

 と、言いつつ神谷先輩も少しだけテンション上がってる感じで、写真を撮る列に並んだ。

「ん…あれだけ作った顔が綺麗なのか…。
 俺には白塗りお化けにしか見えないし、逆にグロい…色気なんて感じないけどな。
 クソっ!わかんね~感覚!」
 
槇さんが頭をかきながらブツブツと呟いた。

「人間だと意識するからわからないんじゃないですか?
 ほら絵とか…造形物的な作品として観ると色が艶やかですよ。
 多分…花魁も自分が丸ごと1作品だって…ショーとして魅せてるって当時の人も…そう思ってたんだと思います。
 だから、化粧や着物がエスカレートして派手やかになったんじゃないですか。
 ほら、エンターテイメントだったんですよ。」
「およ?有村君、中々だね。
 何か俺の欲しい感覚持ってるな…。
 ん…よし!これから、色々な意見聞かせてよ。
 何ならバイト代金払うし。」
「えっ!いや!そんな…つもりじゃ。
 バイトなんて!こんなの思った事呟いただけだし!」
「それがいいんだよ!思った事が参考になる。
 とりあえず、アドレス交換しておこうか。
 ま、知り合いのお兄さん的感覚でいいから、仲良くしようよ。」
「あ、はい。僕的には嬉しいんです…でも。
 いいのかな…奈落に相談してからにします。」
「そっか…奈落の仕事相手だっけ。
 規約に違反なんてのも、困るし。
 奈落に確認してからにしよう。
 何なら、奈落を通しての連絡でも構わないし。」
「あ、はい。
 よろしくお願いします。」

 何だろう…飛び跳ねたいくらいに嬉しい!
 だって、急に奈落と合わせたら2人も、お兄さん的存在が出来た訳で…。
 奈落がどんどん…僕の運命を変えていく…モノクロだった世界を色鮮やかに塗り替えていく…まるで魔法のようだ。
 しかも…この2人はお金で寄って来た訳じゃない…。
 槇さんなんか、僕の意見をちゃんと聞いてくれて…しかも参考にしたいなんて…。
 自分を無能だとばかり思っていた僕に、少しだけ価値を与えてくれた。
 
 死ななくて…良かった…。
 奈落と出逢えて、本当に良かった。

 順番が回って来て、花魁と4人で写真を撮った。
 奈落とも、後で写真を撮ろう。
 思い切りの笑顔で…。

 1年後…側に居てくれないかも知れないから。
 今日という日を思い切り楽しんで、写真にしたい。
 まさに…青春の1ページ目を作るために。
 そこに奈落を載せたいんだ。

「お!そろそろ時間が近いな。
 中央広場に行こう!
 いい場所取らなきゃ。」

 槇さんが腕時計を見ながら、僕等を中央広場まで引っ張ってくれた。
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