230 / 280
保健室同盟(仮)と前期図書委員
第43話
しおりを挟むガラガラ!バシン!
勢いよく、保健室のドアを開けて飛び込んで来たのは、予想通りの土屋先輩だった。
「やだー!皆んな早い!
これでも、大急ぎでガンガンダッシュして来たのに~!」
「土屋さん、女の子が大股で廊下走っちゃダメだろ。
全く、これで何人の男子の夢が壊されたか…。
黙って大人しくしてれば、それなりなんだから。」
「あ~!出た!神谷君の男女差別的発言!
そんな、下らない男の幻想なんて、ゴミ箱行きでいいのよ!」
確かに神谷先輩の差別的発言は問題だけど、土屋先輩の男子扱いに比べたら、大した事ない気がしてくる…。
なんか、最近の僕の周りには、こういう気の強い女子ばかりだ…神楽さんだって、あんなに素敵な容姿を持ってるのに、あの暴言や態度で、魅力半減ってところあるし。
でも、おかげで確かに、変な幻想を抱かなくて済むかも。
女の子って、意外と男の子と大差ないって分かるし。
気が楽になる。
理想と現実は常にかけ離れてるって、納得出来る様になったし。
「ハイハイ、お二人さん。
お昼休みの時間は限られてるんですから。
小さい事でムダ使いなんて、勿体無いですよ。
僕は食べ終わりましたから、職員室に行きます。
3人でゆっくりお弁当を食べて下さい。」
「あ、はい。
すいません、加納先生。
お騒がせしました。
ほら、土屋さんも。」
「はーい。すいません。
気を付けまーす。」
「じゃあ、行くけど、誰か急患が来たら、そこの電話の内線で呼んで下さい。
では、また。」
加納先生は僕等の空気を読むかの様に、手を振りながら、席を外してくれた。
「さて!時間も限られてる事だし、食べながら、先ずはカナーシャ先生の報告の後で、昨日の感想を色々話そうか。」
神谷先輩の仕切りで、角の机を移動して、椅子を囲む様に三脚並べて、お弁当片手に僕等は話し始めた。
「えーとぉ。
カナーシャ先生に藤谷さんと直接コンタクトを取りたいって言ったんだけど、時差もあるから、質問をまとめてメールしてくれって。
カナーシャ先生経由で返信してくれるって。
そのかわり、必ず返信するように要請してくれるって。」
「ふむ、致し方ないか。
そこは妥協しよう。
返信メールを送ってくれるだけ、マシだよね。
結構、無理難題押し付けてる部分は否めないし。
相手に不自由なマネさせてまで、謎解明する程の真面目な活動でもないし。」
「ですね。
協力してくれないという訳ではないですし。
それに、そんな様子だとやっぱり、極親しい間柄の人間じゃないと、藤谷先輩との話しの擦り合わせも難しいっぽいですね。」
「そうだな、彼女が怪人に深く関わる人物であれば別だけど…。
ま、それは相関図を作ってから考えてみるか。」
「ハイハイ!私、似顔絵描いて来た!あと、前期図書委員の3人は写真があるから、ズームしたのを印刷して来たわ。」
「ワオ!土屋先輩ナイスです!
形から入るのって大事です!
さすがです!」
「でしょ!でしょ!でしょ~!」
「…あんまり、土屋さんを調子に乗せないでよ、有村君。」
お茶を一口飲んで、神谷先輩は仕切り直した。
0
お気に入りに追加
147
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
年下の婚約者から年上の婚約者に変わりました
チカフジ ユキ
恋愛
ヴィクトリアには年下の婚約者がいる。すでにお互い成人しているのにも関わらず、結婚する気配もなくずるずると曖昧な関係が引き延ばされていた。
そんなある日、婚約者と出かける約束をしていたヴィクトリアは、待ち合わせの場所に向かう。しかし、相手は来ておらず、当日に約束を反故されてしまった。
そんなヴィクトリアを見ていたのは、ひとりの男性。
彼もまた、婚約者に約束を当日に反故されていたのだ。
ヴィクトリアはなんとなく親近感がわき、彼とともにカフェでお茶をすることになった。
それがまさかの事態になるとは思いもよらずに。
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
後宮の記録女官は真実を記す
悠井すみれ
キャラ文芸
【第7回キャラ文大賞参加作品です。お楽しみいただけましたら投票お願いいたします。】
中華後宮を舞台にしたライトな謎解きものです。全16話。
「──嫌、でございます」
男装の女官・碧燿《へきよう》は、皇帝・藍熾《らんし》の命令を即座に断った。
彼女は後宮の記録を司る彤史《とうし》。何ものにも屈さず真実を記すのが務めだというのに、藍熾はこともあろうに彼女に妃の夜伽の記録を偽れと命じたのだ。職務に忠実に真実を求め、かつ権力者を嫌う碧燿。どこまでも傲慢に強引に我が意を通そうとする藍熾。相性最悪のふたりは反発し合うが──
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる