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保健室同盟(仮)と前期図書委員
第43話
しおりを挟むガラガラ!バシン!
勢いよく、保健室のドアを開けて飛び込んで来たのは、予想通りの土屋先輩だった。
「やだー!皆んな早い!
これでも、大急ぎでガンガンダッシュして来たのに~!」
「土屋さん、女の子が大股で廊下走っちゃダメだろ。
全く、これで何人の男子の夢が壊されたか…。
黙って大人しくしてれば、それなりなんだから。」
「あ~!出た!神谷君の男女差別的発言!
そんな、下らない男の幻想なんて、ゴミ箱行きでいいのよ!」
確かに神谷先輩の差別的発言は問題だけど、土屋先輩の男子扱いに比べたら、大した事ない気がしてくる…。
なんか、最近の僕の周りには、こういう気の強い女子ばかりだ…神楽さんだって、あんなに素敵な容姿を持ってるのに、あの暴言や態度で、魅力半減ってところあるし。
でも、おかげで確かに、変な幻想を抱かなくて済むかも。
女の子って、意外と男の子と大差ないって分かるし。
気が楽になる。
理想と現実は常にかけ離れてるって、納得出来る様になったし。
「ハイハイ、お二人さん。
お昼休みの時間は限られてるんですから。
小さい事でムダ使いなんて、勿体無いですよ。
僕は食べ終わりましたから、職員室に行きます。
3人でゆっくりお弁当を食べて下さい。」
「あ、はい。
すいません、加納先生。
お騒がせしました。
ほら、土屋さんも。」
「はーい。すいません。
気を付けまーす。」
「じゃあ、行くけど、誰か急患が来たら、そこの電話の内線で呼んで下さい。
では、また。」
加納先生は僕等の空気を読むかの様に、手を振りながら、席を外してくれた。
「さて!時間も限られてる事だし、食べながら、先ずはカナーシャ先生の報告の後で、昨日の感想を色々話そうか。」
神谷先輩の仕切りで、角の机を移動して、椅子を囲む様に三脚並べて、お弁当片手に僕等は話し始めた。
「えーとぉ。
カナーシャ先生に藤谷さんと直接コンタクトを取りたいって言ったんだけど、時差もあるから、質問をまとめてメールしてくれって。
カナーシャ先生経由で返信してくれるって。
そのかわり、必ず返信するように要請してくれるって。」
「ふむ、致し方ないか。
そこは妥協しよう。
返信メールを送ってくれるだけ、マシだよね。
結構、無理難題押し付けてる部分は否めないし。
相手に不自由なマネさせてまで、謎解明する程の真面目な活動でもないし。」
「ですね。
協力してくれないという訳ではないですし。
それに、そんな様子だとやっぱり、極親しい間柄の人間じゃないと、藤谷先輩との話しの擦り合わせも難しいっぽいですね。」
「そうだな、彼女が怪人に深く関わる人物であれば別だけど…。
ま、それは相関図を作ってから考えてみるか。」
「ハイハイ!私、似顔絵描いて来た!あと、前期図書委員の3人は写真があるから、ズームしたのを印刷して来たわ。」
「ワオ!土屋先輩ナイスです!
形から入るのって大事です!
さすがです!」
「でしょ!でしょ!でしょ~!」
「…あんまり、土屋さんを調子に乗せないでよ、有村君。」
お茶を一口飲んで、神谷先輩は仕切り直した。
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