私の幸せな身籠り結婚

 私、子規堂七海。婚約者であった氷織颯霞に婚約破棄されたので、新しい婚約者と結婚することにしました。
 ────鬼。
 それは人の血肉を喰らい、陽光を誰よりも嫌う者。この世界には、主に3つの世界が共存して存在していた。
 その鬼を倒す者は、昔から異能者と呼ばれ、誰よりも尊ばれてきた。異能者の家系には限りがあり、異能を持たない人間は多かった。
 炎、水、風、岩、大地、氷。
 異能には、それぞれ種類があった。
 そしてそれらの異能者の中で最もトップに君臨する王者達が、子規堂家長女、子規堂七海、氷織家当主、氷織颯霞だった。
「お初にお目にかかります。子規堂七海と申します」
 ここは、明治時代の日本───。
 有名な名家の長女である、この国で最も位の高いお嬢様、子規堂七海は、国内最高の軍隊を率いる隊長、氷織颯霞の第一婚約者となった。
 二人はお見合いの日、お互いがお互いに良い婚約者を演じた。心の中では望んでいない婚約。
 政略結婚だったのだ。
 しかし七海には、誰にも知られていないもう一つの裏の顔、そして、"秘密"を持っていた───。
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