上 下
63 / 63

エピローグ

しおりを挟む
 あの事件から10年が過ぎた。

 キーン!

「はぁ、はぁ、アリア先生、強すぎますよ!」
「私には勝てないよ。でも、前よりも強くなったね!」
「ありがとうございます!」
「次は私の相手をしてください!」
「いいよ!」

 アリアは、学校の剣術の先生として活躍している。
 誰が何を言おうと、剣術のスペシャリストであるので、生徒からも人気が高い。
 そして、4人は戦いの場にいた。

 グワァァー!!!

「ダリア、シェリー、動きを止めてください!」
「任せたまえ!(キラーン)」
「おっけぃー」

 ビリビリビリ!

「ナイスだぜ!」
「あとは、私たちでいきますよ!」
「おう!」

 シャキーン!

 グウゥゥゥ

「お疲れ様です。討伐完了です!」

 4人は、騎士団の団員として戦場に足を運んでいる。
 コンビネーションが完璧で、いつも最速で討伐してくるそうだ。
 そうして、魔王のオズはと言うと……

「先生、この技ってどうすればできますか?」
「空気に波を送るようにしてみろ」
「はい!」

 ブワァァ!

「できた! ありがとうございます!」
「僕も教えてください!」
「私も!」
「俺も!」
「1人ずつな」
「「「ありがとうございます!」」」

 オズは、人間に対して魔法を教えていた。
 もちろん、姿は魔王のままである。
 そう、今の世界では、人間と魔族が同じ場所を共有している。
 あの事件以来、人間はオズのことを信頼し、魔族との共存が認められた。
 魔族側はと言うと、魔王からの話しなどによって多くの魔族が人間界に降りてきた。

「オズ、そろそろ行くよー」
「もうそんな時間なのか。わかった」

 今日は、Sクラスのみんなと久しぶりに会うのだ。
 オズとアリアは、同じ学校にいるため。よく会っている。
 しかし、騎士団の4人とはしばらくの間、会っていない。


 ◆


「魔族が来てから、生活が一変したよな!」
「本当にみんな、楽しそうにしているよ」

 酒場で6人がお酒飲んでいる。
 オズとアリアは、転生してから初めてのお酒だ。
 魔族が来てから、人間ができないような空での活動や、肉体労働、街の治安維持など、様々な場面で魔族が活躍している。
 初めはお互いが殺されないか不安があり、謎の緊張状態が続いていたが、次第に仲良くなっていった。

「お酒には悪い思いでしかないな」
「私もだよー」


 1時間後……


「オズゥ! どうしてあなたの方が子供たちに人気なのよ!」
「子供はみんな、剣術よりも魔法が好きなんだよぉ!」
「ちょっと、2人ともそこら辺に……」
「「うるさい!!!」」
「ご、ごめんなさい……」
「あ、漏れてるぅ」

 2人はついつい飲みすぎてしまったようで、完全に酔っている。
 ダリアが仲裁に入ったが、最強の2人に圧倒されてしまい、お漏らししてしまった。

「剣術の方が魔法よりも強いわよぉ!」
「魔法に決まってるだろぉ!」
「じゃあ、今勝負しましょうぉ!」
「いいだろぅ!」

 シュン!

「2人にお酒は厳禁だったね(キラーン)」

 ドガァァン!!!

 バアァァン!!!

 ドガァァン!!!

 バアァァン!!!

 2人の激しい戦いが始まった。
 酔っていても街の人の安全は第一に考えられるようで、街から離れた場所で戦っている。
 それにも関わらず、戦いの衝撃が街まで伝わってくる。
 そうして、一歩も譲らない、激しい攻防が1時間も続いた。

「はぁ、はぁ、流石はオズね。でも、次で倒すわよ」
「はぁ、はぁ、気分が悪い。アリアの奴、私にも効く状態異常の魔法を使っているのか⁉ まずい、ここは1度みんなの元に行って、助けてもらおう」
「行くわよ!」
「まずい、来るぞ!」

 2人とも限界が来ているが、オズの方がお酒の弊害が出ている。
 しかし、オズはそれがお酒ではなく、アリアの魔法だと勘違いしている。
 一方のアリアは、次の攻撃で完全に仕留める気でいる。
 んんん? この状況、どこかで……

瞬間移動テレポート!」
「無魔法【輪廻の転生リンカーネイション】……ってあれ、これってまさか――」

 シュン!

「あれ? オズがどこかに行ったわ?」

 気が付いた時には、オズの身体はその場から消失していた。
 こうしておずは再び、最後の力を振り絞って転生魔法を行使してしまった。


 ◆


「おぎゃあ! おぎゃあ!」

 小さな村に、男の子が生まれた。

「またやってしまった……」

『泥酔魔王の過失転生』この物語は、まだ始まったばかりだ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

最弱な奴が実は最強?

レン
ファンタジー
 いわゆる『超能力』と呼ばれるものが世界に蔓延りそれを有しているのは世界に存在する人間の大半と言われる。        そんな世界で訳あって最弱の名を冠し生きている主人公がいた・・・。

まもののおいしゃさん

陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
まもののおいしゃさん〜役立たずと追い出されたオッサン冒険者、豊富な魔物の知識を活かし世界で唯一の魔物専門医として娘とのんびりスローライフを楽しんでいるのでもう放っておいてくれませんか〜 長年Sランクパーティー獣の檻に所属していたテイマーのアスガルドは、より深いダンジョンに潜るのに、足手まといと切り捨てられる。 失意の中故郷に戻ると、娘と村の人たちが優しく出迎えてくれたが、村は魔物の被害に苦しんでいた。 貧乏な村には、ギルドに魔物討伐を依頼する金もない。 ──って、いやいや、それ、討伐しなくとも、何とかなるぞ? 魔物と人の共存方法の提案、6次産業の商品を次々と開発し、貧乏だった村は潤っていく。 噂を聞きつけた他の地域からも、どんどん声がかかり、民衆は「魔物を守れ!討伐よりも共存を!」と言い出した。 魔物を狩れなくなった冒険者たちは次々と廃業を余儀なくされ、ついには王宮から声がかかる。 いやいや、娘とのんびり暮らせれば充分なんで、もう放っておいてくれませんか? ※魔物は有名なものより、オリジナルなことが多いです。  一切バトルしませんが、そういうのが  お好きな方に読んでいただけると  嬉しいです。

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

りーさん
ファンタジー
 ある日、異世界に転生したルイ。  前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。  そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。 「家族といたいからほっといてよ!」 ※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

命導の鴉

isaka+
ファンタジー
 ここはレヴァリアスという名の星。  この星に住む人類は、死しても朽ちることなく、その魂は輪廻から外れて悠久の時を刻む。  その悠久の時から死者の魂を解き放ち、再び輪廻の輪に導くことができる者を輝葬師と呼んだ。  輝葬師の才を持つ者はすべからく青い瞳を持つ。  これは、この星の運命に大きく関わることになる青い瞳の少年アスの物語。

Ag ~エイジ~ 白銀の刃

ひるま(マテチ)
ファンタジー
 人探し、迷いペット探しを専門とする探偵、田中・昌樹の元に奇妙な依頼が舞い込む。 「この匣を3ヶ月間守って欲しい」  依頼主の女性は言った。  クライアントのプライベートに踏み込むつもりは無いが、麻薬などの非合法なモノは預かれない事は承知願いたいし、差し支え無ければ匣に何が入っているのか?教えて欲しい。  依頼主の女性はマサキの問いに答えた。 「この中に、未来の私自身が入っている」  前金の1千万円と成功報酬の5千万円に目がくらんだ訳ではない。  誰がこの匣を狙っているのか?それはいずれ分かると。  匣を開けたらどうなるのか?その時点でこの依頼は失敗に終わるとだけ告げ。  あまりにも情報が少ない依頼ではあるが、マサキは他の人間に任せるのはそれこそ危険と感じ、依頼を受けることにした。  女性は“必ず貴方の力になる”とナゾの銀色の錠剤をマサキに飲ませた。  ここに契約は成立し、マサキは人知を超えた者たちから匣を守る戦いへと投げ出された。    

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

オタク教師だったのが原因で学校を追放されましたが異世界ダンジョンで三十六計を使って成り上がります

兵藤晴佳
ファンタジー
 30代の国語教師・仮屋真琴は中国兵法に詳しいTRPGオタクである。  産休臨時任用で講師を勤める高校の授業で、仮屋はそれを隠すどころか、思いっきり晒していた。  報いはてきめんに表れ、「兵法三十六計」を使った授業を生徒に嫌われた彼は契約更新を断られてしまう。  むくれる彼は田舎へ帰る次の朝、寝ぼけ眼で引っ越し屋を迎えに出た道で、行き交うダンプカーの前に歩み出てしまう。  遠のく意識のなか、仮屋の目の前に現れたのはTRPGのステータスとパラメータだった。    気が付くと、掟破りの四畳半ダンジョンの中、ゴブリンに囚われた姫君が助けを求めてくる。  姫君の名は、リントス王国の王女ディリア。  亡き先王から王位継承者として指名されたが、その条件となる伴侶のあてがないために、宰相リカルドの妨害によって城内での支持者を得られないでいた。  国内を荒らすモンスターの巣食うダンジョンを自ら制圧することで女王の器を証明しようとしていたディリアは、王家に伝わる呪文で仮屋を召喚したのだった。  その健気さに打たれた仮屋は、異世界召喚者カリヤとして、ダンジョン制圧を引き受ける。  仮屋は剣を振るう力のないオタクなりに、深いダンジョンと無数のモンスター、そして王国の内乱へと、ディープな雑学で挑んでゆく。  授業でウケなかった「兵法三十六計」は、ダンジョンのモンスターを倒すときだけでなく、ディリアの政敵への牽制にも効果を発揮するのだった。  やがて、カリヤのもとには2回攻撃の騎士団長、宮廷を追放された魔法使いと僧侶、暗殺者、街の悪党に盗賊、そしてエルフ娘にドワーフ、フェアリーにレプラホーンと、多くの仲間が集う。  いつしかディリアの信頼はカリヤへの恋に変わるが、仮屋誠は自分の齢と職業倫理で自分にブレーキをかける。  だが、その一方でエルフ娘は自分の巨乳を意識しているのかいないのか、何かというとカリヤに迫ってくる。  さらに宰相リカルドに仕える万能の側近カストは忌々しくなるほどの美少年なのに、不思議な色香で夢の中にまで現れるのだった。  剣と魔法の世界に少年の身体で転移した中年教師。  兵法三十六計でダンジョンを制圧し、王国を救えるのだろうか?    王女の恋に巨乳エルフの誘惑、美少年への劣情というハーレム展開に始末がつけられるのだろうか? (『小説家になろう』様、『カクヨム』様との重複掲載です)

処理中です...