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第50話 開幕
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「久しぶりに見たけど、やっぱり最高だな」
「そうですね。ずっと変わっていないですからね」
「結界もしっかり残ってる。魔王、やっぱり強いわ!」
「自分を褒めてどうするんですか!」
「すまない。ついつい」
オズとジークは魔王城の近くまで来た。
魔王城は、あの宴会の日から100年以上が過ぎているが、外見は何1つとして変わっていない。
そんな魔王城にオズは懐かしさを覚えながらも、未だに結界が張られていることを誇らしく思っており、そんな結界を張ったかつての自分を称賛していた。
「それより、緊張しないのですか?」
「緊張? どうしてするんだ?」
「相手はあのゼシル様です。勝てるかどうか不安に思わないのですか?」
「何言ってるんだ。勝つ以外の選択肢は許されていないぞ」
ジークはオズが故郷に帰るかのようなテンションであることが気になったようで、質問をした。
オズが勝つ以外の選択肢しかないと言ったのは、オズが負けるとみんなに被害が及んでしまい、みんなを守ることができないからである。
その気持ちが、返って落ち着きを与えてくれている。
ドガァァン!!!
2人が話していると、ゼシル以外は居るはずもない魔王城が明るく光り、大きな衝撃音が聞こえてきた。
「どうしてですか⁉ あそこにはゼシル様以外は居ないはずなのに……」
「もしかして、あいつらか……」
ジークは想定外のことが起こり、驚きを露わにしている。
一方のオズはどうしてかは分からないが、魔王城にアリアたちSクラスの5人が居ると自然と思っていた。
「私の作戦が少し狂ってしまいました……」
ジークはボソッと小さな声で呟いた。
「ジーク、何している! 早く行くぞ!」
「あ、はい!」
オズには聞こえていなかったようで、もの凄いスピードで魔王城へと向かっている。
ジークはオズに催促され、後を追いかける。
「お前ら、負けるなよ!」
オズは不安そうな表情で走っていた。
◆
「「光の槍!!!」」
魔王城では、アリアたちSクラス5人が戦いを始めていた。
ダリアとシェリーが同時に光魔法をゼシルに放つ。
「⁉」
ドガァァン!!!
完全にゼシルの不意を突いた為、ノーガードで直撃した。
埃が舞い視界が悪くなる。
ピカッ!
「攻撃が来ますよ!(キラーン)」
「瞬間移動」
ドガァァン!!!
視界の悪い中、微かに光るものが飛んできているのに気が付いたシェリーとダリアは、シェリーの瞬間移動によって間一髪で攻撃を避けた。
「危なかったぁ」
「……」
「いつの間に後ろに⁉(ギクッ)」
ゼシルは瞬間移動の先が分かっていたかのような動きで、シェリーとダリアの後ろで大きく拳を振りかぶっていた。
(ガードができなぃ。このままだと、やられてしまぅ……)
シャキン!
「っ⁉」
「お前ら、油断すんじゃねぇぞ! アリアちゃんの為に時間を稼げ!」
「連携を取りながら行きましょう」
シェリーとダリアがどうすることもできないまま居ると、ジャックがゼシルの腕を切り離した。
シュゥゥゥ
「な、なんだ⁉ 切った腕が溶けていくぞ!」
ジャックが切り落とした腕は、一瞬にして溶けて無くなった。
「相手を見てぇ。腕が治ってるぅ」
「ま、まさか、こいつまであれなのか⁉」
ゼシルの方に目をやると、その切られた腕が完全に治っている。
ダリアはこれを見て、あることに気が付いた。
「君たち、こいつは複製だ!」
「げっ、こいつもなのかよ!」
「どうしてだぁ?」
「そうなれば、ダメージの蓄積は無いですね」
相手が複製であると分かったとはいえ、4人のすることは変わらない。
「アリア、あとどのくらいですか?」
「まだ、時間が掛かりそう」
アリアの一撃が準備できるまで時間を稼ぐことが4人の役目である。
アリアは、太陽の光という技の準備をしている。
太陽の光は、身体に秘められている魔力を剣に伝えることによって、強力な一撃を与えることができるというものである。
この技を使いこなすには、魔力や剣術、才能までもが関わってくる為、現時点ではアリアしか使うことができない技である。
戦いが始まる前に準備ができればいいのだが、魔力を1点に集中させる為、相手に築かれてしまう。
その為、戦いが始まってからの準備になってしまうのだ。
「攻撃を避けながら、アリアちゃんが準備できるまで耐えるぞ!」
「「「了解!」」」
「そうですね。ずっと変わっていないですからね」
「結界もしっかり残ってる。魔王、やっぱり強いわ!」
「自分を褒めてどうするんですか!」
「すまない。ついつい」
オズとジークは魔王城の近くまで来た。
魔王城は、あの宴会の日から100年以上が過ぎているが、外見は何1つとして変わっていない。
そんな魔王城にオズは懐かしさを覚えながらも、未だに結界が張られていることを誇らしく思っており、そんな結界を張ったかつての自分を称賛していた。
「それより、緊張しないのですか?」
「緊張? どうしてするんだ?」
「相手はあのゼシル様です。勝てるかどうか不安に思わないのですか?」
「何言ってるんだ。勝つ以外の選択肢は許されていないぞ」
ジークはオズが故郷に帰るかのようなテンションであることが気になったようで、質問をした。
オズが勝つ以外の選択肢しかないと言ったのは、オズが負けるとみんなに被害が及んでしまい、みんなを守ることができないからである。
その気持ちが、返って落ち着きを与えてくれている。
ドガァァン!!!
2人が話していると、ゼシル以外は居るはずもない魔王城が明るく光り、大きな衝撃音が聞こえてきた。
「どうしてですか⁉ あそこにはゼシル様以外は居ないはずなのに……」
「もしかして、あいつらか……」
ジークは想定外のことが起こり、驚きを露わにしている。
一方のオズはどうしてかは分からないが、魔王城にアリアたちSクラスの5人が居ると自然と思っていた。
「私の作戦が少し狂ってしまいました……」
ジークはボソッと小さな声で呟いた。
「ジーク、何している! 早く行くぞ!」
「あ、はい!」
オズには聞こえていなかったようで、もの凄いスピードで魔王城へと向かっている。
ジークはオズに催促され、後を追いかける。
「お前ら、負けるなよ!」
オズは不安そうな表情で走っていた。
◆
「「光の槍!!!」」
魔王城では、アリアたちSクラス5人が戦いを始めていた。
ダリアとシェリーが同時に光魔法をゼシルに放つ。
「⁉」
ドガァァン!!!
完全にゼシルの不意を突いた為、ノーガードで直撃した。
埃が舞い視界が悪くなる。
ピカッ!
「攻撃が来ますよ!(キラーン)」
「瞬間移動」
ドガァァン!!!
視界の悪い中、微かに光るものが飛んできているのに気が付いたシェリーとダリアは、シェリーの瞬間移動によって間一髪で攻撃を避けた。
「危なかったぁ」
「……」
「いつの間に後ろに⁉(ギクッ)」
ゼシルは瞬間移動の先が分かっていたかのような動きで、シェリーとダリアの後ろで大きく拳を振りかぶっていた。
(ガードができなぃ。このままだと、やられてしまぅ……)
シャキン!
「っ⁉」
「お前ら、油断すんじゃねぇぞ! アリアちゃんの為に時間を稼げ!」
「連携を取りながら行きましょう」
シェリーとダリアがどうすることもできないまま居ると、ジャックがゼシルの腕を切り離した。
シュゥゥゥ
「な、なんだ⁉ 切った腕が溶けていくぞ!」
ジャックが切り落とした腕は、一瞬にして溶けて無くなった。
「相手を見てぇ。腕が治ってるぅ」
「ま、まさか、こいつまであれなのか⁉」
ゼシルの方に目をやると、その切られた腕が完全に治っている。
ダリアはこれを見て、あることに気が付いた。
「君たち、こいつは複製だ!」
「げっ、こいつもなのかよ!」
「どうしてだぁ?」
「そうなれば、ダメージの蓄積は無いですね」
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「アリア、あとどのくらいですか?」
「まだ、時間が掛かりそう」
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アリアは、太陽の光という技の準備をしている。
太陽の光は、身体に秘められている魔力を剣に伝えることによって、強力な一撃を与えることができるというものである。
この技を使いこなすには、魔力や剣術、才能までもが関わってくる為、現時点ではアリアしか使うことができない技である。
戦いが始まる前に準備ができればいいのだが、魔力を1点に集中させる為、相手に築かれてしまう。
その為、戦いが始まってからの準備になってしまうのだ。
「攻撃を避けながら、アリアちゃんが準備できるまで耐えるぞ!」
「「「了解!」」」
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