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第四十八話 それぞれの思い

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 愛人あいとが返ってきた次の日、俺たちは会長に呼び出されて協会へと来ている。
 そこには、俺たち三人と会長以外に、神宮寺じんぐうじさん、西野にしのさんがいた。
 恐らく、あの現場にいた者が集められているのだろう。

「それじゃあ、会議を始めようか」
「まずは彼だ。逆瀬 愛人さかせ あいとの処分についてだ」
優羽ゆう、まずはこれをどうにかしないといけないな」
「そうだね。頑張ろう!」

 初めに話題に出されたのは、愛人あいとの処分についてだ。
 これまでの間、記憶を改ざんされていたとは言え、数多くのハンターを殺したんだ、罰は何かしらはあるだろう。
 ちなみに、愛人あいとのランクの検査結果はSランクだった。
 それも、ステータスは最大となっており、Sランクの中でもかなり上位の実力だそうだ。

「私は、彼の処分を……」

 頼む、一緒に復讐をさせてくれ!

 俺は、愛人あいとと一緒に裏切り者の新宮あらみやに復讐をするため、今回の戦いに参加できるくらいの罰を願う。
 他のみんなも、同じような考えをしているだろう。

「条件付きで無しにする」
「「「…………え?」」」

 その場にいる全員が、ポカンとした顔になる。
 会長は堂々としている。

「なし、ですか? 僕は、沢山の命を奪ったのに⁉」

 愛人あいと自身は罪悪感からか、それを受け入れられないのだろうか、疑問を会長にぶつける。
 会長は、表情を変えずに言った。

「だから、条件付きだと言っているだろう」
「その条件は、何ですか?」
「それは、後に話すモンスターとの戦いで、活躍することだ。命を奪ったハンターの分まで戦うんだ」

 会長の言う条件は、新宮あらみやが言い残した、モンスターとハンターとの全面対決での活躍だった。
 愛人あいとの実力を考慮した結果なのだろう。

「そんなことでよければ、命を懸けて償って見せます」
「よろしく頼むぞ」
「よかったな、愛人あいと
「これで一緒に戦えるね!」
「ありがとう。また、よろしく」

 愛人あいとは、堂々とした様子で言った。
 復讐をする者からしたら、命を懸けるのは当たり前のことなので、容易いことだろう。

「それでは、本題に入ろうと思う」

 ―スッ

 場の空気が一瞬で締まった。
 それもそうだ、俺たちの大切なものを守る為の大事な戦いなのだから。

「恐らく、前回の時のような攻撃を仕掛けてくるだろうと思う」
「そうですね。だから、早めの避難は絶対に必要になります」
「それと、各地のハンターの招集も」
「いや、それは止めておきましょう」
しんくん、それはどうして?」

 神宮寺じんぐうじさんと西野にしのさんが、順番に話を進めていく。
 しかし、俺は西野にしのさんの提案に反論した。

「今回のモンスターたちは、本気で俺たちを滅ぼしに来ています。それならば、各地にモンスターを放出するのが妥当でしょう」
「うむ、そうだな。それでは、各地で準備をしてもらう必要があるな」

 こんな感じで、全員が意見を出し合い、残りの六日間ですべきことを決めていった。
 そうして、会議は終わりを迎えようとしていた。

「それでは、これで……」
「ちょっと待ってください! お願いがあります!」
しん?」
「何だ?」

 会議が終わろうとした時、俺は会長に言いたいことがあり、話を遮った。

「俺に、『魔王』の相手をさせてください!」

『魔王』、それは、あの日にゲートの前で指揮を執っていたモンスターのことだ。
 あいつが俺から大切なものを奪った元凶だ。
 だから、俺の手で倒さなければいけない。

「それなら、私もパパとママを殺した『ガゼル』と戦わせてください!」
「僕も! 父さんと母さんを殺した『アラン』と戦わせてください!」

 愛人あいとが言うに、『ガゼル』と『アラン』は、魔王の側近だそうだ。
 俺たちは、それぞれの復讐の相手と戦わせてもらうことをお願いした。

「会長! 流石にそれは危険すぎます!」
「俺もそう思います! 絶対にやめておくべきです!」

 西野にしのさんと神宮寺じんぐうじさんは、俺たちの提案に反対しているようだ。
 それもそうだ、モンスターの上位三体を相手にするのだから、危険は伴ってしまうだろう。

「危険なのは百も承知です! でも俺は、あいつに絶対に復讐がしたいんです!」
「私もです! お願いします!」
「僕も! お願いします!」

 俺たちは、さらに深く頭を下げてお願いをする。
 すると、会長は立ち上がって言った。

「いいだろう。ただし、絶対に勝つんだぞ」
「「「はい! ありがとうございます!」」」

 了承を貰い、俺たちは、元気な声で感謝と覚悟の返事をした。
 そうして、会議は終わった。
 次の日から準備が始められ、すぐに決戦の日を迎えた。

「やっと復讐ができるな」
「この日のために、頑張ってきたんだもんね」

 今日の決戦で、俺たちの復讐が果たされる。
 できることは全部やってきた、それをそれぞれの相手にぶつけるだけだ。
 短くも長い、俺たちの物語が終わりへと近づいている。

「絶対に勝つぞ!」
「「おう!!!」」
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