49 / 63
第四十八話 それぞれの思い
しおりを挟む
愛人が返ってきた次の日、俺たちは会長に呼び出されて協会へと来ている。
そこには、俺たち三人と会長以外に、神宮寺さん、西野さんがいた。
恐らく、あの現場にいた者が集められているのだろう。
「それじゃあ、会議を始めようか」
「まずは彼だ。逆瀬 愛人の処分についてだ」
「優羽、まずはこれをどうにかしないといけないな」
「そうだね。頑張ろう!」
初めに話題に出されたのは、愛人の処分についてだ。
これまでの間、記憶を改ざんされていたとは言え、数多くのハンターを殺したんだ、罰は何かしらはあるだろう。
ちなみに、愛人のランクの検査結果はSランクだった。
それも、ステータスは最大となっており、Sランクの中でもかなり上位の実力だそうだ。
「私は、彼の処分を……」
頼む、一緒に復讐をさせてくれ!
俺は、愛人と一緒に裏切り者の新宮に復讐をするため、今回の戦いに参加できるくらいの罰を願う。
他のみんなも、同じような考えをしているだろう。
「条件付きで無しにする」
「「「…………え?」」」
その場にいる全員が、ポカンとした顔になる。
会長は堂々としている。
「なし、ですか? 僕は、沢山の命を奪ったのに⁉」
愛人自身は罪悪感からか、それを受け入れられないのだろうか、疑問を会長にぶつける。
会長は、表情を変えずに言った。
「だから、条件付きだと言っているだろう」
「その条件は、何ですか?」
「それは、後に話すモンスターとの戦いで、活躍することだ。命を奪ったハンターの分まで戦うんだ」
会長の言う条件は、新宮が言い残した、モンスターとハンターとの全面対決での活躍だった。
愛人の実力を考慮した結果なのだろう。
「そんなことでよければ、命を懸けて償って見せます」
「よろしく頼むぞ」
「よかったな、愛人」
「これで一緒に戦えるね!」
「ありがとう。また、よろしく」
愛人は、堂々とした様子で言った。
復讐をする者からしたら、命を懸けるのは当たり前のことなので、容易いことだろう。
「それでは、本題に入ろうと思う」
―スッ
場の空気が一瞬で締まった。
それもそうだ、俺たちの大切なものを守る為の大事な戦いなのだから。
「恐らく、前回の時のような攻撃を仕掛けてくるだろうと思う」
「そうですね。だから、早めの避難は絶対に必要になります」
「それと、各地のハンターの招集も」
「いや、それは止めておきましょう」
「進くん、それはどうして?」
神宮寺さんと西野さんが、順番に話を進めていく。
しかし、俺は西野さんの提案に反論した。
「今回のモンスターたちは、本気で俺たちを滅ぼしに来ています。それならば、各地にモンスターを放出するのが妥当でしょう」
「うむ、そうだな。それでは、各地で準備をしてもらう必要があるな」
こんな感じで、全員が意見を出し合い、残りの六日間ですべきことを決めていった。
そうして、会議は終わりを迎えようとしていた。
「それでは、これで……」
「ちょっと待ってください! お願いがあります!」
「進?」
「何だ?」
会議が終わろうとした時、俺は会長に言いたいことがあり、話を遮った。
「俺に、『魔王』の相手をさせてください!」
『魔王』、それは、あの日にゲートの前で指揮を執っていたモンスターのことだ。
あいつが俺から大切なものを奪った元凶だ。
だから、俺の手で倒さなければいけない。
「それなら、私もパパとママを殺した『ガゼル』と戦わせてください!」
「僕も! 父さんと母さんを殺した『アラン』と戦わせてください!」
愛人が言うに、『ガゼル』と『アラン』は、魔王の側近だそうだ。
俺たちは、それぞれの復讐の相手と戦わせてもらうことをお願いした。
「会長! 流石にそれは危険すぎます!」
「俺もそう思います! 絶対にやめておくべきです!」
西野さんと神宮寺さんは、俺たちの提案に反対しているようだ。
それもそうだ、モンスターの上位三体を相手にするのだから、危険は伴ってしまうだろう。
「危険なのは百も承知です! でも俺は、あいつに絶対に復讐がしたいんです!」
「私もです! お願いします!」
「僕も! お願いします!」
俺たちは、さらに深く頭を下げてお願いをする。
すると、会長は立ち上がって言った。
「いいだろう。ただし、絶対に勝つんだぞ」
「「「はい! ありがとうございます!」」」
了承を貰い、俺たちは、元気な声で感謝と覚悟の返事をした。
そうして、会議は終わった。
次の日から準備が始められ、すぐに決戦の日を迎えた。
「やっと復讐ができるな」
「この日のために、頑張ってきたんだもんね」
今日の決戦で、俺たちの復讐が果たされる。
できることは全部やってきた、それをそれぞれの相手にぶつけるだけだ。
短くも長い、俺たちの物語が終わりへと近づいている。
「絶対に勝つぞ!」
「「おう!!!」」
そこには、俺たち三人と会長以外に、神宮寺さん、西野さんがいた。
恐らく、あの現場にいた者が集められているのだろう。
「それじゃあ、会議を始めようか」
「まずは彼だ。逆瀬 愛人の処分についてだ」
「優羽、まずはこれをどうにかしないといけないな」
「そうだね。頑張ろう!」
初めに話題に出されたのは、愛人の処分についてだ。
これまでの間、記憶を改ざんされていたとは言え、数多くのハンターを殺したんだ、罰は何かしらはあるだろう。
ちなみに、愛人のランクの検査結果はSランクだった。
それも、ステータスは最大となっており、Sランクの中でもかなり上位の実力だそうだ。
「私は、彼の処分を……」
頼む、一緒に復讐をさせてくれ!
俺は、愛人と一緒に裏切り者の新宮に復讐をするため、今回の戦いに参加できるくらいの罰を願う。
他のみんなも、同じような考えをしているだろう。
「条件付きで無しにする」
「「「…………え?」」」
その場にいる全員が、ポカンとした顔になる。
会長は堂々としている。
「なし、ですか? 僕は、沢山の命を奪ったのに⁉」
愛人自身は罪悪感からか、それを受け入れられないのだろうか、疑問を会長にぶつける。
会長は、表情を変えずに言った。
「だから、条件付きだと言っているだろう」
「その条件は、何ですか?」
「それは、後に話すモンスターとの戦いで、活躍することだ。命を奪ったハンターの分まで戦うんだ」
会長の言う条件は、新宮が言い残した、モンスターとハンターとの全面対決での活躍だった。
愛人の実力を考慮した結果なのだろう。
「そんなことでよければ、命を懸けて償って見せます」
「よろしく頼むぞ」
「よかったな、愛人」
「これで一緒に戦えるね!」
「ありがとう。また、よろしく」
愛人は、堂々とした様子で言った。
復讐をする者からしたら、命を懸けるのは当たり前のことなので、容易いことだろう。
「それでは、本題に入ろうと思う」
―スッ
場の空気が一瞬で締まった。
それもそうだ、俺たちの大切なものを守る為の大事な戦いなのだから。
「恐らく、前回の時のような攻撃を仕掛けてくるだろうと思う」
「そうですね。だから、早めの避難は絶対に必要になります」
「それと、各地のハンターの招集も」
「いや、それは止めておきましょう」
「進くん、それはどうして?」
神宮寺さんと西野さんが、順番に話を進めていく。
しかし、俺は西野さんの提案に反論した。
「今回のモンスターたちは、本気で俺たちを滅ぼしに来ています。それならば、各地にモンスターを放出するのが妥当でしょう」
「うむ、そうだな。それでは、各地で準備をしてもらう必要があるな」
こんな感じで、全員が意見を出し合い、残りの六日間ですべきことを決めていった。
そうして、会議は終わりを迎えようとしていた。
「それでは、これで……」
「ちょっと待ってください! お願いがあります!」
「進?」
「何だ?」
会議が終わろうとした時、俺は会長に言いたいことがあり、話を遮った。
「俺に、『魔王』の相手をさせてください!」
『魔王』、それは、あの日にゲートの前で指揮を執っていたモンスターのことだ。
あいつが俺から大切なものを奪った元凶だ。
だから、俺の手で倒さなければいけない。
「それなら、私もパパとママを殺した『ガゼル』と戦わせてください!」
「僕も! 父さんと母さんを殺した『アラン』と戦わせてください!」
愛人が言うに、『ガゼル』と『アラン』は、魔王の側近だそうだ。
俺たちは、それぞれの復讐の相手と戦わせてもらうことをお願いした。
「会長! 流石にそれは危険すぎます!」
「俺もそう思います! 絶対にやめておくべきです!」
西野さんと神宮寺さんは、俺たちの提案に反対しているようだ。
それもそうだ、モンスターの上位三体を相手にするのだから、危険は伴ってしまうだろう。
「危険なのは百も承知です! でも俺は、あいつに絶対に復讐がしたいんです!」
「私もです! お願いします!」
「僕も! お願いします!」
俺たちは、さらに深く頭を下げてお願いをする。
すると、会長は立ち上がって言った。
「いいだろう。ただし、絶対に勝つんだぞ」
「「「はい! ありがとうございます!」」」
了承を貰い、俺たちは、元気な声で感謝と覚悟の返事をした。
そうして、会議は終わった。
次の日から準備が始められ、すぐに決戦の日を迎えた。
「やっと復讐ができるな」
「この日のために、頑張ってきたんだもんね」
今日の決戦で、俺たちの復讐が果たされる。
できることは全部やってきた、それをそれぞれの相手にぶつけるだけだ。
短くも長い、俺たちの物語が終わりへと近づいている。
「絶対に勝つぞ!」
「「おう!!!」」
0
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
正義って何? ー 間違いでないけど正しくない ー
101の水輪
青春
リーダーとなるには、それなりの覚悟が伴う。見栄やファッションでなられようものなら、周りが迷惑を被ってしまう。文は中学生の話だが、むろん大人の選挙でも同じだ。章二は目立ちたい一心で、生徒会長に立候補した。別にやりたいことなどはない、ただなりたいだけだ。当然信任など受けるはずはなかったが、奇想天外な手段で思いのままに。これはフィクションだが、いつかこんな時代が来ないとも限らない。真の正義を考えて欲しい。101の水輪、第23話。なおこの作品の他に何を読むかは、101の水輪トリセツ(第77話と78話の間に掲載)でお探しください。
バイクごと異世界に転移したので美人店主と宅配弁当屋はじめました
福山陽士
ファンタジー
弁当屋でバイトをしていた大鳳正義《おおほうまさよし》は、突然宅配バイクごと異世界に転移してしまった。
現代日本とは何もかも違う世界に途方に暮れていた、その時。
「君、どうしたの?」
親切な女性、カルディナに助けてもらう。
カルディナは立地が悪すぎて今にも潰れそうになっている、定食屋の店主だった。
正義は助けてもらったお礼に「宅配をすればどう?」と提案。
カルディナの親友、魔法使いのララーベリントと共に店の再建に励むこととなったのだった。
『温かい料理を運ぶ』という概念がない世界で、みんなに美味しい料理を届けていく話。
※のんびり進行です
強引に婚約破棄された最強聖女は愚かな王国に復讐をする!
悠月 風華
ファンタジー
〖神の意思〗により選ばれた聖女、ルミエール・オプスキュリテは
婚約者であったデルソーレ王国第一王子、クシオンに
『真実の愛に目覚めたから』と言われ、
強引に婚約破棄&国外追放を命じられる。
大切な母の形見を売り払い、6年間散々虐げておいて、
幸せになれるとは思うなよ……?
*ゆるゆるの設定なので、どこか辻褄が
合わないところがあると思います。
✣ノベルアップ+にて投稿しているオリジナル小説です。
✣表紙は柚唄ソラ様のpixivよりお借りしました。
https://www.pixiv.net/artworks/90902111
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる