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第三十二話 激闘の結末は⁉

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「どうするのが最善だ? まだ、は十分ではない。まだ、時間が必要だ」
「久しぶりに本気で戦えそうだ。感謝するぜ」

 神宮寺じんぐうじさんは、本当に楽しそうな表情をしている。
 俺の表情とは対照的だ。

「本当に化け物ですね」
「言っておくがしん、お前もなかなかの化け物だぜ」
「俺は、まだまだですよ。もっと強くならないといけないんです」
「それなら、俺を倒してみな!」
「言われなくても!」

 そうして、俺たちは再び交戦する。
 俺にはスキルの回数制限があり、残っているスキルも半分以下になっている。
 一方の神宮寺じんぐうじさんは、まだまだ体力は余裕そうな雰囲気を出している。

「これを使うしかなさそうだな」
「強化スキル 【能力上限解放リミットオーバー!】」


 ~~~~~~

 能力値が向上しました

 体力  500/500
 打撃力 500/500
 防御力 500/500
 魔力  500/500 
 瞬発力 500/500

 ~~~~~~

 俺は、能力上限解放リミットオーバーによって、一時的に能力値の限界値を超えた。
 この能力値でも神宮寺じんぐうじさんには敵わないが、それでも『1』とはけた違いだろう。

「全然世界が違うな」
「連撃いくぜ!」
「拳術 【百連撃インファイト!】」
「……これだ!」

 ―セイセイセイセイセイセイ…………!!!

「うっ、ぐはっ、くっ…………」
「能力値が上がったからって、この技は耐えられねぇぞ!」

 俺は、百連撃インファイトをノーガードでひたすらやられている。
 あまりにもパンチが早すぎて、手が何十本もあるように見える。
 完全にサンドバック状態である。

しん! どうして何もしないの⁉ このままじゃ……」
「いや待て、何か変だぞ!」
「変ってどういうことですか?」
「よく見てみろ」
「……あっ!」

 ひたすら殴られているしんを見た優羽ゆうは、どうしてガードしないのか不思議そうに、そして怒り交じりに言葉にしている。
 しかし、新宮あらみやさんはしんの異変に気が付いたようだ。

「おりゃ!」

 ―バンッ!

「グハッ! はぁ、はぁ」
「どうして立っている⁉ 完全に決まったはずだ!」

 百連撃インファイトを耐えた俺は、息を切らしながら立っている。
 その姿を見た神宮寺じんぐうじさんは、俺が立てている理由がわからないようだ。

「言ったでしょ、俺の勝ちだって」
「ふざけるなよガキが! これならどうだ!」

 そう言うと、神宮寺じんぐうじさんは空手家のような構えを取った。
 そうして、全力の攻撃を仕掛けてきた。

「奥義 【鳳凰ほうおう!】」

 ―ブオォォォ!!!

 春嵐 神龍風しゅんらん かみたつかぜと同様に、今度は霊鳥の姿が目に見えた。
 しかし、威力は桁違いだということが肌で感じられる。

「俺の身体、持ってくれよ……」
「二段階スキル、『始』 蓄積セーブ!」
「何も起きてないぞ! またノーガードのつもりか! これは耐えられないぜ!」

 ―キュワァァァ!!!

 風音で鳥の鳴き声が聞こえてきた。
 まるで鳥そのものが迫ってきているようだ。
 そのまま、勢いよく俺に向かってくる。

「ぐわぁぁぁァァァ!!!」
「ハハハッ! これで俺の勝ちだな!」
「「…………」」
「どうしたんだ誠司せいじ、終わっただろ? 早く宣言しろよ」

 ―ザザザッ

「っ⁉ まさか……」
「さっきから帰りたがり過ぎですよ。いてて、これは流石にきつかったか」
「どうして生きているんだ⁉」
「まあ、スキルのお陰としか言えないですね。それじゃあ、そろそろ決着を付けましょうよ」
「いいだろう。次が最後の攻撃だ」

 ―ザッ、

「「いくぞ!!!」」
「秘儀 【一陣天風いちじんあまつかぜ!!!】」

 ―ブワァァァァァァァ!!!!!!

「二段階スキル、『終』 【反撃カウンター】!!!」

 ―ドワァァァァァァァ!!!!!!

 ―ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!

「「勝つのは俺だ!!!」」

 ―ドゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!

「まずい! しんが押されてる!」
「このまま押し切れ!」

 ―ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!

「クッ、まだ復讐は始まってすらねぇんだよ! こんなところで負けてたまるかよ! これで終わりだ!!!」
「スキル段階突破! 三段階スキル、『越』 【復讐リベンジカウンター!!!】」

 ―ドワァァァァァァ!!!

「さらに威力が増した⁉」
「くそっ、押される……」
「終わりだぁぁぁ!!!!!!」

 ―ドガァァァァァァン!!!!!!

 ……
 ……
 ……

 ―バタンッ

「勝負あり、そこまで!」

 神宮寺じんぐうじさんが倒れ、この戦いは終わった。
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