いつか忘れてしまうから

新しい生活

7

「君は可愛いからなぁ～。いやでも覚えちゃうよ。」

そうだろう？そうだろう？

シャルルは可愛いんだ。

でも、そんなにみるなよ？

シャルルが減る。　　　　　　実際、減らないけど。

今日、シャルルをここに連れてきたのは、みんなに自慢するためだった。

でも、こんなに見られると、嫌だな。

シャルルが冒険者辞めたらずっと家にいてもらおう。

ま、それよりも、

「ギルド長を早く呼べ。大事な話がある。」

シャルルに名前をつけたことを報告して、みんなに認めてもらうことも、今日、ギルドに来た理由の一つ。

名前があれば、みんなも寄ってきやすいはずだ。

冒険者は皆んな脳筋だからな。

今まで声をかけなかったのは、シャルルがいつも笑っていたから、彼らなりの気遣いだろう。

方向性を間違っているが。





「申し訳ありません。お待たせしてしまいました。何用ですか？」

「この子、俺が名前つけたんで、登録お願いします。名前はシャルル。ファミリーネームは…ルードヴィン、俺と同じで。」

「ル、ルードヴィン⁉︎ わ、わかった。いいんですね？では、登録します。
シャルルさん、この紙の上に、涙を落としてもらえますか。　　　　ありがとうございます。


シャルル　ルードヴィン、あなたはこの名前を一生大切にして、誇りを持って生きるように。自分の名前を恥じることのないよう、精一杯頑張りなさい。」




これで、彼は本当に、名無しではなくなった。

人外の子供ではなく、俺の家族。

いわゆる、結婚のようなものだ。






もう、囲う準備はできた。

いつ、堕ちてきもいいんだよ。

しっかり受け止めるからね、シャルル。