想い想われ恋い焦がれ

周乃 太葉

文字の大きさ
上 下
36 / 37

34.答え合わせ②

しおりを挟む
「ねぇ、ジュリの任期が終わったら次の赴任先に俺もついて行っていい?」

「え?でも…」

「だめ?」

「駄目じゃないけど…」

「神様の命令背くなんて俺にはできないよ?」

「ふふっ、なにそれ?」

「俺がジュリと遠距離出来ないのは神様のせい。だから、俺がジュリに付いていくのが早いでしょ?」

「仕事はいいの?」

「俺の仕事は、どこにいてもできるよ?」

「え?モー子たちは?」

「モー子達はおばちゃんの家の子だよ。俺、酪農家じゃないよ?言ってなかったっけ?」

「言ってない!」


「ははっごめんごめん。本業はこっちだよ。コレ」

イーサンは机の上の本を指差した。

机の上には

“太陽と月”

著者はサン・シェリヴ

最近話題になっている小説だった。

「えぇ!?嘘!?ウソ、ウソ~」

ジュリは信じられないほど驚いて混乱した。

あの切ない片想いを?

涙無しで読めないあの話を?

えぇぇぇ~

慌てふためくジュリの様子にイーサンは笑い、

「はははっ、だから、どこでもついて行けるんだ。ジュリは安心して好きな仕事をしてね」

ジュリはなんだか悔しくて、

「むぅ~。あなたが幸せならいいわ」

ジュリはキツくキツく抱きしめることで反撃した。
しおりを挟む

処理中です...