想い想われ恋い焦がれ

周乃 太葉

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28.悪夢

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ヘレナはふわふわした部屋でふわふわした椅子に座っていた。

“お嬢さん、何がほしい?”

どこからか囁く声が聞こえた。

これは夢…?
夢なら…

3段のイチゴのケーキ!
ローズヒップティー!

すると机の上に3段のイチゴのケーキと、ローズヒップティーが出てきた。

食べられるかな…どれどれ~

パクッ

やったー!美味しい~
なんていい夢なの。

“お嬢さん、何がほしい?”

ん~っと、

アーセルのバッグとバリバラのハイヒール!

ヘレナは雑誌で見た有名ハイブランドの物を言ってみた。

バッグと靴もポンポンと現れた。

すごーい!
どうせ夢だし~

“お嬢さん、何がほしい?”

シャリオのワンピース!
それに、ディディーのダイヤのネックレスとエラリオのルビーとサファイアの指輪
あと、あと、オリオラルのピアスとアンクレット

ポポポポーン

ヘレナが願った物が次々に出てくる。

すごーいすごーい!

ヘレナは憧れの服や宝飾品を次々と着てみた。

フワフワした空間はカバン、服、靴、宝石、流行りの物などでどんどん埋まっていった。

“お嬢さん、何がほしい?”

また声がした。

えっと…えっと…

“物だけでいいのかい?”

他もいけるの!?

じゃあ~、王子様!

ヘレナのお気に入りの作家の最新作の挿絵にあった王子様が出てきた。

カッコいい~。こんな王子様に想われたら…
私もあんな一途に想われたいなぁ~

あっ、あと、えーっと

ヘレナは、俳優、歌手、有名人など次々好みの男を出した。


“出すだけでいいのかい?”

また声が囁いた。

えっ?動くの!?

“ヘレナ”
“かわいいね”
“君しかいない”
“何でも頼って”

ヘレナ好みの美形がヘレナをチヤホヤしてくれる。

だんだんヘレナの思考がボーッとしてきた。

そうよね…

これだわ…

“そうだよ。みんな、君の可憐さの虜になる。君に傅くのは自然の摂理なんだよ”

また声が囁いた。

そう…なの…?

“ヘレナ”
“かわいいよ”
“君だけだよ”
“どんなお願いも聞いてあげるよ”

そう…

白い空間がだんだん黒く染まっていく

“ヘレナ”
“早く落ちてきて”
“僕だけだよ”
“君は正しい”

あ…

“ヘレナ”
“君のことを”
“否定するアイツらは”
“敵だ”

て…き…

“ヘレナ”
“君の敵は”
“世界の敵だ”
“倒せ”

た…おす

“ヘレナ”
“君の心を”
“捧げろ”
“世界を滅ぼせ”

さ…さげ…る

せか…い…を

ほ…ろ…ぼす

夢の空間は漆黒の闇に包まれていた。
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