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SS9

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「そういえば、ひとつ気になっていたことがあるのだけど……」

なんだよ、藪から棒に。
また得意の下ネタでもぶっこんでくるんじゃあるまいな。
そういうの、人前では程々にしてくれよ。
二人のときならいいんだけどさ、お前は大概自制が効かないんだよな。

「……うるさいわね、わかってるわよ。今回は違うわ。本当に素朴な疑問。エッチな質問はお家に帰ってからちゃんとするから安心して」

安心できる要素がひとつもないが、それも今更だな。
で?
訊きたいことってなんなんだ?
今更改まって訊くようなことなんてあったか?

「結局、白里くんのお父さんたちって何のお仕事をしているのかしら? 人の職業を訊くなんて不躾だとも思ったけれど、将来のお義父さんとお義母さんのお仕事だもの、ちょっと気になってしまうのよね」

あ~……。
なるほど、ね。
確かに、気にはなるかも。
でもなぁ、正直話しづらいし、お前相手には尚更話しづらい話題なんだよなぁ。

「……? 何よそれ。逆に気になるわ。そうまで言われてしまったら、答えてくれるまで離さないまであるわよ。公衆の面前で熱烈なアプローチを仕掛けてしまいそうになるわよ」

やめてくれ。社会的に殺される。
ただでさえ、過剰気味の積極性を加速させるな。マジでやめろ。
家まで我慢だ。オーケー?

「ん。じゃあ、答えてくれるということかしら? ……もちろん、本当に嫌なら答えなくてもいいわ。そのぶん帰ってからのスキンシップが常軌を逸したレベルになるというだけだから」

それはそれで気になるが、まぁ今は置いておこう。
別に話しづらいってだけだから話せないわけじゃない。
だから、いいんだけどさ。話したって。
……ええと、その……。人形、だよ……。

「……お人形? 意外と言えば意外だけど、それは隠すようなことかしら?」

……ええと、その、な。
人形は人形でも、その、えっとさ……。
でっかい人形なんだ。
そのうえでさ、用途がなんというか特殊というか、う~ん、あー……。

「……? 大きい? 用途が特殊……? そんなの……、あれ……? ひょっとして……?」

う。
たぶん、それだ。
そういうお人形を作る仕事なわけだ。

「ラブドール、というのかしら?」

まぁ、そうとも言うな。
白鷺母がプロデュースして、俺の母さんがデザイン、販売が親父。
そんな感じらしい。

「白里くんは家業を継ぐの?」

さぁ?
正直想像もつかないしな。
大体、俺が作りたい人形なんて、そんなにないしな。

「……あら、私そっくりの人形を作って、種付けしたいということかしら?」

誰もそこまでは言ってないだろ。

「でも、否定はしないのね」

まぁ、外れてないからな。

「ふふ、今夜は寝かさないわよ」

うるせえ。それはこっちのセリフだっての。
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