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咲くも枯らすも自分次第
第十四話 咲くも枯らすも自分次第7
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スマホを取り出し、メッセージアプリを起動する。
『岸野、おはよう。急だけど話したいことがある。出来たら電話やメッセージじゃなくて、会って話したい。今から会えないか』
と、今の気持ちをとりあえず打ち込んで指を止める。
「へぇー、岸野深雪ちゃんって言うんだ」
姉ちゃんが知らぬ間に横に来て画面を見ている。
「おい! 何覗き込んでんだよ!」
「なんて書いたのか気になって」
「……これで大丈夫かな?」
「うん。良いと思うよ。にしても、いつもお姉ちゃんにあんな偉そうな態度撮るのに、弱気だねぇ」
「弱気にだってなるだろ。まだ岸野のこと好きなんだし……」
姉ちゃんをチラっと見ると、へらぁと顔を緩めている。
「そんな顔で見るなよ!」
「だって、かわいい弟にさぁ、彼女がって思うと」
「う、うっせぇよ……!」
「ねぇねぇ、どういう出会いなの? 同級生? まさか先輩?」
「同じクラスの子で風紀委員一緒にやってて……」
「どんな子なの?」
「真面目でかわいくて、手芸が得意で……って、質問攻めしてくんなよ!」
「えー」
「別れなかった時は、ちゃんと連れてくるから……!」
そう言うと、姉ちゃんは嬉しそうに自分の席に戻り、トーストを頬張る。
「兄弟がいるというのは羨ましいものだな」
「そうですか?」
「一人は気楽だが、真綾と悠太の会話を聞くと俺にもこういう相手がいたらと思う」
「悠ちゃんはもう君彦くんの弟みたいなものだよ。ね、悠ちゃん?」
「はぁ!? まだあんたら結婚してないじゃん!」
「でも、お付き合いしている限り君彦くんは悠ちゃんのお兄ちゃんだよ」
「なんだよその理論。ぶっ飛びすぎだろ……」
三分も経たないうちにメッセージを受信したときの短い電子音が鳴る。三人で画面を見る。ホーム画面に表示された名前は、岸野だ。バクバク鳴る心臓音が聴こえる中、アプリを開いて文面を確認する。
『わかった』
この四文字が輝いて見える。
「悠ちゃん、よかったじゃん! ほらほら、早く待ち合わせ場所と時間送らなきゃだよ」
「わ、わかってる……!」
深呼吸をした後、待ち合わせ場所と時間を送る。場所は岸野の最寄り駅の近くにある公園。時間は今すぐだと迷惑だから一時間後の十一時と送る。
『じゃあ、あとでね』
とすぐに返信が来た。安心して力が抜けた。良かった。
「ほらほら、ゆっくりしてる場合じゃないでしょ?」
「おう……」
そうだ。今、部屋着だった。
自分の部屋に戻り、服を着替える。岸野と私服で会うのは初めてだな。話するからカッチリシャツとかで決めた方が良いのか……? とかいろいろ考えたけど、カレッジロゴのスウェット、デニムにした。今日ばかりはオシャレよりも着慣れた服の方が良い。
着替え終わって戻ると、姉ちゃんはロングコートを着て、君彦さんと共に玄関に向かおうとしていた。
「じゃあ、わたしは今から君彦くんのお家行くね」
「おう」
「頑張って誤解は解くんだよ」
「わかった」
「ちゃんと自分の気持ち全部伝えて……」
「わかってるって! ……なぁ、姉ちゃん」
「ん?」
「その、最近いろいろごめん……。君彦さんの言う通り、家族だからってえらそうにしたり、八つ当たりしたりしてさ……」
姉ちゃんは目を潤ませると、
「悠ちゃんはかわいいなぁ」
急に飛びついてきた。姉ちゃんにハグされるなんて何年ぶりだ? 小学生の時まではしょっちゅう抱きつかれてたけど。っていうか、顔が近い。恥ずかしくて、勢いよく顔を逸らす。
「もうすっかり悠ちゃんの方が身長高いから変な感じだなぁ」
「バカバカ! 離れろ! 君彦さんが見てるし!」
「かまわん。俺はあとでゆっくりハグする」
「そういうことじゃねぇよ!」
無理やり引き剥がしてから、
「あと、お弁当のことなんだけど……やっぱり持っていって食べたい。だから母さんにもそれとなしに……」
「わかった。深雪ちゃんのことは伏せて伝えとく」
「ありがと、姉ちゃん」
『岸野、おはよう。急だけど話したいことがある。出来たら電話やメッセージじゃなくて、会って話したい。今から会えないか』
と、今の気持ちをとりあえず打ち込んで指を止める。
「へぇー、岸野深雪ちゃんって言うんだ」
姉ちゃんが知らぬ間に横に来て画面を見ている。
「おい! 何覗き込んでんだよ!」
「なんて書いたのか気になって」
「……これで大丈夫かな?」
「うん。良いと思うよ。にしても、いつもお姉ちゃんにあんな偉そうな態度撮るのに、弱気だねぇ」
「弱気にだってなるだろ。まだ岸野のこと好きなんだし……」
姉ちゃんをチラっと見ると、へらぁと顔を緩めている。
「そんな顔で見るなよ!」
「だって、かわいい弟にさぁ、彼女がって思うと」
「う、うっせぇよ……!」
「ねぇねぇ、どういう出会いなの? 同級生? まさか先輩?」
「同じクラスの子で風紀委員一緒にやってて……」
「どんな子なの?」
「真面目でかわいくて、手芸が得意で……って、質問攻めしてくんなよ!」
「えー」
「別れなかった時は、ちゃんと連れてくるから……!」
そう言うと、姉ちゃんは嬉しそうに自分の席に戻り、トーストを頬張る。
「兄弟がいるというのは羨ましいものだな」
「そうですか?」
「一人は気楽だが、真綾と悠太の会話を聞くと俺にもこういう相手がいたらと思う」
「悠ちゃんはもう君彦くんの弟みたいなものだよ。ね、悠ちゃん?」
「はぁ!? まだあんたら結婚してないじゃん!」
「でも、お付き合いしている限り君彦くんは悠ちゃんのお兄ちゃんだよ」
「なんだよその理論。ぶっ飛びすぎだろ……」
三分も経たないうちにメッセージを受信したときの短い電子音が鳴る。三人で画面を見る。ホーム画面に表示された名前は、岸野だ。バクバク鳴る心臓音が聴こえる中、アプリを開いて文面を確認する。
『わかった』
この四文字が輝いて見える。
「悠ちゃん、よかったじゃん! ほらほら、早く待ち合わせ場所と時間送らなきゃだよ」
「わ、わかってる……!」
深呼吸をした後、待ち合わせ場所と時間を送る。場所は岸野の最寄り駅の近くにある公園。時間は今すぐだと迷惑だから一時間後の十一時と送る。
『じゃあ、あとでね』
とすぐに返信が来た。安心して力が抜けた。良かった。
「ほらほら、ゆっくりしてる場合じゃないでしょ?」
「おう……」
そうだ。今、部屋着だった。
自分の部屋に戻り、服を着替える。岸野と私服で会うのは初めてだな。話するからカッチリシャツとかで決めた方が良いのか……? とかいろいろ考えたけど、カレッジロゴのスウェット、デニムにした。今日ばかりはオシャレよりも着慣れた服の方が良い。
着替え終わって戻ると、姉ちゃんはロングコートを着て、君彦さんと共に玄関に向かおうとしていた。
「じゃあ、わたしは今から君彦くんのお家行くね」
「おう」
「頑張って誤解は解くんだよ」
「わかった」
「ちゃんと自分の気持ち全部伝えて……」
「わかってるって! ……なぁ、姉ちゃん」
「ん?」
「その、最近いろいろごめん……。君彦さんの言う通り、家族だからってえらそうにしたり、八つ当たりしたりしてさ……」
姉ちゃんは目を潤ませると、
「悠ちゃんはかわいいなぁ」
急に飛びついてきた。姉ちゃんにハグされるなんて何年ぶりだ? 小学生の時まではしょっちゅう抱きつかれてたけど。っていうか、顔が近い。恥ずかしくて、勢いよく顔を逸らす。
「もうすっかり悠ちゃんの方が身長高いから変な感じだなぁ」
「バカバカ! 離れろ! 君彦さんが見てるし!」
「かまわん。俺はあとでゆっくりハグする」
「そういうことじゃねぇよ!」
無理やり引き剥がしてから、
「あと、お弁当のことなんだけど……やっぱり持っていって食べたい。だから母さんにもそれとなしに……」
「わかった。深雪ちゃんのことは伏せて伝えとく」
「ありがと、姉ちゃん」
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