ダイアリー・ストーリー

青木 春

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計画寝坊

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筆者、ここ最近とても忙しい。学業とレポートに追われてひいひい言っていた。もはや自分のひいひい言っている声がうるさいのでイヤホンをして課題に励んだ。





そしてあんまり疲れた筆者は寝坊をすることにした。






アラームをいつもより遅くセットして、計画的に寝坊をはたらく。筆者は真面目でとても善良なので、ゴミはちゃんと分別するし、誰かを引っ掻いてしまうといけないので爪はいつも短く切っていた。






そんな配慮に配慮を塗り重ねたような性格の筆者は寝坊で遅刻などしたことがなかった。遅れて教室に入ることを想像したらワクワクした。ちょっとした冒険だった。







筆者には寝る前によく色々と考え込んでしまう癖がある。






計画的に遅くにアラームをかけると私の思い描いていた「あ、やばい。もうこんな時間!」というのができないのではないか、と思った。なんなら、計画的にアラームまでセットして寝坊というのは、インチキ寝坊なのではないか。寝坊愛護団体に怒られるのではないかと心配になった。






心配になりながらも、もうすでに瞼は落ちていた。






筆者がそんなことを考えて寝てしまったばかりに、目覚めたのは朝の5時50分だった。いつもより10分も早く起きていた。寝坊するはずが早起きすることになった。








筆者、仕方なく身支度をして学校に向かうことにした。駅のホームに着いた時、ものすごい音が鳴り響いた。





地震がくると思ってとっさに身構えた。





しかし、けたたましい音の正体は筆者のスマホから流れる目覚ましのアラームだった。隣で電車を待っていたおじさんはとても驚いた顔をしていた。本当に申し訳ない。






臆病な筆者はギリギリ急げば授業に間に合うくらいの時間にアラームをセットしていたのだ。クソ真面目な性が邪魔をして、寝坊するというちっちゃな夢も叶わず、ただ突然のアラームで知らないおじさんを驚かせただけだった。







次に寝坊する予定を立てるときは、早起きしてしまってもいいように家中にねずみ返しを設置し、
ゴキブリホイホイをフローリングに敷き詰め、
筆者がベタベタになったところでシャワーを浴びさせ時間を稼ぎ、授業に間に合わないようにするべきだな、と思った。






これだけ完璧に準備すればいける、と思った。



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