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「これも随分おいしいお酒だね。」
ヴィレムは元々お酒が強い。今日はいつにもましてハイペースでグラスを開けていっている。エレインとの喧嘩が少し堪えているのかもしれない。
「ヴィレム様、今日は随分お酒が進むようですね」
「あぁ、今日は思い切り飲みたい気分だよ。僕もエレインとこの別荘で過ごすのを楽しみにしていたんだ。二人ゆっくりで過ごせるのは久しぶりだったしね。それなのにここに来て早々怒らせてしまって……。せっかく君たちもいるというのに」
ヴィレムは大きなため息をついた。
「何が原因だったのですか?」
「原因はわからないんだ。突然、機嫌が悪くなってしまって」
「でしたら、きっと明日になれば元通りですわ。エリオット様に原因を聞きましょう」
「そうだね……。本当に自分が情けないよ」
リディアは落ち込んでいるヴィレムを見てどうにかしてあげたいと思った。けれど、リディアはどう慰めれば良いかわからない。エレインを思うヴィレムを見て、リディアは二人の様子を見に行くことを思いついた。
「ヴィレム様、二人の様子を見に行きませんか? 二人も食事が中途半端な状態で終わりましたし、何か軽く食べられるものを持って。話しかけられる状態でなければそのまま戻ってくれば良いではありませんか」
「そう、だね」
ヴィレムは弱々しく答える。
「エリオット様が上手くエレイン様の機嫌を直しているかもしれませんし。せっかくなら四人で飲んだ方が良いですよね」
「……わかった。様子を見に行こう」
リディア達は二人の様子を見に行くことにした。
***
リディア達はエリオット達がいる部屋の前までやってきた。この部屋に二人はいるはずである。
「話しかけられる状態かどうかを確かめてから改めて声をかけましょう」
「そうだね。まずは僕がそっとドアを開けて様子をみてみるよ」
「お願いします」
ヴィレムはエリオット達に気がつかれないようにドアをそっと開け、中の様子を窺う。
部屋の様子を確認したヴィレムが固まった。顔色も良くない。リディアはヴィレムのただならぬ様子に嫌な予感がした。
どうかしたのかと不思議に思ったリディアもヴィレムの側に近寄る。部屋の中からはエレインの艶めかしい声やエリオットの激しい息づかいが聞こえてくる。
(まさか、ね……)
リディアはなんとも言えない不安に駆られ部屋の中を覗こうとした。
「見ない方が良い」
強張ったヴィレムの声。それでもリディアは二人が何をしているのか知りたかった。自分の思ったことが間違いであることを祈り、恐る恐る部屋の中を覗く。
信じられないことに部屋の中の二人は行為の最中だった。リディアの目の前が真っ暗になる。
(……これはどういうことなの? どうして二人が?)
激しく愛し合う二人の様子は昨日今日の仲ではないように見えた。
(わたしとは何もしていないのに……)
エリオット達はリディア達の存在に気がつかないまま会話を始めた。
「エレイン、ヴィレムとはしてないんだろうな」
「もちろんよ。この別荘に来るまでは我慢するように言ったわ。ちゃんとわたし達の子供だって証明できるように、でしょう? エリオットこそ信じて良いのよね?」
「あぁ。これまで子供はできなかったんだ。リディアには子供は出来ないだろうが念のために、な。エレインに子供が出来てもリディアとの間に先に子供が出来ていては困る」
「お父様達に認めてもらうためにも早く子供が欲しいわ」
「そうだな。僕も早く欲しい。リディアとの間に子供が出来なかったのは幸運だったな。それにしても、エレインは本当に芝居が上手だよ」
「あら、そんなことないわ。ヴィレムにイラッとするところがあるのは本当だもの。二人きりになるためならこれくらい何でもないわ。ねぇ、ここにいる間、ずっとあなたとこうしていたい」
「僕もだよ。できるだけ二人の時間をつくろう」
二人の会話はリディアだけでなく、ヴィレムにとってもショックな内容だった。二人の会話はもう頭の中に入ってこない。
(子作りを中断しようと言ったのも、この別荘に四人で来ようと言ったのも全部このためだんだ……)
ヴィレムは元々お酒が強い。今日はいつにもましてハイペースでグラスを開けていっている。エレインとの喧嘩が少し堪えているのかもしれない。
「ヴィレム様、今日は随分お酒が進むようですね」
「あぁ、今日は思い切り飲みたい気分だよ。僕もエレインとこの別荘で過ごすのを楽しみにしていたんだ。二人ゆっくりで過ごせるのは久しぶりだったしね。それなのにここに来て早々怒らせてしまって……。せっかく君たちもいるというのに」
ヴィレムは大きなため息をついた。
「何が原因だったのですか?」
「原因はわからないんだ。突然、機嫌が悪くなってしまって」
「でしたら、きっと明日になれば元通りですわ。エリオット様に原因を聞きましょう」
「そうだね……。本当に自分が情けないよ」
リディアは落ち込んでいるヴィレムを見てどうにかしてあげたいと思った。けれど、リディアはどう慰めれば良いかわからない。エレインを思うヴィレムを見て、リディアは二人の様子を見に行くことを思いついた。
「ヴィレム様、二人の様子を見に行きませんか? 二人も食事が中途半端な状態で終わりましたし、何か軽く食べられるものを持って。話しかけられる状態でなければそのまま戻ってくれば良いではありませんか」
「そう、だね」
ヴィレムは弱々しく答える。
「エリオット様が上手くエレイン様の機嫌を直しているかもしれませんし。せっかくなら四人で飲んだ方が良いですよね」
「……わかった。様子を見に行こう」
リディア達は二人の様子を見に行くことにした。
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リディア達はエリオット達がいる部屋の前までやってきた。この部屋に二人はいるはずである。
「話しかけられる状態かどうかを確かめてから改めて声をかけましょう」
「そうだね。まずは僕がそっとドアを開けて様子をみてみるよ」
「お願いします」
ヴィレムはエリオット達に気がつかれないようにドアをそっと開け、中の様子を窺う。
部屋の様子を確認したヴィレムが固まった。顔色も良くない。リディアはヴィレムのただならぬ様子に嫌な予感がした。
どうかしたのかと不思議に思ったリディアもヴィレムの側に近寄る。部屋の中からはエレインの艶めかしい声やエリオットの激しい息づかいが聞こえてくる。
(まさか、ね……)
リディアはなんとも言えない不安に駆られ部屋の中を覗こうとした。
「見ない方が良い」
強張ったヴィレムの声。それでもリディアは二人が何をしているのか知りたかった。自分の思ったことが間違いであることを祈り、恐る恐る部屋の中を覗く。
信じられないことに部屋の中の二人は行為の最中だった。リディアの目の前が真っ暗になる。
(……これはどういうことなの? どうして二人が?)
激しく愛し合う二人の様子は昨日今日の仲ではないように見えた。
(わたしとは何もしていないのに……)
エリオット達はリディア達の存在に気がつかないまま会話を始めた。
「エレイン、ヴィレムとはしてないんだろうな」
「もちろんよ。この別荘に来るまでは我慢するように言ったわ。ちゃんとわたし達の子供だって証明できるように、でしょう? エリオットこそ信じて良いのよね?」
「あぁ。これまで子供はできなかったんだ。リディアには子供は出来ないだろうが念のために、な。エレインに子供が出来てもリディアとの間に先に子供が出来ていては困る」
「お父様達に認めてもらうためにも早く子供が欲しいわ」
「そうだな。僕も早く欲しい。リディアとの間に子供が出来なかったのは幸運だったな。それにしても、エレインは本当に芝居が上手だよ」
「あら、そんなことないわ。ヴィレムにイラッとするところがあるのは本当だもの。二人きりになるためならこれくらい何でもないわ。ねぇ、ここにいる間、ずっとあなたとこうしていたい」
「僕もだよ。できるだけ二人の時間をつくろう」
二人の会話はリディアだけでなく、ヴィレムにとってもショックな内容だった。二人の会話はもう頭の中に入ってこない。
(子作りを中断しようと言ったのも、この別荘に四人で来ようと言ったのも全部このためだんだ……)
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