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3.アイドルになるために頑張ります
3-6.
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曲を楽譜におこす作業は順調に進んでいた。そもそも最初からそんなに曲数が必要なわけでもない。特に耳に残る曲を繰り返し聴いてもらって思わず口ずさんでしまうような感じにしたい。
わたしとしては自身のデビュー曲で改めてデビューしたいところではあるけれど、耳馴染みの良い曲を何曲か用意して意見を聞いて決めたい。
皆に受け入れてもらうことの方が重要だものね。
曲と平行して考えなければいけないことがある。
アイドルには可愛い衣装が欠かせない。そう、衣装は大事。
よくよく考えればこの世界、きっと衣装が出来上がるまでに時間がかかるはず。
デザインもこの世界に受け入れられるようなものにしないといけないだろう。
試しに何着か書いてみてリネットに意見を聞こうと思う。
わたしはペンを取り衣装の絵を描くことにした。さらさらとペンを走らせていく。
「レティシア様、今度は何をなさっているのですか?」
「衣装の絵を描いているの。アイドルには可愛い衣装が必須だから」
何度か書き直し、それっぽい絵が出来上がる。衣装のデザイン案は前世でも出したことがある。絵はそこまで苦手ではない。家が傾く前のわたしは習い事漬けで忙しかった。たくさんある習い事の一つに絵もあったのだ。
小さい頃は習い事だらけでちょっとつらかったけれど、お父さん、お母さんありがとう。おかげで今、自分のやりたいことができそうです。
わたしは前世の両親に感謝した。
完成した衣装の絵をリネットに見せる。
「どうかしら、リネット」
「…………」
「どう?」
「駄目です。破廉恥すぎます」
「え? 破廉恥? どの辺が?」
「全体的にです。全体的に露出が多すぎます。しかもこんなに足を出すなんて……」
「でも、小さい子供なら問題ないでしょう?」
「これ、生足ですよね? それに何歳までアイドルをするつもりですか? 却下です」
「そんな……」
思いの外強い却下だった。
スカート丈は気持ち長めにしたつもりだったのに。
そんなに足を出すのが駄目な世界なの? 学園でもちょっと長めのスカートが制服だったと思うのだけど……。
わたしはなんとか受け入れてもらえるようにデザインを見直すことにした。
足はタイツで隠して長めのブーツに。スカート部分は薄い布で裾を長くする。首も薄い布を足してハイネックにした。
腕もなるべく肌を見せない方が良いのかな。
手も長めのグローブにした。これで、露出はかなり控えめになった。というか殆どない。
これだと、衣装のバリエーションが無くなっちゃうよ。
……うん。少しずつ肌の部分は出していこう……。
「これならどうかしら?」
「先ほどよりは……。衣装に関しては旦那様や奥様を交えてしっかり話し合いましょう」
えっ、なんか怖い……。
リネットにしては珍しくかなり強い口調だ。
わたし自身がお金を持っているわけではない。スポンサーであるお父様たちがOKを出さなければ実現しないのはわかっている。多少のことは我慢しよう。
リネットはわたしがアイドルになること、やっぱり反対なのかしら……。
「ねぇ、リネットはやっぱりわたしがアイドルになることは反対なの? わたしのやりたいことは応援してくれるって言っていたけれど……」
「反対なわけではありません。ただ、心配なのです。もし、正体がレティシア様だとばれた時どうなってしまうのか……。少々笑われるくらいですめば問題ありません。あまりに露出の多い衣装では何を言われるか……。侯爵令嬢としての未来が閉ざされてしまったらと思うと心配です」
「そっか……そうだよね。ばれた時に困らないように気をつけます」
「わかっていただけたようで嬉しいです」
リネットはわたしの将来を心配してくれているが、お父様やお母様にも迷惑をかけるかもしれない。リネットの心配はちゃんと忘れないようにしよう。
わたしは衣装に関してもちゃんとお父様たちの意見を取り入れようと思った。
わたしとしては自身のデビュー曲で改めてデビューしたいところではあるけれど、耳馴染みの良い曲を何曲か用意して意見を聞いて決めたい。
皆に受け入れてもらうことの方が重要だものね。
曲と平行して考えなければいけないことがある。
アイドルには可愛い衣装が欠かせない。そう、衣装は大事。
よくよく考えればこの世界、きっと衣装が出来上がるまでに時間がかかるはず。
デザインもこの世界に受け入れられるようなものにしないといけないだろう。
試しに何着か書いてみてリネットに意見を聞こうと思う。
わたしはペンを取り衣装の絵を描くことにした。さらさらとペンを走らせていく。
「レティシア様、今度は何をなさっているのですか?」
「衣装の絵を描いているの。アイドルには可愛い衣装が必須だから」
何度か書き直し、それっぽい絵が出来上がる。衣装のデザイン案は前世でも出したことがある。絵はそこまで苦手ではない。家が傾く前のわたしは習い事漬けで忙しかった。たくさんある習い事の一つに絵もあったのだ。
小さい頃は習い事だらけでちょっとつらかったけれど、お父さん、お母さんありがとう。おかげで今、自分のやりたいことができそうです。
わたしは前世の両親に感謝した。
完成した衣装の絵をリネットに見せる。
「どうかしら、リネット」
「…………」
「どう?」
「駄目です。破廉恥すぎます」
「え? 破廉恥? どの辺が?」
「全体的にです。全体的に露出が多すぎます。しかもこんなに足を出すなんて……」
「でも、小さい子供なら問題ないでしょう?」
「これ、生足ですよね? それに何歳までアイドルをするつもりですか? 却下です」
「そんな……」
思いの外強い却下だった。
スカート丈は気持ち長めにしたつもりだったのに。
そんなに足を出すのが駄目な世界なの? 学園でもちょっと長めのスカートが制服だったと思うのだけど……。
わたしはなんとか受け入れてもらえるようにデザインを見直すことにした。
足はタイツで隠して長めのブーツに。スカート部分は薄い布で裾を長くする。首も薄い布を足してハイネックにした。
腕もなるべく肌を見せない方が良いのかな。
手も長めのグローブにした。これで、露出はかなり控えめになった。というか殆どない。
これだと、衣装のバリエーションが無くなっちゃうよ。
……うん。少しずつ肌の部分は出していこう……。
「これならどうかしら?」
「先ほどよりは……。衣装に関しては旦那様や奥様を交えてしっかり話し合いましょう」
えっ、なんか怖い……。
リネットにしては珍しくかなり強い口調だ。
わたし自身がお金を持っているわけではない。スポンサーであるお父様たちがOKを出さなければ実現しないのはわかっている。多少のことは我慢しよう。
リネットはわたしがアイドルになること、やっぱり反対なのかしら……。
「ねぇ、リネットはやっぱりわたしがアイドルになることは反対なの? わたしのやりたいことは応援してくれるって言っていたけれど……」
「反対なわけではありません。ただ、心配なのです。もし、正体がレティシア様だとばれた時どうなってしまうのか……。少々笑われるくらいですめば問題ありません。あまりに露出の多い衣装では何を言われるか……。侯爵令嬢としての未来が閉ざされてしまったらと思うと心配です」
「そっか……そうだよね。ばれた時に困らないように気をつけます」
「わかっていただけたようで嬉しいです」
リネットはわたしの将来を心配してくれているが、お父様やお母様にも迷惑をかけるかもしれない。リネットの心配はちゃんと忘れないようにしよう。
わたしは衣装に関してもちゃんとお父様たちの意見を取り入れようと思った。
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