恋まで0センチメートル

高羽流生

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「いや、マジきつい……」

 湯を腹の中に入れて、排出する。繰り返してやっとの思いでトイレから脱出してきた雄大は、のろのろと洗面器を風呂場に戻した。

 試してみる、と意気込んでいたけれど、気力が一気に失われた感じだ。

(やる前にこんなしんどいとかある?)

 女の子とエッチするときとは段取りが違いすぎる。まあ、女子とするときには雄大は入れる側なのだから、違うのは当たり前なのだけれど、とにかく準備が恐ろしく大変だった。

「はぁ……。やるか」

 しばらくの間、ベッドに転がって放心状態となっていた雄大だったが、男同士でしている人もいっぱいいるのだ。あまり聞いたことはないけれど、している人がいるのだから、しんどいだけではないはずだ、と気を取り直して雄大は起き上がった。

(まずは、これか)

 買ってきたグッズの中から、チューブ型の入れ物を手に取り、ふたを開けてみる。入れ物を押してみると、ぬるりとした液体が先から垂れてきた。

「うわっ……、あぶね……。って、そっか、服、服脱いだほうがいいな」

 零れ落ちそうになった液体を手で受け止め、入れ物をテーブルに置いてティッシュを抜き取る。ぬるぬるとした液体をティッシュで拭って、雄大はズボンと下着を下ろした。ジェルの入れ物を手に、ベッドに横になる。足を開いて、そっとジェルを後孔につけてみた。

「っ……」

 冷たくて、気持ち悪い。こわごわ尻の穴を指先でなぞって、そっと指の先を入れてみる。

「ぅ……、っ……」

 ほんの少し、指先を入れただけなのに、異物感がある。指を抜き取り、ジェルを足してもう一度中に突っ込んでみたが、とてもではないが気持ちいいとは思えなかった。

 わかりやすく表現するなら、座薬を入れられている感覚だ。思っていたより不快感が強い。うぅ、と呻きながら、指を抜き差ししてみる。

 雄大は初心者なのだ。サイトにもはじめは違和感があったり、異物感があったりするかもしれないと書いてあったし、いきなり初日から気持ちよくはなれないのだろう。

(やっぱ、ケツだけじゃ無理だよな)

 後孔に入れていた指を抜いて、少し起き上がった雄大は、携帯に手を伸ばした。もう一度サイトを開き、確認してみる。

(最初はあんま、動かさないほうがいいのか)

 説明どおりに指を入れて、止める。携帯をベッドに置いて、右手で雄を撫でてみた。当たり前だが、自慰をしたことくらいある。雄を掴んでゆるゆると扱いてみたら、慣れた心地よさがやってきた。

 ふにゃりとしていた雄大の雄は、手を動かすのに合わせてむくむくと大きくなってくる。雄が完全に勃ち上がって、雄大が息をつめたとき、自然と尻の穴が締まった。

「んっ……」

 中に入っていた指がきゅっと締めつけられる。おそるおそる指で中を弄ってみたら、ぞわりとした不思議な感覚がした。気持ち悪いとも違うし、気持ちいいとも違うのだけれど、なんというか腰が引ける感じだ。

「ぅ、ぁ……、はっ、っ……」

 右手で雄を扱きながら、指をくいくいと動かしてみる。まだ、気持ちいいとは思えない。けれど、雄はもう限界に近づいていた。

「っ、あぁっ……、っ――、は、ぁ……」

 達することができそうだ、と感じた瞬間、尻に力が入った。ぎゅうと強く指が締めつけられる。びくりと身体を丸めて、手の中に精を吐き出す。尻に入れていた指も抜き取って、汚れた手をティッシュで拭いた。

「……うん。まあまあ、かな」

 むくりと起き上がって雄大は言った。

 達することができたのは、雄を触っていたからだ。尻の感覚だけではどう考えても気持ちよくはなれない。けれど一瞬、ほんの一瞬だけれど、達した瞬間に中に入れていた指を強く感じた。どう表現すればいいのかはわからないが、今までに味わったことのない独特の感覚だった。快感とまではいかないが、悪くはなかった、ように思う。

(手、洗いにいこ。……てか、次伊織いつ休みだろ?)

 立ち上がった雄大は、練習すればよくなるのかな、などと思いながら風呂場に向かった。

***

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