上 下
16 / 57
第2章

8話 【新たな出会いと別れ】

しおりを挟む
『希和、おやりなさい。大丈夫。あなたならできるし、あなたがったという痕跡は、これっぽっちも残らない。被害者の遺族も加害者の家族も、犯人の死を望んでいる。それに、犯人自身の心も覗いてみたら、極刑を望んでいたんでしょう? 大丈夫、あなたのおばあちゃんが知って悲しまないよう、私がわからないようにガードします』
 突然、別の女性が希和の頭の中に飛び込んできて言った。
『あなたは……誰?』
 新しく現れたその女性は、希和の心の中の声を無視するかのように話を続けた。
『わかっていると思うけれど、あなたの力はケガや事故を誘発する程度なら、あなたの体力を消耗するだけですみます。でも、人ひとりを死に追いやるには、それ相応の犠牲が伴います』
『えっ? 犠牲……?』
 希和は驚きの反応をした。
『そう、その犯人の寿命を奪うわけだから、犯人と同じだけの寿命が必要となるのです』
 突然現れた謎の女性は、希和を優しく見つめて説明した。
『そうよっ。もし犯人の寿命があと五十年だとしたら、殺すには五十年分の別の人の寿命が必要なのです。』
 と、謎の女性が言った。
『それじゃあ……』
 希和はそれを聞いて無理だと諦めかけた。
『あなたが犯人の死を念じると、あなたの寿命が持っていかれるのですよ』
 その女性の瞳が、心なしか潤んでいるように見えた。
『命がけなんですね』
 希和はつぶやいた。
『できるものならば、私の命を使って欲しかったけれど……』
 不思議な女性が答えた。
『希和ちゃん、そう言えばあの母親……。犯人の母親だけれど、留美の葬式があった日、夜こっそりとお参りに来て、「できることなら私の命をあげますから、どうか許してください」とか言っていたわよ』
 と、留美の母親が思い出したように言った。
『まったく、あんな人の命をもらったって、うちの留美は生き返らないわよ!』
 留美の母親は呆れ返るように吐き捨てた。
 その言葉を受けて、不思議な女性は、
『希和、犯人の母親の命を使わせてもらいなさい。この犯人は、このまま生き延びたとしても、二度と更生できません。そして、犯人の母親も犯人にも"生きよう"という気力が微塵も感じられない』
 と、全てを見透かしているかのように、希和に助言を与えた。
 しばらくして皆が納得すると、希和は静かに布団の上に正座し、両手を胸の前で合わせると、シャーマンの力を解放し犯人の死を念じ、最後の言葉を放った。
『死ぬほど反省してください』
 その後、希和は大きな睡魔に襲われ、深い深い眠りに入っていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。 実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

おむつオナニーやりかた

rtokpr
エッセイ・ノンフィクション
おむつオナニーのやりかたです

処理中です...