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ヘンリエッタとの出会い③
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「そういうお前は? 俺が名乗ったんだから、当然お前も名乗るよな」
「んー、なににしようかな。謎の少女Xだから、エックスちゃん? いや、ちょっとセンシティブかな。セックスと発音が似ているから」
「は? 『なににしよう?』 お前――」
「じゃあ、そうだな、ヘンリエッタって呼んでよ。かわいいでしょ? ヘンリエッタ。日本人じゃ絶対有り得ないけど、それでいて、ついつい口にしたくなるこの感じ、とってもよくない?」
「いや、なんで偽名なんだよ。やましいことでもしたのかよ」
「してないよー。だって本名よりも、呼ばれたい名前で呼ばれた方が嬉しいでしょ? だから、あたしはヘンリエッタ。今後はそう呼んでね」
さらりと言ってのけ、白い歯をこぼす。
「君の呼び名は、本名が飯野裕太だから――うん、裕太がいいかな」
「おい、なに勝手に決めてんだ」
「いいじゃない、下の名前呼び捨て。そんなことより、裕太」
「だから勝手に――」
「裕太にはもう一つ、あたしに訊きたいことがあると思うから、先回りして答えちゃうね。あたしが裕太の部屋に来たのはね、あたしに何日か分の寝床と食事を提供してほしいから。早い話が、期間限定で養ってほしいということね」
ヘンリエッタを名乗る少女は、演技がかった手つきで髪の毛をかき上げる。舞い上がった甘美な人工の香りは、シャンプーの残り香? それとも、香水をつけている? 腰に届くほど長いピンク色の髪は、ただ長いだけではなく、艶やかさとボリュームを兼ね備えていて、異性に縁遠かった異性愛者の男を否応なしに惹きつける。疑問とクレームをぶつけるつもりが、反抗的な言葉を発する気力を失ってしまった。さらには、少女から目を離せない。
「そういうわけだから、短い間かもしれないけど、よろしくね」
……なんなんだ。なんなんだよ、こいつは。
「んー、なににしようかな。謎の少女Xだから、エックスちゃん? いや、ちょっとセンシティブかな。セックスと発音が似ているから」
「は? 『なににしよう?』 お前――」
「じゃあ、そうだな、ヘンリエッタって呼んでよ。かわいいでしょ? ヘンリエッタ。日本人じゃ絶対有り得ないけど、それでいて、ついつい口にしたくなるこの感じ、とってもよくない?」
「いや、なんで偽名なんだよ。やましいことでもしたのかよ」
「してないよー。だって本名よりも、呼ばれたい名前で呼ばれた方が嬉しいでしょ? だから、あたしはヘンリエッタ。今後はそう呼んでね」
さらりと言ってのけ、白い歯をこぼす。
「君の呼び名は、本名が飯野裕太だから――うん、裕太がいいかな」
「おい、なに勝手に決めてんだ」
「いいじゃない、下の名前呼び捨て。そんなことより、裕太」
「だから勝手に――」
「裕太にはもう一つ、あたしに訊きたいことがあると思うから、先回りして答えちゃうね。あたしが裕太の部屋に来たのはね、あたしに何日か分の寝床と食事を提供してほしいから。早い話が、期間限定で養ってほしいということね」
ヘンリエッタを名乗る少女は、演技がかった手つきで髪の毛をかき上げる。舞い上がった甘美な人工の香りは、シャンプーの残り香? それとも、香水をつけている? 腰に届くほど長いピンク色の髪は、ただ長いだけではなく、艶やかさとボリュームを兼ね備えていて、異性に縁遠かった異性愛者の男を否応なしに惹きつける。疑問とクレームをぶつけるつもりが、反抗的な言葉を発する気力を失ってしまった。さらには、少女から目を離せない。
「そういうわけだから、短い間かもしれないけど、よろしくね」
……なんなんだ。なんなんだよ、こいつは。
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