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リーフの意見
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「襲ってこなくなるのか、襲ってきてもイナに対してなにもできないのか。そこのところは――すみません、私には判断がつきません。しかし、いずれにせよ、怪物たちを排除する方法を見つけておくべきではあるのかな、という気はします。その方法は、イナはもう分かっていますよね。消すのです。私はナイフで刺したり切ったり突いたりして殺していますが、イナはただ消せばいい。数ある破壊の手段の中で、イナは最もそれを得意としているのだから、その方法を極めるべきです」
「そう簡単にできるの? 怪物、消しにくいんでしょ?」
「慣れればできると思いますよ。慣れさえすれば、難しい仕事も、簡単ではないかもしれませんができるようになります。それは責任を持って断言します」
「慣れればできる? この前の発言と違くない? 怪物を倒すのは、慣れとか練習の問題じゃないって言っていたような……」
「それは、私が傍にいる状況に限っての話であって、私が不在の場でも適応される法則ではありませんから」
「……ふぅん。ぼくには屁理屈に聞こえるけど――そういうことならまあ、それでいいや」
イナは後頭部をかいた。
完全に納得はしていない。しかし、謎はもう一つ残っている。
「じゃあ、もう一つの問題について。リーフは消えにくいという話だけど、それは怪物と同じってこと? 怪物の場合はリーフっていう天敵がいるけど、リーフにとってそういう存在はいないの? もしかして、本当は消せないとか? 分身を消したら本体も消えるとか――分かんないけど、そういうような理由で」
「いえ、消せますよ。あくまでも『消しにくい』であって、『消せない』では断じてありませんから。その点は怪物と同じです。ですが、当然、消しにくい理由は怪物とは異なります。なぜ私は消しにくいか? 端的に言えば、私はイナにとって大切な存在だからです」
「大切……」
「便利、都合がいい、必要不可欠――表現は様々あると思いますが。対処法としては、大切だから消しにくいのだから、その反対ですね。ようするに、大切ではないように認識すればいいのです。……こう説明すると簡単なように感じるかもしれませんが、それは言葉の上での話だからであって、実際はとても難しいと思いますね。なぜって、私自身、その方法が皆目見当つきませんから」
リーフは眉を八の字にした。
「自分自身の存亡にかかわることだから、なのだと思いますが、はっきりしたことは分かりません。ですから、イナに考えてほしいのです」
「考えることは考えるけど……。そう言われても、なにから手をつければいいか分からないよ。大切な存在を、大切ではないように認識する方法だなんて、簡単に分かるわけないって」
「おっしゃる通りだと思います。ですが、こればかりは、イナが主体的に解決策を導き出すしかありませんので」
そんなことを言われても、と再び思ったが、堂々巡りに陥りそうだったので、フードを被って唇を結ぶ。
リーフがすぐ目の前にいるというのに、イナは酷く心細かった。
「そう簡単にできるの? 怪物、消しにくいんでしょ?」
「慣れればできると思いますよ。慣れさえすれば、難しい仕事も、簡単ではないかもしれませんができるようになります。それは責任を持って断言します」
「慣れればできる? この前の発言と違くない? 怪物を倒すのは、慣れとか練習の問題じゃないって言っていたような……」
「それは、私が傍にいる状況に限っての話であって、私が不在の場でも適応される法則ではありませんから」
「……ふぅん。ぼくには屁理屈に聞こえるけど――そういうことならまあ、それでいいや」
イナは後頭部をかいた。
完全に納得はしていない。しかし、謎はもう一つ残っている。
「じゃあ、もう一つの問題について。リーフは消えにくいという話だけど、それは怪物と同じってこと? 怪物の場合はリーフっていう天敵がいるけど、リーフにとってそういう存在はいないの? もしかして、本当は消せないとか? 分身を消したら本体も消えるとか――分かんないけど、そういうような理由で」
「いえ、消せますよ。あくまでも『消しにくい』であって、『消せない』では断じてありませんから。その点は怪物と同じです。ですが、当然、消しにくい理由は怪物とは異なります。なぜ私は消しにくいか? 端的に言えば、私はイナにとって大切な存在だからです」
「大切……」
「便利、都合がいい、必要不可欠――表現は様々あると思いますが。対処法としては、大切だから消しにくいのだから、その反対ですね。ようするに、大切ではないように認識すればいいのです。……こう説明すると簡単なように感じるかもしれませんが、それは言葉の上での話だからであって、実際はとても難しいと思いますね。なぜって、私自身、その方法が皆目見当つきませんから」
リーフは眉を八の字にした。
「自分自身の存亡にかかわることだから、なのだと思いますが、はっきりしたことは分かりません。ですから、イナに考えてほしいのです」
「考えることは考えるけど……。そう言われても、なにから手をつければいいか分からないよ。大切な存在を、大切ではないように認識する方法だなんて、簡単に分かるわけないって」
「おっしゃる通りだと思います。ですが、こればかりは、イナが主体的に解決策を導き出すしかありませんので」
そんなことを言われても、と再び思ったが、堂々巡りに陥りそうだったので、フードを被って唇を結ぶ。
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