塵埃抄

阿波野治

文字の大きさ
上 下
184 / 200

健康診断

しおりを挟む
 学校での健康診断の仕事は地獄だ。
 俺は今、とある女子校で生徒たちの聴診にあたっている。診察自体は、はだけた胸に聴診器を当てるだけの簡単なものだが、なにせ生徒の数がべらぼうに多い。女子高生の胸を合法的に見られるではないか、と気休めを言う者もいるかもしれないが、生憎俺はガキの胸に興味はない。俺にとってこの仕事は、延々と続く、苦痛極まる単純作業でしかないのだ。俺は苦役から解放される瞬間を夢見ながら、目の前の作業を黙々とこなした。
 百何十人目かの生徒の診察が終わり、パソコン画面を一目見て、俺は内心歓喜した。次の生徒が本日最後の診察予定者だったからだ。
 診察が終わった生徒と入れ違いで、最後の生徒が目の前の椅子に座った。俺はこれまでと同様、制服の前を開け、下着を外して胸を見せるよう、女子生徒に命じた。
「嫌です!」
 女子生徒の毅然とした一声が室内に反響した。呆気に取られて顔を見返す。女子生徒は俺を睨みつけ、捲し立てた。
「診察のためとはいえ、どうして男のあなたに胸を見せないといけないんですか。おかしいでしょう。百歩譲っても、ブラジャーまで外す必要がどこにあるんですか」
 的外れな発言に、俺は積もり積もっていた鬱憤を爆発させた。
「自惚れてんじゃねぇ! こっちは仕事でやってるんだ。ガキの裸見たくらいで一々興奮しねぇよ。俺は早く仕事を終わらせたいんだ。さっさと乳見せやがれ、この雌豚が!」
 女子生徒の視線が狼狽えたように空をさ迷った。沈黙。数秒後、彼女は観念したようにシャツの前をはだけ、躊躇いがちにブラのホックを外し、乳房を露わにした。
 俺はガキの胸に興味はない。
 興味はないのだが、恥じらいながら胸をさらけ出すそのしおらしい仕草には、不覚にもときめいてしまったんだぜ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...