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 テーラーは話をした翌日の午後には一通りの生地などを持ってやってきた。
 アデミル様はお仕事があるのとこういうのは任せたほうが良いだろう、とお任せしてくれたので応接室で応対した。
 テーラーさんは男の人と女の人一人ずつ来てくれて、私の意見を聞いていい考えだと思います、と同意してくれた。
 特に女性テーラーさんはとっても興味を示してくれて、私も常々そう思ってました!と意気込んでいた。
 けれど下着業界はなかなか保守的らしくて彼女一人の意見では通せなかったらしい。そこに辺境伯夫人の私だ。まあアレですよね、権力で話通しちゃおうって感じですよね。
 男の人の方も妻がそういうの着ててくれたら嬉しいです、と言っていて話が盛り上がった。
 やっぱりフロントのワンポイントのリボンは外せない。フロントの生地を切りかえて花柄にしてみたり、全体の布を小花柄にしてみたり。まずはテスト段階なので色も柄も控えめなものにした。
 ブラジャーにはワイヤーを入れることを一般化させることを提案してみた。これはいかに美しい形を保たせるかで試作を繰り返すことになるのだがワイヤーの形に意見の交流が白熱したのも事実だ。
 一番白熱したのがどこまで下着の布面積を減らせるか、だった。
 こちらの世界の下着はどちらかというとズロースのようなものだ。
 それを私の知るショーツにまで布地を減らして貰うよう交渉した。
 テーラーさんたちは大盛りあがりしてどこを減らしてどこを残すべきかのラインを話し合った。
 ハイレグみたいなのはまだ早いと思ったのでそれはまた今考えているのが流行ってからということにして、私が知る普通のショーツを作ってもらうことにした。
 話し合いは二時間ほど続いて、彼らが帰っていく頃には私はとても満足していた。
 来週には見本ができるということで楽しみだ。
 時間を見るとちょうどお茶の時間だ。今日はタルトタタンを焼いてあったのでそれを出してもらった。
「お疲れ様です」
「きみもな。ついさっきまで話していたようだな」
「はい、来週にはサンプルができてくるそうです」
「そうか」
「楽しみですね」
「ん、ああ」
 言いにくそうにしているので私はくすっと笑って楽しみですね、ともう一度繰り返した。
「ん、そうだな」
 恥ずかしそうなアデミル様は愛おしい。プライスレス。
 私はタルトタタンをひとかけあーんしてあげながらにこにこと笑みを浮かべたのだった。


 一週間後、出来上がってきたブラジャーとショーツの出来に私は満足していた。
 ズロースよりは面積の少ない布地。しかしながらしっかりとお尻やフロント部分を包み込む生地。ワンポイントの小さなリボン。
 布地の切り替え部分もしっかりと縫えているし生地自体にも強化魔法がかけられていてちょっとやそっとでは破れないそうだ。
 モニターをお願いできませんか、と言われてもちろん受けた。
 履き心地、伸縮性、かわいさ。どれもが合格ラインだった。
 問題はこれをアデミル様が気に入ってくれるかだが。
 私はそれを纏ってその上に夜着を着込む。
 浴室を後にしてアデミル様のお部屋に行くと彼はすでにワインを飲んでいた。
「やはりシオリのワインは美味いな」
 そんなことを言いながらワイングラスを傾けている彼に私は嬉しくなる。
 彼はいつもそうして私のワインを褒めてくれる。ありがたいことだ。
「アデミル様を想って作っているからですね」
 私がそう笑えば彼はそうか、と嬉しそうに微笑む。
 かわいい、かわいいアデミル様。
 はやくこの下着を見て欲しい。どんな反応をしてくれるだろう。
 驚く?照れる?かわいいって言ってくれる?
 楽しみで仕方がない。
 何も知らないアデミル様に私はぴったりと体をくっつけてその耳元でアデミル様、と囁いた。
「っ」
「ベッド、行きませんか?」
「どうした、今日はやけに積極的だな」
 いつもはアデミル様がワインに満足して自然とふたりで寝室へ向かう。こんなふうに私から急くように誘うのはあまりないことだ。
 でもだって、早く見て欲しいんだもの。
「アデミル様に早く見て欲しくて」
 ベッドの上で脱がせてくださいとおねだりすると彼はそっと夜着を脱がせて目を見開いた。
「これは……」
 私の今日の下着はピンクの布地に白薔薇の散る、私からすれば控えめな柄だ。けれどショーツも面積がだいぶ少なくなっているしブラジャーだってだいぶ削った。
「どう、ですか?」
 私が照れながら聞くと彼ははっとしたように我に返った。
「か、かわいいと思う……いつも素敵だと思っているが今夜は一段と美しい」
「ありがとうございます」
 自然と顔が近づいて口付けを交わす。
「は、ぁ、ん……」
 ぺちゃぺちゃとわざと音を立てて舌を合わせては絡めて私はベッドに沈む。
 ブラジャーのホックを外されてふるりと揺れた乳房をアデミル様の手がやんわりと揉みしだく。
「ぁ、ん……」
 乳首を吸われて舌先で転がされる。むず痒いような、けれど腰の奥にずんと響くものが快感を呼び覚ましていく。
「脱がしてしまうのが勿体無いな」
「ふふ、そう言っていただけるとデザインした甲斐があります」
 脱がしてしまうのは勿体無い、けれどしないとは言っていない。
 アデミル様は迷わず下着を脱がせると私の立てた脚を開いた。
 そして己の左の中指を根本まで舐めると私の入り口に押し当ててぐぬぬっと押し込んできた。
「んっ……」
「痛くないか」
「大丈夫です……」
 根本まで押し込まれてぬくぬくと抜き差しされる。アデミル様の指は節張っているのでそこが内壁に引っかかって気持ちがいい。
「ぁ、あ、あんっ」
 その指が次第に二本、三本に増やされると腹の奥がずくずくとしてきてもっと太くて硬くて熱いものが欲しくなってくる。
「アデミル様……!」
 私の声を正しく理解した彼が指を引き抜いて熱い杭を私のそこに押し当てた。



(続く)
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