上 下
12 / 43

12

しおりを挟む
 満月の夜から一週間。私は毎晩アデミル様を手で慰めている。
 はじめは心臓が弾けそうなくらい恥ずかしかったけれど今はちょっとだけ慣れてきた。
 けれどだからと他事を考えられるような余裕なんてなくていつも手のひらの感触に全神経を集中している。
 いつもベッドの中でするので未だに私はアデミル様のペニスそのものを見たことはない。
 あちらの世界にいた頃、興味半分で無修正の動画を見たことがある。その時はただただグロテスクな印象しか受けなくて興奮も何もなかったのだが。
 アデミル様のものはどうだろう。やはりグロテスクなのだろうか。形は人のそれと同じようだったが。
「アデミル様」
「なんだ、シオリ」
 その日も十分なキスで蕩けさせてくれたアデミル様のズボンに手を伸ばした私は意を決して言った。
「アデミル様のおちんちん、見たいです」
 私の言葉に彼は少しだけ躊躇うようなそぶりを見せたがそれでもわかった、とシーツを剥いだ。
 間接照明の柔らかい灯りの中でアデミル様は身を起こしてズボンの中からそれを取り出す。
 私とのキスで既に勃ち上がっているそれは動画で見たものより青白くて血管が浮いているのがよく見て取れた。
 触っていた時から気づいていたが雁首が高くてここが通る時がきっと一番痛いんだろうなと思った。
 グロテスクかそうでないかと聞かれたらグロテスクだ。
 でもこれがアデミル様のペニスなのだと思ったら不思議と平気というか、愛しさまで込み上げてくるから不思議だ。
「シオリ?!」
 アデミル様が驚きの声をあげる。
 私はアデミル様のペニスに唇を寄せていた。
 これを慈しみたい。愛したい。気持ち良くなってほしい。そんな思いに駆られていた。
「ん……」
 根本からべろーっと舐め上げて先端のつるつるしたところを舌先でくすぐる。
「シオリ……!」
 そうすると先端の穴からはちょっとしょっぱい粘液がじわじわと溢れ出してきて私はそれを舐めとった。
 くぷぷ、と口の奥へとその剛直を迎え入れるが大きすぎて半分ほどで喉の奥に当たった。
 もっとオエッてなるかなって思ったけど喉をこくりこくりと鳴らしていれば平気なのに気づいた。
 じゅぷじゅぷと頭を上下させて口に入りきらないところは手で扱いてみる。ぐるる、とアデミル様が喉を鳴らすのが分かった。気持ちいいみたい。良かった。
「はあ……」
 アデミル様が熱い息を吐いて私の髪を優しく梳いてくれる。気持ちがいい。
 私は頑張って一ミリでも奥へ飲み込めるように喉の奥を開いてアデミル様のペニスを咥え込んだ。
 喉の奥で先端をきゅうっと締め付けるとぐう、とアデミル様の低い唸り声が聞こえる。
 それに気をよくした私は締め付けたまま頭を上下させた。
「シオリ、だめだ、出てしまう……!」
「んーん」
 私を引き剥がそうと頭を掴んでくるアデミル様の手を振り払って私はじゅぽじゅぽと先端を吸いながら頭を振った。
「くっ……!」
 一際深く咥え込んだその時、びゅるるっとアデミル様の精液が喉の奥を叩いた。
「んっ」
 喉の奥に注ぎ込まれたので私はそれを勢いのまま飲み下してしまう。
 決して美味しいものではなかったけれどこれもアデミル様の一部だと思えば苦でもなかった。
「ん、う」
 こくんと喉を鳴らして飲み下してアデミル様のペニスから口を離すと飲んだのか!と肩を掴まれた。
「はい。飲んじゃいました。だめ、でしたか?」
「不味かっただろう。口を濯いでこい」
「はい」
 ベッドを降りて洗面台で口を濯ぐ。口の中の粘っこい感じは薄れたがなんとも言えない風味は残ったままだった。
「何か飲み物でも持って来させるか?」
 アデミル様の言葉に私は平気です、と答えた。
「慣れれば大丈夫そうです」
「慣れ……きみは慣れるまでする気なのか」
 呆れたような声にダメでしたか?と小首を傾げるといいや、と苦笑した。
 それもいいが、と彼は私を抱き上げてあぐらをかいた膝の上に座らせる。
「はやくここで私を受け入れてほしいものだ」
 下腹部を撫でられてかあっと赤くなる。ひとのペニスを咥えておいてなんだがこれはこれでまた別問題なのだ。
 だって、それをするということは彼の前で裸にならねばならないと言うことだ。
 私は細身ではあるがどちらかというと細身というより貧弱だ。
 胸も普通サイズで特段大きいわけではない。それらをアデミル様に晒さなくてはならないというのは恥ずかしいものなのだ。
「アデミル様……」
 見つめると優しくも激しい口付けが降ってくる。
 舌を絡めながら彼の太い首に腕を巻き付けるとアデミル様の手が私の体を弄って夜着越しに胸に触れた。
「ん……う」
 胸を揉まれながら私が甘い声を漏らせばアデミル様の手は下へ下へと伸びていき布越しにその指が入り口を押し上げる。
「んっ」
 ぴくりと震えるとその指はぐっぐっと早く入りたいと言うように押し上げられ、刺激してくる。
 それに満足するとアデミル様は今度はその少し上、花芯のあるところを布越しで見えていないはずなのにピンポイントで責めてくる。
「ぁ、あっ」
 口付けから解放された私がその爪の先で弾くような刺激に震えているとアデミル様はぐりっとそこを押し潰した。
「あんんっ」
 腰の奥がずしりと重くなってきて奥に刺激が欲しいと体が疼き出す。本能がアデミル様を求めている。
 けれど私はそれをなけなしの理性で押さえ込んでもうダメです、とアデミル様の手をそっと押さえ込むのだ。
 そうするとアデミル様は素直にやめてくれる。それが今宵の終わりの合図だと知っているのだ。
「……おやすみ、シオリ」
「おやすみなさい、アデミル様」
 私たちはいつものように触れるだけのキスを交わして眠りにつくのだった。



(続く)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話

みっしー
恋愛
 病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。 *番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!

【R-18】逃げた転生ヒロインは辺境伯に溺愛される

吉川一巳
恋愛
気が付いたら男性向けエロゲ『王宮淫虐物語~鬼畜王子の後宮ハーレム~』のヒロインに転生していた。このままでは山賊に輪姦された後に、主人公のハーレム皇太子の寵姫にされてしまう。自分に散々な未来が待っていることを知った男爵令嬢レスリーは、どうにかシナリオから逃げ出すことに成功する。しかし、逃げ出した先で次期辺境伯のお兄さんに捕まってしまい……、というお話。ヒーローは白い結婚ですがお話の中で一度別の女性と結婚しますのでご注意下さい。

溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!

恋愛
 男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。  ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。  全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?! ※結構ふざけたラブコメです。 恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。 ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。 前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。 ※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

離縁を申し出たら溺愛されるようになりました!? ~将軍閣下は年下妻にご執心~

姫 沙羅(き さら)
恋愛
タイトル通りのお話です。 少しだけじれじれ・切ない系は入りますが、全11話ですのですぐに甘くなります。(+番外編) えっち率は高め。 他サイト様にも公開しております。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

処理中です...