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尊王攘夷志士・伊東甲子太郎
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伊東甲子太郎とその配下七人が入隊し、屯所の中の雰囲気はガラリと変わった。
副長土方さんの次席幹部・参謀が伊東の立場である。
平隊士は伊東先生、伊東先生と伊東を慕う。
剣は北辰一刀流の免許皆伝でありながら水戸弘道館で修めた神道無念流も使うと言う、これまでの新選組にはなかった器量人である。
俺も物珍しさから、伊東の文学師範なるものを何度か見物したがまるで分からん。
かなり勉強していることは分かるが、それ以上の興味はない。
立場的には土方さんと重なる部分が多く俺は心配したが、近藤さんが煩雑で手間のかかる会津との折衝を彼に一任してしまった。
会津と多摩では気候風土が違うが、伊東の水戸はまだ会津に近い。
気心が合うのだろう。
任務はこれまでとはまったく違い、円滑にすべてが流れた。
近藤さんは満足だった。
しかし、伊東の生まれが筑波であり、水戸で育ったことを近藤さんはまったく気にしていなかった。
水戸は尊王攘夷本家本元であり、勤王水戸学の影響を日本中の志士が受けている。
二年前に粛清した芹沢鴨もその一人である。
近藤さんも土方さんもそうした伊東の背後関係を、なぜもっと綿密に洗わなかったのか。
守護職の会津から監察方へ、まず伊東が薩摩藩士とよく会っていると言う情報が入った。
俺がミケを探して歩いていると、見知らぬ武士と連れ立って歩く伊東をみかけた。
見知らぬ武士は、武骨な薩摩拵えの大刀を帯びていた。
なぜ伊東が薩摩と!と不振に思ったがすぐに忘れてしまった。
伊東の尊王攘夷思想は筋金入りだった。
近藤さんも土方さんも、それを見誤っていた。
芹沢はご都合主義の勤王だが、伊東は現帝・孝明天皇に心酔しきった本物である。
本音を言うなら彼は新選組の任務より、孝明帝を敬慕しそこに仕えることを真に願っていた。
むろん、近藤さんも土方さんもそんな伊東の思想的背景は、まるで知らない。
それがのちに新選組の分裂を生み、悲惨な闘争へとつながって行く。
隊務をこなしながら薩摩の攘夷派と会っていたのが、その前兆であった。
新選組参謀と言う立場を利用して、彼は全国、とくに四国、九州、中国地方の攘夷派をよく訪ね歩いた。
彼が海援隊の竜馬、陸援隊の中岡慎太郎と顔なじみになったのも、その時期であった。
俺は・・・幸せの真っただ中にいた!
ミケが一日中、側にいてくれるのだ!
こんな幸せがあるか!!
俺は幸せを噛みしめた。
彼女はまた、いつ居なくなってしまうか分からない。
一緒に居られる今が、すべてなのだ!
ミケ、ミケ、ミケ!どこへも行くな!!
そして、ついにあの大事件が起きた!
孝明帝の崩御である。
副長土方さんの次席幹部・参謀が伊東の立場である。
平隊士は伊東先生、伊東先生と伊東を慕う。
剣は北辰一刀流の免許皆伝でありながら水戸弘道館で修めた神道無念流も使うと言う、これまでの新選組にはなかった器量人である。
俺も物珍しさから、伊東の文学師範なるものを何度か見物したがまるで分からん。
かなり勉強していることは分かるが、それ以上の興味はない。
立場的には土方さんと重なる部分が多く俺は心配したが、近藤さんが煩雑で手間のかかる会津との折衝を彼に一任してしまった。
会津と多摩では気候風土が違うが、伊東の水戸はまだ会津に近い。
気心が合うのだろう。
任務はこれまでとはまったく違い、円滑にすべてが流れた。
近藤さんは満足だった。
しかし、伊東の生まれが筑波であり、水戸で育ったことを近藤さんはまったく気にしていなかった。
水戸は尊王攘夷本家本元であり、勤王水戸学の影響を日本中の志士が受けている。
二年前に粛清した芹沢鴨もその一人である。
近藤さんも土方さんもそうした伊東の背後関係を、なぜもっと綿密に洗わなかったのか。
守護職の会津から監察方へ、まず伊東が薩摩藩士とよく会っていると言う情報が入った。
俺がミケを探して歩いていると、見知らぬ武士と連れ立って歩く伊東をみかけた。
見知らぬ武士は、武骨な薩摩拵えの大刀を帯びていた。
なぜ伊東が薩摩と!と不振に思ったがすぐに忘れてしまった。
伊東の尊王攘夷思想は筋金入りだった。
近藤さんも土方さんも、それを見誤っていた。
芹沢はご都合主義の勤王だが、伊東は現帝・孝明天皇に心酔しきった本物である。
本音を言うなら彼は新選組の任務より、孝明帝を敬慕しそこに仕えることを真に願っていた。
むろん、近藤さんも土方さんもそんな伊東の思想的背景は、まるで知らない。
それがのちに新選組の分裂を生み、悲惨な闘争へとつながって行く。
隊務をこなしながら薩摩の攘夷派と会っていたのが、その前兆であった。
新選組参謀と言う立場を利用して、彼は全国、とくに四国、九州、中国地方の攘夷派をよく訪ね歩いた。
彼が海援隊の竜馬、陸援隊の中岡慎太郎と顔なじみになったのも、その時期であった。
俺は・・・幸せの真っただ中にいた!
ミケが一日中、側にいてくれるのだ!
こんな幸せがあるか!!
俺は幸せを噛みしめた。
彼女はまた、いつ居なくなってしまうか分からない。
一緒に居られる今が、すべてなのだ!
ミケ、ミケ、ミケ!どこへも行くな!!
そして、ついにあの大事件が起きた!
孝明帝の崩御である。
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