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しおりを挟む田中歩。
中学一年の頃に行われたバース性診断によりΩと判明。
両親も妹のβなのに、よりにもよってΩ…。
小柄でも平凡な容姿と伸び悩む身長は、Ωとしてどうなのか?αをちゃんと誘惑できんの?とか、最初は友達とふざけ合うことができた…。
けれどそれも終わり。男でも発情フェロモンを振り撒き妊娠可能な俺らΩは、希少種だの母体として優秀だの説明されても月に一度くる発情期は地獄だ。
なによりも追い討ちをかけたのは、はじめての発情期。
事前に処方させれていた抑制剤が体質に合わず、食欲不信、嘔吐、不眠などにかられ入院するハメに…。
ようやく学校に行くと別人のようにやつれていた。
『なんか、違う病気でも持ってんじゃないのか…?』
『Ωだもんなぁ。実はヤリまくってたりしてんじゃねぇの?』
誹謗中傷には耳を塞いだけれど、気がつけば俺の近くからは…友人と呼べる人がいなくなった。
高校は知り合いのいない場所を選択。
今の薬は体に合うものだけれど、それでもたまに午後になると眠気が増す。
今日も耐えきれず保健室で眠っていただけなのにー…
(なん、で…こんなことに…?)
「…っ、ひっ!?あ"、ぁあっ!!」
下から奥まで突き上げられ暴力的な快楽で意識が覚醒した。
「ダメだよ。まだ飛ばないで」
「あ、あっ…っ、?、…」
あぁ、そうだった。
上に乗っているのは、見たこともない男前で綺麗な顔立ちの男、菊池雅之。
この菊池に保健室で殴られ、シャツもズボンも脱がされ犯されそうになった。
「ほーら、もっと意識して。君が、学校じゃヤダって我儘言うから、連れ帰ったんでしょ?」
「や、…も……許して、…っんんっ、」
まるで歩がこういう行為を望んだから仕方なく付き合ってるように失笑されても、必死で勘弁して欲しいと頼み込むしかできない。
そんな口を塞ぐよう深い口づけをされる。
「んっ、…っ、・…!」
逃げる舌を無理やり絡めて、口内まで味わい犯してくる。
嫌なのに、やめて欲しいのに…
どうしようもない自分のΩの本能が、快楽とαを求めて奥からも愛液を出してくる。
そんな自分が情けなくて息が詰まりそうだ。
「やだ、…も、助けて……先輩っ…」
助けて欲しい、苦しい、怖い。
そのか細い嘆きははっきりと菊池の耳に届いた。
「……つらいよねぇ、苦しいよねえ?その先輩と別れる気ある?」
あるわけない。
そもそも付き合っていない…。
けれど嘘を言っても本当を言っても、この悪魔のような男は都合良く解釈するのだろう。
だから無言を貫いた。
「そーだよね、よっぽどの理由がないと好きなものって諦められないよね?でも、俺さ"お気に入り"が他の男の匂いつけてんのとか無理だから、君が先輩を捨てるって言うまで……何時間あればいいかなぁ?」
俺は気の長い方だから、ちゃんと決心つくまで待ってあげるからね。
目を三日月型に細め、楽しげにも残酷に微笑む.
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