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1章 脇役は砂糖と塩と共に
脇役vs悪党共 ※微暴力表現有
しおりを挟む―――――バキッ
殴られた衝撃で床に倒れた体。
このクソ野郎が…っ!
とっさに俺が起き上がるよりも先に、一人の男が馬乗りになって俺を地面に押さえつけた。
「ッ、…!の、くそ野郎ッ…… 痛ッ、!」
「ほぉ?威勢がいいな」
どけ!と悔しげにも睨んできた黒瞳に、男は思わず嘆願の声を漏らした。反抗的な"商品"はいくらでも見てきたが、コレは圧倒的に質が違う。
「……すげぇ、ホンモノの黒髪と目の色だぜ?初めて見た」
「おい。”商品様”をあんまり傷つけるな」
「けどよぉ抵抗したのはそのガキだぜ?」
――――そんな言葉が何一つ理解できなくてよかったと思う。
けれど状況は最悪だ。
「っ…、ーい゛っ!」
「まぁ顔も悪くない。こりゃ娼館に売っても金になるな」
「おいおい、身代金はどうする?確認してからでもいいんじゃねぇか?」
「はっ、コイツの手を見ろ?爪もボロボロだぞ?きっと愛人かペットだろうよ」
よほどのお気に入りか箱入り。それなら世間知らず故に無防備だったのも納得がいく。と笑う男達。
(何言ってんのかわかんねぇけど、いちいち言い方が腹立つなっ)
まだ治っていない手を見て笑われた…っ。
薄汚く見えても、これはシオウにとって過酷な旅をした印で戦士の傷のようなものだった。
「……、くそ、が…っ」
連中を刺激してはダメだと分かっている。だけど子供に暴力を振るえる連中に屈したくはない。
怯える真似も出来ず、崩れることのない強固な姿勢を貫いてしまった。
「そういや異国の言葉なんて珍しいモンを使ってるな?他にも仲間がいるのか?」
「この辺は俺らの縄張りだ。素直に教えりゃあ逃げたガキの命くらい助けてやる」
「……っ、」
「はは、いいねぇ…その強気」
男達を睨み続ける双黒の青年。
仲間のことを教えたところで男達が助けないと知っているのか、それとも信じるわけないだろ!と言っているのか。
これから自分どうなるか分かっているだろうに、泣き叫ぶこともしない高潔さに、思わず男達は舌舐めずりをした。
「なら、身を持って経験するんだな」
かつて降臨した神子と同じ風貌。
その少年が、恐怖に怯え、泣き、男達に縋り善がる姿を見たいと…
聖なるものを汚すという背徳感が男達の加虐心を煽った。
「い、いやだ…っ!」
やめろ触るな!!!
コイツら、まさか追剝ぎか!?
服を脱がされそうになって死ぬほど抵抗した。
「大人しくしてりゃあ、お前も気持ち良くなるぜ」
「………ひっ!?」
ぬっと、服の下に入ってきた手が気持ち悪くてゾワりと全身に鳥肌が立った。
違う。
ただの追い剥ぎではないと悟り、さすがにシオウも身の危険を感じた。
「いやだ!!ん゛む、ーーーゼア、ッ――――、ぐぅ、ッ!?」
「黙ってろ」
ジタバタ暴れると面倒だと今度は腹を殴られ… 変態共に手を縛られ、口を布で塞がれてしまった
そして上半身の服が脱がされたことで露わになった素肌。
「随分綺麗な肌だな」
「乳首はちぃせぇが、まぁこんなもんだろ」
こんのっ、変態どもがっ!!
べろっと舐められた頬と、ぎゅっと痛いほどつままれた胸の突起。
「んん゛~ー、っ、!!ーー、っ゛!」
いやだ、やめろ!やめろ!!
変態! ッ、変態!!
しかし抵抗なんてロクに出来ないまま、
「さぁて、下はどうなってんだ?」
「んん゛、んン゛~~~!!」
(ッ!いやだ…っ、みんな…、ゼアロンさんっ、…助けて!!!)
男の汚い手がシオウの下着に手をつけようとした、その時
入り口の扉が激しい音を立て 木っ端微塵に吹き飛んだ。
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