転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

文字の大きさ
上 下
844 / 908

834.城内侵入2

しおりを挟む
誠一は戦場を見渡して眺めたが、
妙案が浮かんでくることもなかった。
さりとて、突撃一択も芸がない上に
無謀なように感じた。

「うーん、どうしよう。
策が浮かばないし、妙案もないよな。
できれば本隊が突入するどさくさに紛れて、
侵入したいけど」

そう言って、誠一は再度、戦場に目を向けた。
誠一にはジェミロの軍の進軍が王国軍に阻まれて、
一進一退の攻防となっているように見えた。

「やるしかないな。虎穴に入らずんば虎子を得ず」
誠一は決断した。

「ほう、興味深い例えだな。
確かにその通りだが、無策で飛び込むのは愚の骨頂だぞ」
誠一はマリアンヌの指摘に頷いた。

ヴェルが例えの意味を教えろと、
騒がしかったが、誠一は無視して、話を続けた。

「マシュー・マサイアス・
ヴァーグメンデル・フォン・ビレッドス、
彼を利用しよう」

騒がしいヴェルの声がぴたりと止まった。
それは他のメンバーも同じであった。

唯一、その名を知らないマリアンヌが口を開いた。
「その名は聞いたことないな。
クランの隠れメンバーなのか?」

前線かから離れていてもここは戦場であった。
しかし、何故かどんよりとした微妙な雰囲気が
場を支配した。

「アル、言わんとすることは分かるような気がするけど、
そう何度もアレが通用するほど、世間と言うか戦場は
甘くないと思うけど」
マシューに関する説明なくシエンナが控えめに反論した。
そして、サリナとキャロリーヌも賛同した。

「あの作戦は、微妙だぞ。とにかくいまいちだ。
俺は反対だ。それより派手にやろうぜ。
そっちの方が城を出た敵軍への牽制にもなるしな」
珍しくヴェルが誠一の案に反対した。

そして、事情のわからないマリアンヌを除いて、
全員が反対した。
そのために誠一は少しむきになってしまった。

「分かってるって!全く同じようになんてするつもりはない」
誠一は言葉を一旦切った。全員が誠一の次の言葉を待った。
しかし、一向に誠一は口を開こうとしなかった。
なぜなら、誠一には、他に何も案が無かったからだった。
戦場は刻々と誠一の思案を待たずに変化する。
誠一は焦った。焦れば焦る程に考えは纏まらなかった。

「ったくよう、アル!ここは戦場だぞ。
俺らを試すようなことをせずにさっさと言えって。
まあいいいや、リーダーに試されたなら、
それに応えるのも仲間の義務だな。
そうだろう、シエンナ」
何も思いつかないヴェルは適当にシエンナへ振った。

「えっええっ、えっと私?」
突然、話を振られたシエンナが狼狽えていた。

「そう言っているだろ、はよ答えろ。ここは戦場だぞ。
今の答えが状況に合わなくなることだってある」

「そうです、いそぐです。シエンナの作戦を話すです」
相変わらず調子よく話を合わせるヴェルとアミラであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライムばかり食べてた俺は、今日から少し優雅な冒険者生活を始めます。

いけお
ファンタジー
人違いで異世界に飛ばされてしまった佐藤 始(さとう はじめ)は、女神システィナからとりあえず悪い物を食べて死ななければ大丈夫だろうと【丈夫な胃袋】と【共通言語】を与えられ放り出されてしまう。 出身地不明で一銭も持たずに現れた彼を怪しんだ村の住人達は簡単な仕事の紹介すら断る有様で餓死が目の前に迫った時、始は空腹のあまり右手で掴んだ物を思わず口に入れてしまった。 「何だこれ?結構美味いぞ」 知らずに食べていた物は何とスライム、弱って死ぬ寸前だった始を捕食しようと集まっていたのだった。食べられると分かった瞬間スライム達がごちそうに早代わり、始のスライムを食べる生活が始まった。 それから数年後、農作物を荒らすスライムを食べて退治してくれる始をいつの間にか村人達は受け入れていた。しかし、この頃になると始は普通のスライムだけの食生活に飽きてしまい誰も口にしない様な物まで陰でこっそり食べていた・・・。数え切れない程のスライムを胃袋に収めてきたそんなある日の事、彼は食べたスライム達からとんでもない能力を幾つも手に入れていた事に気が付いた。 始はこの力を活かす為に町に移住すると、悪徳領主や商人達が不当に得た金品を奪う冒険者生活を始めるのだった・・・。 仕事中の空いている時間に物語を考えているので、更新は不定期です。また、感想や質問にも出来る限り答えるつもりでいますが回答出来ない場合も有ります。多少の強引な設定や進行も有るかもしれませんが、そこは笑って許してください。 この作品は 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

元勇者は魔力無限の闇属性使い ~世界の中心に理想郷を作り上げて無双します~

桜井正宗
ファンタジー
  魔王を倒した(和解)した元勇者・ユメは、平和になった異世界を満喫していた。しかしある日、風の帝王に呼び出されるといきなり『追放』を言い渡された。絶望したユメは、魔法使い、聖女、超初心者の仲間と共に、理想郷を作ることを決意。  帝国に負けない【防衛値】を極めることにした。  信頼できる仲間と共に守備を固めていれば、どんなモンスターに襲われてもビクともしないほどに国は盤石となった。  そうしてある日、今度は魔神が復活。各地で暴れまわり、その魔の手は帝国にも襲い掛かった。すると、帝王から帝国防衛に戻れと言われた。だが、もう遅い。  すでに理想郷を築き上げたユメは、自分の国を守ることだけに全力を尽くしていく。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

処理中です...