835 / 872
825. ジェルミラ領進撃17
しおりを挟む
「サリナ、アミラ。あの地に落ちた悪魔は任せる。
この目の前の魔人はお前たちにはまだ、少し荷が重い。
鬼谷と私で倒す」
「まだね。そう言う事なら、わかったわ。
アミラ、行くよ」
サリナは、いずれ渡り合える時が
来るというマリアンヌの期待を感じた。
赤帽鬼が2人のS級の冒険者に牽制されている間に
この場をアミラと離れた。
「良い判断しているよね。
まあ、転がる死体の数は変らないけどさ。
キキッ早いか遅いかの違いでしょ」
赤帽鬼はニヤニヤしながらも2人への警戒を
緩めることは無かった。
「剣豪殿、そろそろ茶番はやめろ。分かっているだろう。
冗談で済まない相手だということは!最初から全力でいくぞ」
何かを察した赤帽鬼は目にも止まらぬ速さで
マリアンヌに近づいた。
しかしその間に剣豪が割り込み、二の太刀でそれを防いだ。
大太刀は、赤帽鬼の持つ細剣と激突した。
「淑女が戦の準備をしているでござる。
戦乙女が現れるまで待つのが戦場での粋な計らいでござろう」
「我が名はマリアンヌ。
神より下賜された剣をここに顕現する」
マリアンヌは右手を身体の中心に当てると
身体の中心より現れた剣の柄を握り、引き出した。
神剣を目にした兵士たちは雄叫びを上げ、
逆に魔物はその聖なる輝きに委縮した。
赤帽鬼の表情は、ニヤニヤとしていたが、
目は笑っておらず、軽口も叩かなかった。
沈黙と静止が場を支配した。
「ほっとにS級の冒険者って恐ろしいわね。
上位魔人と対等に戦えるとかでなくてね」
キャロリーヌが弓を番えながら、嘆息した。
「確かにあの気迫。
滅多に見られるものではないですけど、
あれは敵というより先生に対してですよね」
「あの怒気を向けられて、
飄々としていられるあの剣豪も
流石というところよねぇ」
ロジェ、キャロリーヌ、そしてシエンナでは
対人戦での強烈な一撃必殺に欠けるためか、
キメラに少しづつ出血を強いる戦いが続いていた。
最前線で盾役となっているロジェは、
それどころではなかった。
直撃すればただでは済まないキメラの一撃を
何とか避けつつ、愛用のツヴァイヘンダーを振るって、
キメラを攻撃していた。
たまに吹くそよ風は全く心地良いものでなく、
ロジェにとって、べたつく汗に纏わりつく
不快な空気の流れでしかなかった。
発汗は止まらず、ロジェは身体中から常に熱を発していた。
そして、その熱は周りの温度を高くしていた。
「のんびり話している暇があるなら、援護しろっ」
ロジェの絶叫を澄まし顔で受け流すキャロリーヌに対して、
真面目に受け取りうなだれるシエンナだった。
この目の前の魔人はお前たちにはまだ、少し荷が重い。
鬼谷と私で倒す」
「まだね。そう言う事なら、わかったわ。
アミラ、行くよ」
サリナは、いずれ渡り合える時が
来るというマリアンヌの期待を感じた。
赤帽鬼が2人のS級の冒険者に牽制されている間に
この場をアミラと離れた。
「良い判断しているよね。
まあ、転がる死体の数は変らないけどさ。
キキッ早いか遅いかの違いでしょ」
赤帽鬼はニヤニヤしながらも2人への警戒を
緩めることは無かった。
「剣豪殿、そろそろ茶番はやめろ。分かっているだろう。
冗談で済まない相手だということは!最初から全力でいくぞ」
何かを察した赤帽鬼は目にも止まらぬ速さで
マリアンヌに近づいた。
しかしその間に剣豪が割り込み、二の太刀でそれを防いだ。
大太刀は、赤帽鬼の持つ細剣と激突した。
「淑女が戦の準備をしているでござる。
戦乙女が現れるまで待つのが戦場での粋な計らいでござろう」
「我が名はマリアンヌ。
神より下賜された剣をここに顕現する」
マリアンヌは右手を身体の中心に当てると
身体の中心より現れた剣の柄を握り、引き出した。
神剣を目にした兵士たちは雄叫びを上げ、
逆に魔物はその聖なる輝きに委縮した。
赤帽鬼の表情は、ニヤニヤとしていたが、
目は笑っておらず、軽口も叩かなかった。
沈黙と静止が場を支配した。
「ほっとにS級の冒険者って恐ろしいわね。
上位魔人と対等に戦えるとかでなくてね」
キャロリーヌが弓を番えながら、嘆息した。
「確かにあの気迫。
滅多に見られるものではないですけど、
あれは敵というより先生に対してですよね」
「あの怒気を向けられて、
飄々としていられるあの剣豪も
流石というところよねぇ」
ロジェ、キャロリーヌ、そしてシエンナでは
対人戦での強烈な一撃必殺に欠けるためか、
キメラに少しづつ出血を強いる戦いが続いていた。
最前線で盾役となっているロジェは、
それどころではなかった。
直撃すればただでは済まないキメラの一撃を
何とか避けつつ、愛用のツヴァイヘンダーを振るって、
キメラを攻撃していた。
たまに吹くそよ風は全く心地良いものでなく、
ロジェにとって、べたつく汗に纏わりつく
不快な空気の流れでしかなかった。
発汗は止まらず、ロジェは身体中から常に熱を発していた。
そして、その熱は周りの温度を高くしていた。
「のんびり話している暇があるなら、援護しろっ」
ロジェの絶叫を澄まし顔で受け流すキャロリーヌに対して、
真面目に受け取りうなだれるシエンナだった。
0
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
リケジョの知識で異世界を楽しく暮らしたい
とも
ファンタジー
私、遠藤杏奈 20歳。
某私立大学 理工学部の3年生。
そんなリケジョの卵だったんだけど、バイトに行く途中、交通事故に巻き込まれて…
…あれ、天国で目が覚めたと思ったのに、違うってどういうこと?
異世界転生?なにそれ?美味しいの?
元の世界には戻れないっていうし、どうやら転生者の先輩もいるそうだから、仕方がないので開き直って楽しく生きる方法を考えよう。
そんな杏奈がのんびりまったり、異世界ライフを楽しむお話。
女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。
もる
ファンタジー
目覚めるとそこは地球とは違う世界だった。
怒る女神にブサイク認定され地上に落とされる俺はこの先生きのこることができるのか?
初投稿でのんびり書きます。
※23年6月20日追記
本作品、及び当作者の作品の名称(モンスター及び生き物名、都市名、異世界人名など作者が作った名称)を盗用したり真似たりするのはやめてください。
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる
まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。
そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる