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820. ジェルミラ領進撃12
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二日ほど両軍は矢や魔術による散発的なやり取りに
終始していた。本格的な攻城戦は始まっていなかった。
「思い返してみると、何か変ですね」
「アルフレート君、何か気になる事でもあるのか?」
「いえ何というか。
勿論、兵数が多いからでしょうけど。
魔物を全然、見なかったような気がしますが、
サリナからも一切、魔物がいたような報告は
なかったですよね」
サリナは頷いた。
「言われてみればそうね。一度も見なかったわ。
普通ならば、逃げ出すだろうけど、少しは見かけるものだけど」
「アルフレート、おまえ、まさかこれが
あのテルトリア領の魔人の時と状況が
似ているなんて思っているのか」
ラムデールの言葉に上位魔人との戦いを
思い出した面々は顔を見合わせた。
「ヴェル、頷いてないで説明するです。
一体、何のことですか?」
ヴェルはアミラや他のメンバーに簡潔に説明をした。
その説明を聞いていた誠一は、ヴェルの成長ぶりに感動した。
「おいおい、アル。何を生暖かい視線を送ってんだよ。
気味が悪いぞ」
「いやいや、ヴェル。
魔術院で語っていた頃に比べて、
随分と成長したなーって思ってさ。
ほら、今回はシエンナも激おこになっていないし」
誠一はニヤリとした。シエンナが爆笑していた。
「ぐっぐぐぐっ。過去を掘り返しやがって」
ヴェルが真っ赤になって、反論しようにも
もごもごと言うだけであった。
そんな中、眠りこけているような剣豪が
ゆっくりと立ち上がった。
「ふむ、そろそろでござるな。
アルフレート様、どうやら無能なりに
知恵を絞った敵軍の策が動き始めたようです」
「アルっ!何か近づいてくる」
シエンナの探索魔術に何かが引っ掛かったようだった。
シエンナの声を聞く前に既に誠一たちと
王都で雇った冒険者や傭兵は武器を構えていた。
それにつられるように他の兵士たちも武器を握った。
「ふむふむ、主導権はどうやらとられたようですな」
誠一はのんびりとした口調の剣豪の声を耳にしながら、
直前に迫る戦いに集中した。
「キキっ、まーったく久しぶりだねえ。
キャキャキャ、まあ、あの時はそこそこ楽しませて
貰ったけどねえ。今回はきっちりと死んで貰うよ」
赤帽鬼の魔人はその場で魔石を幾つか叩き割った。
すると地面に魔術陣が浮かび上がり、魔物の群れが現れた。
既に周りでは兵たちが魔物と交戦を開始していた。
魔人の周りに現れた魔物たちはそれらの魔物より強力であった。
「おいおい、上位魔人に加えて特異種までいないか」
ロジェがツヴァイヘンダーを構えて、最前面に立った。
「まーいるわね。しかし、よくもまあ懲りずに現れるわね」
彼等の目の前には、表皮が黒く鬱蒼とした巨木、
いくつかの動物の特徴を併せ持つ獣や
隆々たる筋肉と背中に生える巨大な羽を持つ悪魔がいた。
終始していた。本格的な攻城戦は始まっていなかった。
「思い返してみると、何か変ですね」
「アルフレート君、何か気になる事でもあるのか?」
「いえ何というか。
勿論、兵数が多いからでしょうけど。
魔物を全然、見なかったような気がしますが、
サリナからも一切、魔物がいたような報告は
なかったですよね」
サリナは頷いた。
「言われてみればそうね。一度も見なかったわ。
普通ならば、逃げ出すだろうけど、少しは見かけるものだけど」
「アルフレート、おまえ、まさかこれが
あのテルトリア領の魔人の時と状況が
似ているなんて思っているのか」
ラムデールの言葉に上位魔人との戦いを
思い出した面々は顔を見合わせた。
「ヴェル、頷いてないで説明するです。
一体、何のことですか?」
ヴェルはアミラや他のメンバーに簡潔に説明をした。
その説明を聞いていた誠一は、ヴェルの成長ぶりに感動した。
「おいおい、アル。何を生暖かい視線を送ってんだよ。
気味が悪いぞ」
「いやいや、ヴェル。
魔術院で語っていた頃に比べて、
随分と成長したなーって思ってさ。
ほら、今回はシエンナも激おこになっていないし」
誠一はニヤリとした。シエンナが爆笑していた。
「ぐっぐぐぐっ。過去を掘り返しやがって」
ヴェルが真っ赤になって、反論しようにも
もごもごと言うだけであった。
そんな中、眠りこけているような剣豪が
ゆっくりと立ち上がった。
「ふむ、そろそろでござるな。
アルフレート様、どうやら無能なりに
知恵を絞った敵軍の策が動き始めたようです」
「アルっ!何か近づいてくる」
シエンナの探索魔術に何かが引っ掛かったようだった。
シエンナの声を聞く前に既に誠一たちと
王都で雇った冒険者や傭兵は武器を構えていた。
それにつられるように他の兵士たちも武器を握った。
「ふむふむ、主導権はどうやらとられたようですな」
誠一はのんびりとした口調の剣豪の声を耳にしながら、
直前に迫る戦いに集中した。
「キキっ、まーったく久しぶりだねえ。
キャキャキャ、まあ、あの時はそこそこ楽しませて
貰ったけどねえ。今回はきっちりと死んで貰うよ」
赤帽鬼の魔人はその場で魔石を幾つか叩き割った。
すると地面に魔術陣が浮かび上がり、魔物の群れが現れた。
既に周りでは兵たちが魔物と交戦を開始していた。
魔人の周りに現れた魔物たちはそれらの魔物より強力であった。
「おいおい、上位魔人に加えて特異種までいないか」
ロジェがツヴァイヘンダーを構えて、最前面に立った。
「まーいるわね。しかし、よくもまあ懲りずに現れるわね」
彼等の目の前には、表皮が黒く鬱蒼とした巨木、
いくつかの動物の特徴を併せ持つ獣や
隆々たる筋肉と背中に生える巨大な羽を持つ悪魔がいた。
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