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781.南方戦役28
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「モレロン軍は水不足で弱っています。
犠牲はあるでしょうが、ひと当てしてましょう」
「くうううっやっと決断したか!
アル、兄貴、あんまし難しいことばかり考えんなよ。
一気に城を落とすぞ」
誠一は自分の親しき仲間に
犠牲者が出て欲しくなかった。
そんな利己的な考えから、ヴェルが先陣をきって
城攻めすることを止めたかった。
「そうだ、ヴェル。
少しは一軍の将として兵を率いて貰わないと、
将来、僕が困るよ。だから今回は兵を率いて指揮して貰うよ」
「ぐううっ。マジかよ。
ぐむぅ、アルが言うなら仕方ない」
ヴェルは不平たらたらだったが、誠一の決定には従った。
しかし、その後、珍しくヴェルは、思案顔で腕を
組んでいた。誠一はそのことが少し気にかかった。
「シエンナ、魔力がある限り補助魔術、防御魔術を展開して。
ロジェ、マリは左軍、右軍を指揮してください。
キャロは、中央から矢で城の兵を牽制して。
サリナは後方を警戒。中央は僕とヴェルで進む。
アミラはヴェルをサポート。明朝、正面から一気に攻めます」
「ふむ分かったが、城を囲む水堀はどうする?」
マリアンヌの指摘は誠一の最大の悩みどころであった。
あまり水深は、深くなくそのまま進軍することは
可能であったが、速度は極端に遅くなり、
モレロン軍の飛び道具による攻撃で兵を損耗することは
明白であった。
「アルと私で最前面に防御壁を展開しましょう。
あの汚泥を進めと言うのは気が進まないけど、仕方ないわね」
シエンナの言葉は気休め程度だったが、
それ以外に手段なく、誠一は頷いた。
軍議は終了した。
「進軍開始」
翌日、誠一の一声で全軍が城に向かって動き出した。
「いくぞ、野郎ども!天上、地下、地上、
この世の全てに己の勇を見せよ。
うおおおっアルフレート軍、万歳」
「おおおう、万歳、万歳、万歳」
突如として沸き上がった万歳三唱。
そして、中央より一部の軍が突出した。
誠一は呆気にとられて、動けなかった。
「あの馬鹿ヴェルがぁ。
アル、ぼーっとしてないで、
ヴェルの一団に防御魔術を展開しないと。
ああっもうアミラも一緒になって」
シエンナの言葉で我に返ると誠一は慌てて、
防御魔術を展開した。
「風よ、全てを吹き飛ばし、全てを遮れ。エアシールド」
「水よ、全てを包み込み全てを飲み込め、ウォーターシールド」
「炎よ、全てを燃え尽くし、全てを妨げよ、ファイアシールド」
最前線に巨大な炎の防御魔術が展開された。
流石に兵士たちへの責任を放り投げて
突撃を敢行するほどの阿呆ではなかった。
しかし、その巨大な魔術の展開でヴェルの魔力は
ほぼ枯渇しているはずであった。
「アミラ、俺の後ろに控えていろよ。
一点集中、触れたものを破壊し尽くせ、フレイムランサー」
ヴェルのハルバートの穂先に
鮮やかな紅い球体が灯された。
城門の一点突破を敢行するつもりであることが
離れた場所にいる誠一とシエンナにも見てとれた。
しかもヴェルは、先頭を疾走していた。
その後にヴェルが指揮すべき兵士たちが必死に走っていた。
犠牲はあるでしょうが、ひと当てしてましょう」
「くうううっやっと決断したか!
アル、兄貴、あんまし難しいことばかり考えんなよ。
一気に城を落とすぞ」
誠一は自分の親しき仲間に
犠牲者が出て欲しくなかった。
そんな利己的な考えから、ヴェルが先陣をきって
城攻めすることを止めたかった。
「そうだ、ヴェル。
少しは一軍の将として兵を率いて貰わないと、
将来、僕が困るよ。だから今回は兵を率いて指揮して貰うよ」
「ぐううっ。マジかよ。
ぐむぅ、アルが言うなら仕方ない」
ヴェルは不平たらたらだったが、誠一の決定には従った。
しかし、その後、珍しくヴェルは、思案顔で腕を
組んでいた。誠一はそのことが少し気にかかった。
「シエンナ、魔力がある限り補助魔術、防御魔術を展開して。
ロジェ、マリは左軍、右軍を指揮してください。
キャロは、中央から矢で城の兵を牽制して。
サリナは後方を警戒。中央は僕とヴェルで進む。
アミラはヴェルをサポート。明朝、正面から一気に攻めます」
「ふむ分かったが、城を囲む水堀はどうする?」
マリアンヌの指摘は誠一の最大の悩みどころであった。
あまり水深は、深くなくそのまま進軍することは
可能であったが、速度は極端に遅くなり、
モレロン軍の飛び道具による攻撃で兵を損耗することは
明白であった。
「アルと私で最前面に防御壁を展開しましょう。
あの汚泥を進めと言うのは気が進まないけど、仕方ないわね」
シエンナの言葉は気休め程度だったが、
それ以外に手段なく、誠一は頷いた。
軍議は終了した。
「進軍開始」
翌日、誠一の一声で全軍が城に向かって動き出した。
「いくぞ、野郎ども!天上、地下、地上、
この世の全てに己の勇を見せよ。
うおおおっアルフレート軍、万歳」
「おおおう、万歳、万歳、万歳」
突如として沸き上がった万歳三唱。
そして、中央より一部の軍が突出した。
誠一は呆気にとられて、動けなかった。
「あの馬鹿ヴェルがぁ。
アル、ぼーっとしてないで、
ヴェルの一団に防御魔術を展開しないと。
ああっもうアミラも一緒になって」
シエンナの言葉で我に返ると誠一は慌てて、
防御魔術を展開した。
「風よ、全てを吹き飛ばし、全てを遮れ。エアシールド」
「水よ、全てを包み込み全てを飲み込め、ウォーターシールド」
「炎よ、全てを燃え尽くし、全てを妨げよ、ファイアシールド」
最前線に巨大な炎の防御魔術が展開された。
流石に兵士たちへの責任を放り投げて
突撃を敢行するほどの阿呆ではなかった。
しかし、その巨大な魔術の展開でヴェルの魔力は
ほぼ枯渇しているはずであった。
「アミラ、俺の後ろに控えていろよ。
一点集中、触れたものを破壊し尽くせ、フレイムランサー」
ヴェルのハルバートの穂先に
鮮やかな紅い球体が灯された。
城門の一点突破を敢行するつもりであることが
離れた場所にいる誠一とシエンナにも見てとれた。
しかもヴェルは、先頭を疾走していた。
その後にヴェルが指揮すべき兵士たちが必死に走っていた。
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