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742. 領土防衛戦11
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「うん、話はついたようね。
全軍、突撃。一兵たりとも逃がさないで」
遠目から二人の様子を観察していたシエンナが
指示を出すと、傭兵たちは動き出した。
サリナは最後尾で周囲を警戒した。
デュプレが敗れ、総大将のいなくなった敵兵たちは
各々の判断で動こうとした。
その時、白き竜の存在を目の当たりにして、
先程と違った恐怖で動けなくなっていた。
しかし、竜の爪が一部の兵士を襲い、薙ぎ払うと、
算を乱す様に我先にと四散し始めた。
「流石に都合よく同じ方向へ逃げ出すことはないか」
誠一はデュプレを拘束すると、瞬足の足袋の能力を用いて、
瞬時に敵兵に接近した。
先行していたヴェルが叫んだ。
「アル、大丈夫か?」
「ああ、もう平気だよ。
さっきはマリの言葉に引っ張られ過ぎて、
ちょっと自分を見失っていただけだから」
2人は軽口を叩きながらも圧倒的な実力差で
敵兵を無力化させていった。
「アミラよ。つまらぬ。
どうやら人の世の戦とはこのようなものなのか」
スケードが逃げ出す敵兵に侮蔑の眼を向けていた。
「剣豪さんやマリアンヌさんのようなS級の冒険者は別格なのです。
でもここの敵兵は特別に打たれ弱いです」
少し離れたところからヴェルがアミラへ
大きくハルバートを振るって合図を出していた。
「役目は完了です。スケード、ゆっくりするです。
私はヴェルをサポートしてきます」
アミラはスケードから降りるとヴェルの方へ走り出した。
ジェームズ・バロン・デュプレ領は
誠一によってジェルミラ家より解放された。
領主デュプレは捕らえられ、配下の兵士はほぼ皆殺しとなった。
誠一たちは村に入った。
村の民草は一様に生気に欠けており、目が死んでいた。
彼らの表情から誠一は希望を感じることは全くなかった。
「それにしても民草を盾にとられたら、退かざるを得なかったわね」
「おう、そうだな。
だけとシエンナ、デュプレは何故、それをしなかったんだ?
すげーやりそうな感じがしたけどな」
ヴェルの疑問へシエンナに代わって、誠一が答えた。
「恐らくだけど、彼等は民にその価値を
見出せなかったんだろうね。
逆に撤退時に追撃を躱すための
人の盾くらいにはしたかもしれないけど」
のろのろと周りに集まった民に誠一は
過度な課役免除や減税を告知した。
しかし、集まった民たちの反応は鈍かった。
どの民も誠一と目を合わせようとせずに一様に下を俯いていた。
歓喜とは言わずとも何らかの反応があってもよいのでは
と誠一は思った。
戦場とは違ったこの重苦しい雰囲気に誠一を始めとして、
ヴェル、シエンナ、そしてサリナはのみ込まれていた。
全軍、突撃。一兵たりとも逃がさないで」
遠目から二人の様子を観察していたシエンナが
指示を出すと、傭兵たちは動き出した。
サリナは最後尾で周囲を警戒した。
デュプレが敗れ、総大将のいなくなった敵兵たちは
各々の判断で動こうとした。
その時、白き竜の存在を目の当たりにして、
先程と違った恐怖で動けなくなっていた。
しかし、竜の爪が一部の兵士を襲い、薙ぎ払うと、
算を乱す様に我先にと四散し始めた。
「流石に都合よく同じ方向へ逃げ出すことはないか」
誠一はデュプレを拘束すると、瞬足の足袋の能力を用いて、
瞬時に敵兵に接近した。
先行していたヴェルが叫んだ。
「アル、大丈夫か?」
「ああ、もう平気だよ。
さっきはマリの言葉に引っ張られ過ぎて、
ちょっと自分を見失っていただけだから」
2人は軽口を叩きながらも圧倒的な実力差で
敵兵を無力化させていった。
「アミラよ。つまらぬ。
どうやら人の世の戦とはこのようなものなのか」
スケードが逃げ出す敵兵に侮蔑の眼を向けていた。
「剣豪さんやマリアンヌさんのようなS級の冒険者は別格なのです。
でもここの敵兵は特別に打たれ弱いです」
少し離れたところからヴェルがアミラへ
大きくハルバートを振るって合図を出していた。
「役目は完了です。スケード、ゆっくりするです。
私はヴェルをサポートしてきます」
アミラはスケードから降りるとヴェルの方へ走り出した。
ジェームズ・バロン・デュプレ領は
誠一によってジェルミラ家より解放された。
領主デュプレは捕らえられ、配下の兵士はほぼ皆殺しとなった。
誠一たちは村に入った。
村の民草は一様に生気に欠けており、目が死んでいた。
彼らの表情から誠一は希望を感じることは全くなかった。
「それにしても民草を盾にとられたら、退かざるを得なかったわね」
「おう、そうだな。
だけとシエンナ、デュプレは何故、それをしなかったんだ?
すげーやりそうな感じがしたけどな」
ヴェルの疑問へシエンナに代わって、誠一が答えた。
「恐らくだけど、彼等は民にその価値を
見出せなかったんだろうね。
逆に撤退時に追撃を躱すための
人の盾くらいにはしたかもしれないけど」
のろのろと周りに集まった民に誠一は
過度な課役免除や減税を告知した。
しかし、集まった民たちの反応は鈍かった。
どの民も誠一と目を合わせようとせずに一様に下を俯いていた。
歓喜とは言わずとも何らかの反応があってもよいのでは
と誠一は思った。
戦場とは違ったこの重苦しい雰囲気に誠一を始めとして、
ヴェル、シエンナ、そしてサリナはのみ込まれていた。
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