転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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707. 閲兵式3

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「アルフレート、君は随分と自己評価が低いと見える。
眉目秀麗、君ほどに容姿に優れた者の前で
派手に傾いても惨めな道化にしかなりえないからな」

「マリ、その言葉をそっくりそのままあなたに返しますよ」
誠一は緊張の面持ちを崩さずに答えた。
目の前にはもう主城の正門がはっきりと見えていた。
誠一はバリーシャに捧げる言上を忘れまいと
再びぶつぶつと何度も復唱し始めた。

先頭のロジェとヴェルが止まった。
正門は閉じたままで衛兵が数名並んでいた。
「冒険者よ、如何なる用か?」

「アルフレート・フォン・エスターライヒが
主宰するクランが旧ジェイコブ領の騒乱を収めんと出征する。
その報告に参った。門を開けよ」

ヴェルナー・エンゲルスが大音声で言上した。
凛とした声は聞く者を魅了した。
衛兵は開門の指示を出して、門の両脇に並んで敬礼をした。

誠一は一連の芝居かかった流れに
苦笑しそうであったが、必死に我慢した。
剣豪は笑っているだろうと思い、盗み見たが、
思いのほか謹厳な表情を保っていた。
誠一も慌てて佇まいを正し、真面目な表情を
保つように努めた。

ロジェとヴェルは正門を通り過ぎて、
主城のバルコニーの前で停止した。
ロジェが右手に持つツヴァイヘンダーを
大空に掲げて、停止の合図を送った。

バルコニーの上から誠一たちを眺めていたバリーシャは
感嘆の声を上げた。
「ほう、見事な統率力だ。
荒くれ者たちをしっかりと統率しているな」

「僭越ながら申し上げます。
S級の冒険者鬼谷、マリアンヌあってこそのことでございます。
それに聞くところによると冒険者や傭兵も
随分と大人しい者どもを選別したようです」
バリーシャの側に立つ宰相が耳打ちした。

「その二人をクランに引き入れ、
上空を舞う巨大な竜すら仲間にしている。
それは紛れもなくアルフレートの能力の一端であろう。
宰相、貴様にそれができるか」
耳障りな言葉が今後入って来ない様に
周囲へ聞こえるような声でバリーシャが話した。

宰相は反論することなくうやうやしく一礼をして、
肯定した。

「御意」

「まあ宰相の言いたいことも分からんでもない。
結果はおのずと分かるであろう。
あの荒れ果てた地をどう料理するか見ものだな」
否定するだけでなく宰相の意見にも見るべきものがあると
匂わせたバリーシャであった。
全ての言葉が為政者にとって、政治だということ
バリーシャは感覚で理解していた。

ヴェルトール王国の全軍を統率する侯爵家の
ドルレアン・ストラッツェールがバリーシャの前に跪いた。
「女王、これより出征する軍へお言葉を頂けますでしょうか」

バリーシャは鷹揚に頷くと、バルコニーの手摺に両手をつけた。
周囲の者たちが慌てて、それを止めようとしたが、時すでに遅かった。

バリーシャはバルコニーより上半身を乗り出して話し出した。

「壮観だな。アルフレートよ、貴様に命じる。
旧ジェイコブ領の混乱を収めよ」

今度は誠一がバリーシャの言葉に返す番であった。
しかし、誠一は何も話し出さない。

少し間が長くなると、バルコニーの上に並ぶ者たちがざわつき始めた。
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