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672.氷竜17
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『小僧、この俺を人間に降った竜より下に見るか』
「さあな、俺にはそれを判断することはできないな。
ただお前にアミラを治せず、金色の竜に治せるなら、
そう思うだろうし、そう話すだろ。
ただ、その時、おまえはそれを正すことも反論することもできない。
なぜなら、ここで死ぬからな」
ヴェルは焚きつけるでもなく変わらず淡々と話した。
氷竜は苛立たし気にヴェルを睨みつけた。
ヴェルは臆することなく睨み返した。
『小僧、あの不快な音を止めろ。
竜種の頂点たる竜が誰であるか教えてやろう。
あの金ぴかの竜が博覧強記にて最強なとど、不快極まる話だ。
小僧、その大切そうに抱えている娘を俺の前に寝かせろ』
ロジェは二人の会話から察して剣を止めた。
音が聞えなくなると、ヴェルは外套を雪の上に敷き、
その上にアミラをゆっくりと寝かした。
ヴェルは食い入るようにアミラを見つめた。
「氷竜、もしおまえがアミラを傷つけたなら、
その時は、魔道槍兵ヴェルナーエンゲルスが
その全力をもって、その首を飛ばす」
ヴェルの背の蒼い羽が一段と大きく広がり、氷竜を威嚇した。
チリチリと冷たい空気を焼く音がした。
氷竜はこの戦いで一番強い殺気を受けた。
闘争心を刺激され、久々に戦いたいと心底思ったが、
傷だらけの身体を動かすことが出来なかった。
『ふははは。面白い。今日は本当に面白い。
久々に様々な気分を味わえたわ。
この娘を主として認め、この娘が死すまで傍にいよう。
我が長き刻のほんの僅かな時だ。
貴様らの生き様を楽しませて貰おう。
小僧、その小娘と契約をする。俺の傷を回復させよ』
ヴェルは氷竜に対する警戒を解いていなかった。
それは他のメンバーも同じであった。
「アル!すまねえ。氷竜の血は諦めてくれ。
俺はアミラを人の姿に戻してやりたい。
もしお前がそれを許さないならば」
「俺はクランを脱退する。
そして何年かけてでも氷竜と同じくらいの竜の血を
得るための旅に出る。
だから、アル。頼むから、ここは譲ってくれ」
ヴェルの声は誠一にも聞こえていた。
そもそも血など求めていなかった。
ヴェルの在り様に嫉妬していたが、
親友であり背中を預ける漢だった。
心配そうにキャロリーヌが誠一の瞳を覗き込んでいた。
誠一は声を出すのが辛い事と先ほどの様な誤解を避けるために
キャロリーヌの太腿に指をなぞらせて、思いを伝えた。
「ヴェル、血は求めていないわ。さっさと儀式を進めなさい」
キャロリーヌの声を聞いたヴェルが心底嬉しそうに笑った。
「氷竜、これは千晴様より下賜された貴重な回復薬だ。
そのガタイには足りないが痛みを和らげるくらいにはなるだろう」
ヴェルは手持ちの数本の回復薬を氷竜の口に含ませた。
「さあな、俺にはそれを判断することはできないな。
ただお前にアミラを治せず、金色の竜に治せるなら、
そう思うだろうし、そう話すだろ。
ただ、その時、おまえはそれを正すことも反論することもできない。
なぜなら、ここで死ぬからな」
ヴェルは焚きつけるでもなく変わらず淡々と話した。
氷竜は苛立たし気にヴェルを睨みつけた。
ヴェルは臆することなく睨み返した。
『小僧、あの不快な音を止めろ。
竜種の頂点たる竜が誰であるか教えてやろう。
あの金ぴかの竜が博覧強記にて最強なとど、不快極まる話だ。
小僧、その大切そうに抱えている娘を俺の前に寝かせろ』
ロジェは二人の会話から察して剣を止めた。
音が聞えなくなると、ヴェルは外套を雪の上に敷き、
その上にアミラをゆっくりと寝かした。
ヴェルは食い入るようにアミラを見つめた。
「氷竜、もしおまえがアミラを傷つけたなら、
その時は、魔道槍兵ヴェルナーエンゲルスが
その全力をもって、その首を飛ばす」
ヴェルの背の蒼い羽が一段と大きく広がり、氷竜を威嚇した。
チリチリと冷たい空気を焼く音がした。
氷竜はこの戦いで一番強い殺気を受けた。
闘争心を刺激され、久々に戦いたいと心底思ったが、
傷だらけの身体を動かすことが出来なかった。
『ふははは。面白い。今日は本当に面白い。
久々に様々な気分を味わえたわ。
この娘を主として認め、この娘が死すまで傍にいよう。
我が長き刻のほんの僅かな時だ。
貴様らの生き様を楽しませて貰おう。
小僧、その小娘と契約をする。俺の傷を回復させよ』
ヴェルは氷竜に対する警戒を解いていなかった。
それは他のメンバーも同じであった。
「アル!すまねえ。氷竜の血は諦めてくれ。
俺はアミラを人の姿に戻してやりたい。
もしお前がそれを許さないならば」
「俺はクランを脱退する。
そして何年かけてでも氷竜と同じくらいの竜の血を
得るための旅に出る。
だから、アル。頼むから、ここは譲ってくれ」
ヴェルの声は誠一にも聞こえていた。
そもそも血など求めていなかった。
ヴェルの在り様に嫉妬していたが、
親友であり背中を預ける漢だった。
心配そうにキャロリーヌが誠一の瞳を覗き込んでいた。
誠一は声を出すのが辛い事と先ほどの様な誤解を避けるために
キャロリーヌの太腿に指をなぞらせて、思いを伝えた。
「ヴェル、血は求めていないわ。さっさと儀式を進めなさい」
キャロリーヌの声を聞いたヴェルが心底嬉しそうに笑った。
「氷竜、これは千晴様より下賜された貴重な回復薬だ。
そのガタイには足りないが痛みを和らげるくらいにはなるだろう」
ヴェルは手持ちの数本の回復薬を氷竜の口に含ませた。
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