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583.狩猟祭8

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「まあ、あまりにも教義に反するような啓示は
教壇が秘匿するでしょうけどね。
都合の良い啓示は広く開示されるけど、
教団に不利益になる啓示はそのまま神々の黙示録という禁書に
記載されて、封印されるわ」

誠一はなるほどとキャロリーヌの説明に納得したが、
信心深いシエンナは反論した。
「ちょっと、キャロリーヌ。それは違うわよ。
悪魔付きとか堕ちた神、狂信者の言葉を封印しているだけでしょ」

誠一は、言い合いになりそうな二人を止めた。
「二人とも黙って、ここは戦場だよ。
あとでその話は聞く。それよりも」

「うん、『薔薇の園』の僧侶莉々視が啓示を
受けているみたいだし、待った方が得策よ。
神の言葉を妨げたなんてサピエンツ教団の耳に入ったら、
厄介なことっていうより大事になるわ。
教団を敵に回すようなことになるから」
キャロリーヌの説明に頷くと誠一は、
ダメ元で千晴に再び話し掛けた。

『はひ、すみません、誠一さん。今、確認中です。
莉々子に直接、聞けないから清涼さんに聞いて貰っています』

『いえ、こちらこそ貴重な時間を割いて貰って、すみません』
内心で思っていることと真逆のことを伝える誠一であった。

『取り敢えず知っていることだけ伝えますね。
HNリリーって名前でゲームをしている
会社の同僚のプレイヤーです。
知人を介して、狩猟祭は撤回して貰ったつもりでしたけど、
そこらへんについては今、問い質して貰っています』

あんまり考えたくはないが、確か清涼とかいう知人、
リリー、そして千晴という3人の痴情のもつれに
巻き込まれているのではと疑ってしまった。
知人とやらの話でリリーを刺激しなければと
誠一は思うばかりであった。

「アルフレート君、どうやら神託が下されたようだ」

ロジェの言葉で全員が莉々視の方へ目を向けた。
莉々視の周りには恭しく跪く美女5人がいた。

「我らが信奉する女神様よりありがたきお言葉を頂いた。
辞を低くしてそのお言葉に耳を傾けよ」

誠一たちは特に恭しい態度を取るでもなく、
武器を構えて、莉々視を注視していた。

「無礼者が!跪け。貴様ら女神様のお言葉を前に無礼であろう」

喚き散らすばかりで女神の言葉を開示しない莉々視に
誠一は辟易してしまった。

形だけでもと誠一が跪こうとした時、
ヴェルが誠一の腕を取り、叫んだ。
「ふん、くだらない。言いたくなければ言わなくてもいいぜ。
どうせ俺らの信じる神様じゃないしな。
俺は俺の納得する時だけ跪く。なあ、アルそうだろ?」

彼女の受けた啓示の内容が気になるところだったが、
千晴もログインしているため、千晴を喜ばせる選択肢も
悪くないと誠一は判断した。
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