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548.大会戦20
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「貴様、なにホッとした顔をしているっ!
その男はアルフレート・フォン・エスターライヒに違いあるまい!
貴様も名前くらいは聞いた事があるだろうがぁ。この痴れ者め」
儀仗兵の顔が真っ青になった。
裏切者、詐欺師、スパイ、噂に聞く彼を表現する言葉は
碌でもないものばかりであった。
「本陣付近まで接近を許すとは!
急ぎ兵を率いて、彼奴めを捕らえてまいります」
「いや、その任は私めに」
「それがしに指示を頂ければ、生きたまま献上いたします」
各々がアルフレート捕縛に立候補した。
その様子をダンブルは眠そうな目を擦り、見渡した。
そして、高らかに笑った。
「ふはははっははっは。
お前たち自らアルフレートを捕らえようとは、その殊勝な心掛け!
感心感心。故に命じる。アルフレートを捕縛するのは、早い者勝ちだ」
その場にいる貴族や将軍は直ちに部下へアルフレート捕縛を
指示した。自ら動く者は皆無であった。
その様子を心底、楽しそうにダンブルは眺めていた。
この狂乱の間隙をついて、いつの間にか膝を折って
報告をしていた儀仗兵はこの場から逃げ出していた。
誰もその男の行方を気にする者はいなかった。
とばりの外に先ほどの儀仗兵が抜け出して来るのを確認すると、
誠一は行動に移った。恨みがましい視線を儀仗兵が送ってきた。
次の瞬間、脳天に矢が刺さっていた。
そのままどさりと倒れて、物言わぬ骸となり果てた。
「どうやら大した輩はのこっていないようだな」
ロジェがそう評すると、愛用のツヴァイヘンダーを握り直した。
誠一はごく当たり前のような雰囲気でとばりの内側に入った。
あまりにも自然な雰囲気に反乱軍の面々は誰も誠一の行動に異を感じなかった。
「お久しぶりです、皇帝陛下。その首を頂きにまいりました」
「ふはははは。アルフレート、貴様は俺を本当に楽しませてくれる。
その白き鎧は、この俺様の血で赤く染め上げたいということか」
先程の眠そうな雰囲気とは打って変わり、目を燦然と輝かせていた。
まるでこれから開演される劇に胸を躍らせる少年のようであった。
「この鎧はバリーシャ女王より下賜されたもの。
正直、申し上げますと反乱軍の首謀者の汚れた血で
汚しくたくありません。
大人しく降伏して頂けないでしょうか」
貴族や将軍は一斉に立ち上がり、剣を抜いた。
しかし積極的に誠一へ襲いかかる者はいなかった。
「ふむそうか。だが降伏する訳にはいかんなぁ。
まあなんだ、戦うしかないな。
我が血で汚れる前に貴様の前に立つ者たちの血と
アルフレート貴様の血でその鎧は濡れるだろうな。
この地に唯一無二の存在たる皇帝に刃を向けることは
許されぬ。その罪は万死に値する。
我が忠誠なる僕よ、その魂をもって、
アルフレート・フォン・エスターライヒを討ち取るがよい。
絶対の命令にて、あの者を討ち取るがよい」
ダンブルは右手を掲げて、アルフレートに向かって振り下ろした。
何気ない行動であったが、誠一の眼前の貴族や将軍たちの表情が一変した。
顔を歪ませて、誠一だけを睨みつけていた。
その男はアルフレート・フォン・エスターライヒに違いあるまい!
貴様も名前くらいは聞いた事があるだろうがぁ。この痴れ者め」
儀仗兵の顔が真っ青になった。
裏切者、詐欺師、スパイ、噂に聞く彼を表現する言葉は
碌でもないものばかりであった。
「本陣付近まで接近を許すとは!
急ぎ兵を率いて、彼奴めを捕らえてまいります」
「いや、その任は私めに」
「それがしに指示を頂ければ、生きたまま献上いたします」
各々がアルフレート捕縛に立候補した。
その様子をダンブルは眠そうな目を擦り、見渡した。
そして、高らかに笑った。
「ふはははっははっは。
お前たち自らアルフレートを捕らえようとは、その殊勝な心掛け!
感心感心。故に命じる。アルフレートを捕縛するのは、早い者勝ちだ」
その場にいる貴族や将軍は直ちに部下へアルフレート捕縛を
指示した。自ら動く者は皆無であった。
その様子を心底、楽しそうにダンブルは眺めていた。
この狂乱の間隙をついて、いつの間にか膝を折って
報告をしていた儀仗兵はこの場から逃げ出していた。
誰もその男の行方を気にする者はいなかった。
とばりの外に先ほどの儀仗兵が抜け出して来るのを確認すると、
誠一は行動に移った。恨みがましい視線を儀仗兵が送ってきた。
次の瞬間、脳天に矢が刺さっていた。
そのままどさりと倒れて、物言わぬ骸となり果てた。
「どうやら大した輩はのこっていないようだな」
ロジェがそう評すると、愛用のツヴァイヘンダーを握り直した。
誠一はごく当たり前のような雰囲気でとばりの内側に入った。
あまりにも自然な雰囲気に反乱軍の面々は誰も誠一の行動に異を感じなかった。
「お久しぶりです、皇帝陛下。その首を頂きにまいりました」
「ふはははは。アルフレート、貴様は俺を本当に楽しませてくれる。
その白き鎧は、この俺様の血で赤く染め上げたいということか」
先程の眠そうな雰囲気とは打って変わり、目を燦然と輝かせていた。
まるでこれから開演される劇に胸を躍らせる少年のようであった。
「この鎧はバリーシャ女王より下賜されたもの。
正直、申し上げますと反乱軍の首謀者の汚れた血で
汚しくたくありません。
大人しく降伏して頂けないでしょうか」
貴族や将軍は一斉に立ち上がり、剣を抜いた。
しかし積極的に誠一へ襲いかかる者はいなかった。
「ふむそうか。だが降伏する訳にはいかんなぁ。
まあなんだ、戦うしかないな。
我が血で汚れる前に貴様の前に立つ者たちの血と
アルフレート貴様の血でその鎧は濡れるだろうな。
この地に唯一無二の存在たる皇帝に刃を向けることは
許されぬ。その罪は万死に値する。
我が忠誠なる僕よ、その魂をもって、
アルフレート・フォン・エスターライヒを討ち取るがよい。
絶対の命令にて、あの者を討ち取るがよい」
ダンブルは右手を掲げて、アルフレートに向かって振り下ろした。
何気ない行動であったが、誠一の眼前の貴族や将軍たちの表情が一変した。
顔を歪ませて、誠一だけを睨みつけていた。
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