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534.大会戦6

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 誠一たちが属するヴェルトール王国の傭兵団は、
反乱軍の最右翼である王ジェイコブ・ジェルミラの軍を
駆逐する勢いであった。
あまりのジェイコブ軍の乱れぶりに乗じて突出してまった傭兵団は
ジェイコブ軍の混乱に巻き込まれてしまい乱戦の様相となっていた。
 
 乱戦模様の中でヴェルトール王国の傭兵をなぎ倒している集団が
ヴェルの眼にとまった。
「おいおい、マジかよ。何でここにあいつらがいんの」

「ヴェル、何が見えたの?」
誠一の問いにヴェルが手短に答えた。

「アル、あいつらだよ。竜公国で絡んできた『バロック一家』だよ」

周囲を覆う戦場の匂いとは違った際立つ異臭に
ヴェルとアミラが顔を顰めた。
誠一も生臭い異臭に眉をひそめたが、あくまでも臭いに
反応してのことであった。

「あいつらがいるってことはジェイコブの野郎も近くに違いない」
ヴェルの言葉にアミラが反応した。
「ジェイコブよりあの連中にリベンジです」

「いったいいつバロック一家の残党はジェイコブに合流したんだろう」
一人だけテンションの違う誠一の言葉にヴェルが眉を顰めた。
「そんなことはどうでもいいー。アル、あいつらを倒すぞ。
あれでいくぞ!アミラ、俺らの後ろからついて来い」

「フレイムチャージ」

「エアチャージ」

2人の呼吸バッチリな技が放たれた。
風の力で普段より派手に燃え盛る炎の塊が
バロック一家の一団に突撃した。

「あのバカ二人が!俺たちも追うぞ。
サリナ、遅れ気味のシエンナとあの二人に合流してくれ」
少し離れた所で戦っていたロジェは、誠一とヴェルの突撃を
見ると慌てて、仲間に指示を飛ばして動き出した。

バロック一家の一団は誠一とヴェルの突撃を受けると
散り散りになってしまった。
どうやら傭兵を上手く大人数で囲んで
袋叩きにしていただけのようだった。
誠一はその理にかなっているやり方に感心してしまった。
しかし所詮はチンピラであった。
恐ろしく強烈に見える派手な技を目の前にして、
恐れおののき結構な数のチンピラが逃散してしまったようだった。

「ん?貴様らは確か竜公国いた小僧ども」
鈍重そうな男がふぅふぅと息を上げながら、
口から悪臭を周囲に放っていた。
敵味方関係なしに誰もが顔を顰めていた。

「くっさっ!くさいです。やっぱりくさいです」
アミラは他の言葉を忘れたかのようにくさいと連発していた。

「貴様らのせいでバロック一家は解散の憂き目にあった。
路頭に迷う我らを王が拾ってくれなければ、
野垂れ死にするところであったわ」

比較的根性のあるバロック一家の残党はその場に残っていた。
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