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505.使節団18

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誠一たちと『清き兵団』は、ゾンビの群れを抜けると
使節団の後を追った。

「アル、前方にいる結構な兵団に突っ込むの?」
キャロリーヌは前方を観察して誠一の判断を仰いだ。

「北関からの反乱軍はのろのろと兵を繰り出してるだけのようだね。
キャロ、一発いける?」
誠一の意図を察したキャロリーヌは空に向かって矢を番えた。

「最後の一発になるわよ。一本の矢よ。
その矢尻へ神の拳を顕現させよ。フォストゴッテスっー」
放たれた矢は、白い雲を引き裂きさいて上昇した。
地上に光が差し、空は明るくなり、人の視界には、神の拳が
ジェイコブ軍の中央に向かって降下を始めているように見えた。
矢の周りに発生している激しい気流が拳の様に見えた。
一瞬でジェイコブ軍は大混乱に陥った。
先ほどと同様に左右に逃げ纏い始めたが、時すでに遅しであった。

「我々、『清き兵団』が先行します。後について来てください」
清き兵団は雄叫びをあげながら、ジェイコブ軍へ突撃した。
ジェイコブ軍の混乱の極致となった。
清き兵団は背中を見せるジェイコブ軍の兵を容赦なく突き刺した。
そのため更に混乱は大きくなり、倒れた仲間を踏みつけてでも我先にと
逃げ出していた。

「アル、もしかしてキャロリーヌの一撃でジェイコブは死んだのかな」
シエンナが大混乱の敵兵を眺めていた。

「さあ、それは分からない。だけど、悪運強い人だから、
兵に紛れて逃亡していると可能性が高いよ」

誠一、シエンナ、そしてキャロリーヌは兵団の後に続き、
大混乱のジェイコブ軍に突入した。
一本の矢が誠一の防御魔術によって防がれた。
誠一は馬の歩みの遅くして周囲を見渡した。
すると、一人の男と目が合った。

「逆賊アルフレート。四肢を落としてでも皇帝陛下の元へ連れて行く」

「バラムさんですか。
できれば、ここは見逃して欲しいのですけど」

バラムは誠一を嘲笑した。
「面従腹背の徒は、禽獣にも劣る。
貴様の様な輩は、皇国の正義の下に裁く」

誠一は馬の歩みを止めて、バラムと対峙した。
偽りとはいえ、一緒に魔物を討伐したり、旅をした者であった。
誠一は、彼に刃を向けることを躊躇した。
一方、バラムはそういった感傷を一切持たず、
短剣を以て誠一に肉薄した。

「やっぱり、戦だとこうなるか」
誠一はバラムを見ながら嘆息した。

先手を取られたが、誠一はバラムの早さを脅威に感じなかった。
元々の基礎能力に加えて、補助魔術、啓示で強化された身体能力を
もってバラムの初撃を躱した。
そして、そのまま7面メイスでバラムを叩き倒した。

バラム程の実力者に対して、圧倒的な力の差を示した誠一に対して、
他の監軍たちは手を出すことを控えてしまった。

地に臥すバラムを誠一は見つめるが、
止めの一撃を繰り出すことができなかった。
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