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490.使節団3
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ジルベルトールより話のあった翌日、
誠一は仲間に使節団の件を仲間に相談した。
誠一が参加することをジルベルトールに伝えている以上、
北関へ向かうことは確定であった。
話し合いの結果、王都残留組と使節団随行組に分かれることになった。
「さて、アルフレート君。どのようなすみ分けにするつもりかな」
ロジェの質問について、誠一は既に答えを用意していた。
「ヴェルとキャロリーヌが随行組。
ロジェさん、シエンナ、サリナが残留組」
「ちょっと待って。納得いかない」
間髪を入れずにシエンナが反対した。
無論、シエンナは誠一の意図することを理解していたが、
瞬間的に感情を優先させてしまった。
誠一に理由を問われたが、シエンナは最もらしい理由を
答えることができずに口を濁してしまった。
「モリス家の情報、サリナの情報収集は
王都にあってこそ最も得る事ができると思うよ。
それをロジェさんが取捨選択して、随行組に何かしらの手段で送る。
それにヴェルとキャロなら撤収時にバランスがいいから」
誠一の説明を聞いても不服なのか、頬を膨らまして
納得しないシエンナだった。
シエンナにしては珍しく我を通して、退かなかった。
何を言おうと、受け入れないシエンナに誠一は若干、呆れ気味だった。
どうしたものかと周囲を見渡すと、キャロリーヌと目があった。
キャロリーヌは苦笑していた。
「アル、質問だけどいい?」
「いいけど。キャロ、何かあるの?」
「モリス家からの情報だけど、スターリッジさんから
ロジェに伝えて貰うようにすれば、良いと思うわ。
シエンナ、それは可能かしら?」
「大丈夫大丈夫。スターリッジが無理な時は、
店の者から連絡するように段取りしておくから」
間髪を入れずにシエンナが賛成した。
無論、キャロリーヌがライバルである自分を気遣っていることは
理解していたが、礼を言うよりもまずは、
自分も随行組に振り分けされることを優先した。
「なら話は早いわ。シエンナは随行組ね。
戦士もどき二名に弓兵、魔術師、バランスが良いと思わない?
アルはどう思うかしら」
「スターリッジ氏が毎回来ると思うとぞっとするが、
アルフレート君、この編成でいいんじゃないかな」
キャロリーヌとロジェの発言を聞き、誠一も納得した。
「じゃあ、シエンナも随行組だ。よろしくね」
「ふん、言ったもん勝ちってのは気に喰わないけど、
シエンナの魔術はまあ、役に立つからいいんじゃねえの」
ヴェルがぶっきらぼうに言うと、それにサリナが続いた。
「シエンナの探知魔術は折り紙付きだから、
悪くない選択だと思うよ。
まあ、スターリッジと毎度、顔を合わせるのは御免だけどね」
王都で始めて顔を合わせて、ほとんど面識のないはずの
サリナにまで煙たがられるスターリッジって一体と
誠一は思ったが、口には出さなかった。
壁に耳あり障子に目ありという諺が誠一の脳裏に過っていた。
恐らくヴェルが上手くスターリッジに乗せられて、
ペラペラといらんことを饒舌に話す未来しか
誠一には想像できなかった。
そのため、スターリッジに関しては、余計なことを
言わないように気を付ける様にしていた。
シエンナはスターリッジのことを擁護しているようだが、
誰しもが右から左に受け流している様だった。
誠一は仲間に使節団の件を仲間に相談した。
誠一が参加することをジルベルトールに伝えている以上、
北関へ向かうことは確定であった。
話し合いの結果、王都残留組と使節団随行組に分かれることになった。
「さて、アルフレート君。どのようなすみ分けにするつもりかな」
ロジェの質問について、誠一は既に答えを用意していた。
「ヴェルとキャロリーヌが随行組。
ロジェさん、シエンナ、サリナが残留組」
「ちょっと待って。納得いかない」
間髪を入れずにシエンナが反対した。
無論、シエンナは誠一の意図することを理解していたが、
瞬間的に感情を優先させてしまった。
誠一に理由を問われたが、シエンナは最もらしい理由を
答えることができずに口を濁してしまった。
「モリス家の情報、サリナの情報収集は
王都にあってこそ最も得る事ができると思うよ。
それをロジェさんが取捨選択して、随行組に何かしらの手段で送る。
それにヴェルとキャロなら撤収時にバランスがいいから」
誠一の説明を聞いても不服なのか、頬を膨らまして
納得しないシエンナだった。
シエンナにしては珍しく我を通して、退かなかった。
何を言おうと、受け入れないシエンナに誠一は若干、呆れ気味だった。
どうしたものかと周囲を見渡すと、キャロリーヌと目があった。
キャロリーヌは苦笑していた。
「アル、質問だけどいい?」
「いいけど。キャロ、何かあるの?」
「モリス家からの情報だけど、スターリッジさんから
ロジェに伝えて貰うようにすれば、良いと思うわ。
シエンナ、それは可能かしら?」
「大丈夫大丈夫。スターリッジが無理な時は、
店の者から連絡するように段取りしておくから」
間髪を入れずにシエンナが賛成した。
無論、キャロリーヌがライバルである自分を気遣っていることは
理解していたが、礼を言うよりもまずは、
自分も随行組に振り分けされることを優先した。
「なら話は早いわ。シエンナは随行組ね。
戦士もどき二名に弓兵、魔術師、バランスが良いと思わない?
アルはどう思うかしら」
「スターリッジ氏が毎回来ると思うとぞっとするが、
アルフレート君、この編成でいいんじゃないかな」
キャロリーヌとロジェの発言を聞き、誠一も納得した。
「じゃあ、シエンナも随行組だ。よろしくね」
「ふん、言ったもん勝ちってのは気に喰わないけど、
シエンナの魔術はまあ、役に立つからいいんじゃねえの」
ヴェルがぶっきらぼうに言うと、それにサリナが続いた。
「シエンナの探知魔術は折り紙付きだから、
悪くない選択だと思うよ。
まあ、スターリッジと毎度、顔を合わせるのは御免だけどね」
王都で始めて顔を合わせて、ほとんど面識のないはずの
サリナにまで煙たがられるスターリッジって一体と
誠一は思ったが、口には出さなかった。
壁に耳あり障子に目ありという諺が誠一の脳裏に過っていた。
恐らくヴェルが上手くスターリッジに乗せられて、
ペラペラといらんことを饒舌に話す未来しか
誠一には想像できなかった。
そのため、スターリッジに関しては、余計なことを
言わないように気を付ける様にしていた。
シエンナはスターリッジのことを擁護しているようだが、
誰しもが右から左に受け流している様だった。
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