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446.闇の勢力1
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誠一は数人の道案内の盗賊を連れて、
ロジェたちと合流した。
既に軍隊はおらず、取り残された者たちが
地に臥して怨嗟の言葉を吐いていた。
「これはとんでもないことになっていますね」
「アルフレート君、私たちに彼らを助ける術はない」
ロジェの言葉の意味を誠一は正確に捉えていた。
積極的にジェイコブたちは彼らを置き去りにした。
誠一の心持は違っていたが、結果、することは同じであった。
誠一たちに彼らを救う力はなかった。
僧侶もいなければ、非常に強力な回復薬も持ち合わせていなかった。
誠一たちは動き出した。声の出る者やずりずりと動ける者が
誠一たちに近づき、助けの言葉を投げかけたが、
それが叶わぬとなると、怨嗟の声をあげて、誠一たちを呪った。
「ったくよお。ジェイコブの分まで恨まれてる気分だぜ。
ほんと、やんなるよな」
ヴェルは吐き捨てた。その気分は誠一や他のメンバーも同じであった。
しかし、誰もヴェルに反応することなく無言であった。
「ちぇっ、言ったもん悪のようじゃんか」
「ヴェル、みんな同じ気分だよ」
誠一がヴェルをなだめると、幾分、気が晴れたのか、軽く頷いた。
ロジェは街道を見ていた。
「意外と街道が整備されているな」
その言葉を聞いて、道案内の盗賊の1人が嘲笑した。
「ぷっ。当たり前だろう。
お前らが何と呼ぼうがここにも住人がいるし、
支配者もいるんだぞ。阿保か」
ロジェは怒るでもなく、納得したように頷いた。
「それもそうだな」
盗賊に案内された砦に到着した時は、既に夜であった。
芸術性の欠片もない簡素な造りの正門であったが、頑丈そうであった。
開門したが、人の気配を誠一は感じられなかった。
中には明り一つなかった。
「我らにとって、この程度の闇は闇とは言えぬ。
足元が不安なら、なんなりと明かりを灯して貰ってけっこう」
案内人の言葉に誠一はメイスに炎を灯した。
ぼんやりとだが、数人いるようであった。
「ちぃ、マスタークラスの暗殺者か。
アルフレート、私の技術じゃ到底、彼等に及ばない」
「まあでも姿を現すと言うことは、
敵意がないことを示しているのか。それとも脅しなのかのどちらかよね」
シエンナの言葉にサリナが頷いた。
「うーん、あのクラスになると遠距離攻撃を回避する護符や
魔術耐性を上げる護符を持っているわよね。
戦闘になったら、あまり役に立てそうにないかな」
「はあ、キャロリーヌの攻撃をキャンセルできるような
護符なんてそうそうないでしょ」
シエンナの言葉にキャロリーヌが苦笑いした。
「ったくよ。あいつら招待しておいて、
この扱いとか常識がないよな。ってお腹減ったよな」
「あんたねー少しは緊張しなさいよ。
あんな連中から出された物なんて食べれないでしょ。
何が入っているか分かったもんじゃないわ。
ってか、アル、あなたが何も話さないから、
私一人で突っ込んでるじゃない」
シエンナの言葉にヴェルはお腹を鳴らした。
誠一はシエンナの言葉に全く反応せず、
ぼんやりとした人影を見つめていた。額に一筋の汗が流れた。
ロジェたちと合流した。
既に軍隊はおらず、取り残された者たちが
地に臥して怨嗟の言葉を吐いていた。
「これはとんでもないことになっていますね」
「アルフレート君、私たちに彼らを助ける術はない」
ロジェの言葉の意味を誠一は正確に捉えていた。
積極的にジェイコブたちは彼らを置き去りにした。
誠一の心持は違っていたが、結果、することは同じであった。
誠一たちに彼らを救う力はなかった。
僧侶もいなければ、非常に強力な回復薬も持ち合わせていなかった。
誠一たちは動き出した。声の出る者やずりずりと動ける者が
誠一たちに近づき、助けの言葉を投げかけたが、
それが叶わぬとなると、怨嗟の声をあげて、誠一たちを呪った。
「ったくよお。ジェイコブの分まで恨まれてる気分だぜ。
ほんと、やんなるよな」
ヴェルは吐き捨てた。その気分は誠一や他のメンバーも同じであった。
しかし、誰もヴェルに反応することなく無言であった。
「ちぇっ、言ったもん悪のようじゃんか」
「ヴェル、みんな同じ気分だよ」
誠一がヴェルをなだめると、幾分、気が晴れたのか、軽く頷いた。
ロジェは街道を見ていた。
「意外と街道が整備されているな」
その言葉を聞いて、道案内の盗賊の1人が嘲笑した。
「ぷっ。当たり前だろう。
お前らが何と呼ぼうがここにも住人がいるし、
支配者もいるんだぞ。阿保か」
ロジェは怒るでもなく、納得したように頷いた。
「それもそうだな」
盗賊に案内された砦に到着した時は、既に夜であった。
芸術性の欠片もない簡素な造りの正門であったが、頑丈そうであった。
開門したが、人の気配を誠一は感じられなかった。
中には明り一つなかった。
「我らにとって、この程度の闇は闇とは言えぬ。
足元が不安なら、なんなりと明かりを灯して貰ってけっこう」
案内人の言葉に誠一はメイスに炎を灯した。
ぼんやりとだが、数人いるようであった。
「ちぃ、マスタークラスの暗殺者か。
アルフレート、私の技術じゃ到底、彼等に及ばない」
「まあでも姿を現すと言うことは、
敵意がないことを示しているのか。それとも脅しなのかのどちらかよね」
シエンナの言葉にサリナが頷いた。
「うーん、あのクラスになると遠距離攻撃を回避する護符や
魔術耐性を上げる護符を持っているわよね。
戦闘になったら、あまり役に立てそうにないかな」
「はあ、キャロリーヌの攻撃をキャンセルできるような
護符なんてそうそうないでしょ」
シエンナの言葉にキャロリーヌが苦笑いした。
「ったくよ。あいつら招待しておいて、
この扱いとか常識がないよな。ってお腹減ったよな」
「あんたねー少しは緊張しなさいよ。
あんな連中から出された物なんて食べれないでしょ。
何が入っているか分かったもんじゃないわ。
ってか、アル、あなたが何も話さないから、
私一人で突っ込んでるじゃない」
シエンナの言葉にヴェルはお腹を鳴らした。
誠一はシエンナの言葉に全く反応せず、
ぼんやりとした人影を見つめていた。額に一筋の汗が流れた。
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