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422.軍議2
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「これ以上ない囮と目くらましになろうだろうて。さてさて、別動隊を指揮したい者はおらぬか」
静まり返ったまま、時が経過した。誠一も視線が合わないようにテーブルを見つめていた。
ダンブルが兵を率いると言った時点で、軍議から宮廷内政治の場となってしまった。
別動隊を率いて、華々しい活躍をすることは誰しもが求めるところであったが、ダンブルを餌にする点が引っ掛かった。後々に目をつけられて粛清されるのはまっぴらご免であった。
「ふむ、誰も立候補する者がおらぬか。ならば、アルフレートどうだ立候補してみては。先日のファーリの英雄譚にまた、一小節、加えられるだろう」
ダンブルが珍しく愉快そうに笑っていた。誠一は背中に悪寒を感じ、額を流れる大粒の汗が目の前のテーブルに零れ落ちた。
「若輩故に精強たる陛下の軍を統率するにはまだまだ、経験が足りません。平にご容赦ください」
誠一の言葉で大部屋全体が一息ついたような雰囲気なった。流石に誠一が受けていたら、反発と反感は必至であった。誠一は周囲の雰囲気から答えを違えなかったことを確信した。
「そうか、それでは仕方ない。シャービス、バリー、彼以外では誰が適任か?」
「グレイガー殿下以外に見当たりません」
とシャービス。
「グレイガー殿下を推薦いたします」
とバリー。
「そうかそうだな。グレイガー、別動隊を率いて、賊軍を殲滅せよ。委細はシャービス、バリーと詰めよ」
ダンブルは徐に立ち上がり、右手で円弧を描いた。
「オペレーションアーチロード」
そう言い残して、ガズンスを伴って、大部屋を去った。諸将と貴族たちは酔ったように作戦名を口にした。口にしただけで彼らは勝利を手にしたような表情であった。
誠一は周りの貴族たちと同様に歓喜の表情で讃えていたが、内心は懐疑的であった。
そんなに上手く敵軍の後方へ展開できるものだろうか。逆に包囲殲滅されそうであった。
周囲を見渡した時、グレイガーと目があった。真っ青な表情であった。周囲に聞き耳を立てると口さがない連中がグレイガーの顔色を嘲っていた。
「まさかのアルフレートの後での任命か。しかも陛下直々でなく、家臣からの推挙とか」
「そうだよな。屈辱だろうな。今は爵位もない平民より能力が下と言われようなもんだし」
「二人の間にひと悶着あろうな。グレイガー様の襟度が試されるな」
今の一件でグレイガーの誠一に対する憎悪が更に増していると認識した。自分の預かり知らぬところで勝手に好感度がだだ下っていた。誠一にとって、これは頭を抱えたくなるような状況であった。
軍議が解散されて、誠一はとぼとぼと宿に向かって帰っていった。
静まり返ったまま、時が経過した。誠一も視線が合わないようにテーブルを見つめていた。
ダンブルが兵を率いると言った時点で、軍議から宮廷内政治の場となってしまった。
別動隊を率いて、華々しい活躍をすることは誰しもが求めるところであったが、ダンブルを餌にする点が引っ掛かった。後々に目をつけられて粛清されるのはまっぴらご免であった。
「ふむ、誰も立候補する者がおらぬか。ならば、アルフレートどうだ立候補してみては。先日のファーリの英雄譚にまた、一小節、加えられるだろう」
ダンブルが珍しく愉快そうに笑っていた。誠一は背中に悪寒を感じ、額を流れる大粒の汗が目の前のテーブルに零れ落ちた。
「若輩故に精強たる陛下の軍を統率するにはまだまだ、経験が足りません。平にご容赦ください」
誠一の言葉で大部屋全体が一息ついたような雰囲気なった。流石に誠一が受けていたら、反発と反感は必至であった。誠一は周囲の雰囲気から答えを違えなかったことを確信した。
「そうか、それでは仕方ない。シャービス、バリー、彼以外では誰が適任か?」
「グレイガー殿下以外に見当たりません」
とシャービス。
「グレイガー殿下を推薦いたします」
とバリー。
「そうかそうだな。グレイガー、別動隊を率いて、賊軍を殲滅せよ。委細はシャービス、バリーと詰めよ」
ダンブルは徐に立ち上がり、右手で円弧を描いた。
「オペレーションアーチロード」
そう言い残して、ガズンスを伴って、大部屋を去った。諸将と貴族たちは酔ったように作戦名を口にした。口にしただけで彼らは勝利を手にしたような表情であった。
誠一は周りの貴族たちと同様に歓喜の表情で讃えていたが、内心は懐疑的であった。
そんなに上手く敵軍の後方へ展開できるものだろうか。逆に包囲殲滅されそうであった。
周囲を見渡した時、グレイガーと目があった。真っ青な表情であった。周囲に聞き耳を立てると口さがない連中がグレイガーの顔色を嘲っていた。
「まさかのアルフレートの後での任命か。しかも陛下直々でなく、家臣からの推挙とか」
「そうだよな。屈辱だろうな。今は爵位もない平民より能力が下と言われようなもんだし」
「二人の間にひと悶着あろうな。グレイガー様の襟度が試されるな」
今の一件でグレイガーの誠一に対する憎悪が更に増していると認識した。自分の預かり知らぬところで勝手に好感度がだだ下っていた。誠一にとって、これは頭を抱えたくなるような状況であった。
軍議が解散されて、誠一はとぼとぼと宿に向かって帰っていった。
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