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384.地方慰撫2

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何層にも張り巡らされた巣を燃やし、引き裂いたヴェルと誠一は、巣の奥まで到達していた。
「アル、此処が奥底なのかな?奥に洞窟ぽいのが続いてないか?」

「確かに掘った感じだけど、奥に続いてるね。進もうか」

誠一はメイスの先に光の魔術で明かりを灯した。最奥まで明かりは届かないようであった。

「結構、奥まで続いてるな。アル、後続を待つか?」

誠一に判断を委ねているようであったが、ヴェルは暗闇に向かって歩き始めていた。
誠一も明かりをかざしながら、歩き始めた。

「蜘蛛の糸は、張り巡らされてないな。何なんだろうな、蜘蛛って、洞穴に潜るもんだっけ?」

「さあ、あまり昆虫系の生態は詳しくないから」
雑談を交わしながらも周囲を警戒しながら、進んでいた。

「ヴェル!」
誠一は鋭い声でヴェルを制した。ヴェルも暗闇に光る赤い双眸に気が付いた。

「くっ、何か居やがる。すげー圧力を感じるぞ」

明かりの届かない遥か先の暗闇から朱い双眸は二人を捉えて離さなかった。誠一たちも赤い両眼から目を離すことができなかった。

「アル、あれって魔眼か何かなのか?あの不気味な二つの明かりが何故か目と思っちまった」
朱い双眸は、次第にその輝きを強く放ち始めていた。

「アル、やばくないか。動けないぞ。マジで魔眼か何かに魅入られているのか」

まさかの石化の魔眼かと思い、足が石化していないか誠一は見下ろした。幸にして、石化してはいなかった。となるとあの両眼に威圧されて動けないだけと思い、気合で威圧を振り解こうとした。

「うおおおっ」

洞穴に響くだけで、一向に誠一の身体が自由になることはなかった。

「あっアル!突然、大声を出すなよ。ビビるじゃねえかよ」

「いや、気合で何か自由になるかと思って」

やれやれといった感じでヴェルがため息をついた。若干、イラっとした誠一だった。

「アル、神より下賜された毒消し薬を飲んでもいいか?」
毒の影響とは思えず、懐疑的であったが、誠一は何もしないよりマシだと思い、頷いた。
ごくごくと飲み干すと、ヴェルは両足を動かし始めた。
「やはりな。どうにも足先から感覚が無くなっていくから、麻痺か毒だと思ったんだよ。ほれ、アルも飲め」
なんだろ得意絶頂のようにヴェルの顔が見えた。何とも言えぬ気分であったが、誠一も毒消し薬を飲んだ。自然と両足に感覚が戻り、自由になった。
「なっ、アル。俺の言った通りだろ」

「それよりヴェル、目の前のアレに集中して!」
物音一つせずに朱い双眸が力強くなってきた。恐らく近づいているのだろう。誠一のメイスに灯された明かりがそれを捕らえて、その姿が現れた。
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