転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

364. 閑話 とある新上司との情景4

千晴は、久々に何か面白い話はないかと
ゲームサイトの掲示板を開けた。
掲示板は、剣豪鬼谷の行方不明で賑わっていた。
パーティーを離脱した情報が既にユーザーの間で話題になっていた。
そして、神出鬼没の鬼谷の目撃情報が書かれていた。
どうやら複数の信憑性の高い情報から魔物の蔓延る地に
向かったことが大方の意見であった。
その他、王国派とダンブル派での正当性に関する激論が
交わされていた。
戦場は北関から推移し、ダンブルの居城グレートウォールまでに
立ちはだかる支城へ移っていた。

　乱立される話題の中で千晴はちょこちょこと
アルフレートの名が目に付いた。
ふとメールボックスに目を向けると特別招待状が届いていた。
千晴はそれを開封した。

Title：ヴェルトール王国　アルフレート・フォン・エスターライヒ狩猟祭開催中

プレーヤーによるイベント開催の告知と招待であった。
多くは迷宮や遺跡の攻略のための募集であった。
まれにプレーヤーキルや捕獲といった告知もあった。
あまりにも酷いイベントはロメック社による規制や抹消もあるが、
ほぼ放置状態であった。

「何なのよ。これっ！」

千晴は目を皿にして告知を読み始めた。

何で何でと読み進めるうちに千晴は胸の内にその思いが
強く込み上げてきた。

最後に告知者のハンドルネームのところで目が留まった。

胸を締め付ける強い思いが去来した。何で莉々子がこんなこと。
千晴はその感情に押しつぶされそうになっていた。
千晴の個別チャットルームには、未読が積み重なっていた。
恐らく清涼からの連絡がひっきりなしに書かれているであった。
もう一つは未読件数1件だけであった。

それは、誰からか見たくもないし、読みたくもなかった。

部屋に連絡が来た。暗い部屋に鳴り響く音に
千晴は身体がびくりとした。

誰からの連絡か確認すると清涼であった。
「こんばんは、佐藤さん！チャットを読まないから、
直接連絡しちゃったよ。今、外？それとも部屋？」

「家だけど」
千晴はか細い声で答えた。

「大丈夫？ちょっと事情が分からないけど、
アルフレートのことが掲示板のタイトルに
いくつも立ち上がってたからさ」

「大丈夫ですよ。ちょっと良くわからないけど、
ゲーム上でのことだから、心配無用」
千晴はそれだけを何とか答えた。

「いやいや、全然、大丈夫そうじゃないけど。
アルフレートにそのことを伝えないと」

「大丈夫ですよ。ゲームをプレイしなければ、
いくら粘着されても気になりませんから」
千晴は小さな声で答えた。

「鈴木誠一の件は、もういいのかな。なら良いんだけどね。
個人的には深追いしない方が良いと思うからさ」

「大丈夫ですよ。大人ですからのめり込むような
おかしなことにはなりませんよ。暫くゲームを離れるだけですから」
千晴は疲れていた。

清涼は大丈夫としか言わない千晴に何かあれば
連絡するように伝えると、会話を終了した。

千晴は清涼との会話が終わると、
莉々子との個別チャットルームをオープンした。

『ゲームやめろ。ざまあみろ』

それだけ読むと千晴はふらふらとコンピュータから離れて、
そのままベッドに潜り込んだ。