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344.閑話 とある連休明けの情景2
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千晴は席に戻りながら、社内の電子掲示板に
目を向けるとかなりの数の社員が群がっているのが目に入った。
千晴もなんの告知だろうと思い、掲示板の方へ向かった。
『人事異動のお知らせ』
表題を眺めた千晴は、この時期にしてはめずらしいな
と思いつつ、詳細を読み始めた。
島崎が課長から主任に降格していた。
資材部の女性社員が依願退職していた。
清涼が課長代理に昇格していた。
千晴は、この告知で会長のお言葉や島崎の落ち着かない態度が腑に落ちた。
席に戻ると既に島崎と清涼のデスクの位置が変更されていた。
いつ変更したのか不思議なくらいの早さであった。
島崎は終始震えていたが、誰も声をかける者はいなかった。
清涼は特に何の挨拶をするでもなく、普段と変わらず
淡々と仕事をこなし始めていた。
周囲のざわつきが気になりつつも総務部の面々は、
清涼に倣い淡々と仕事を開始した。
島崎だけはデスクの前で震えているだけで
仕事をしている様子はなかった。10時半頃に突然、清涼が話し出した。
突然のことに驚き、総務部のメンバーは仕事の手を止めた。
「島崎主任、仕事を進めてください。
仕事内容はメールで通達したはずです。
元々、総務で経験を積んできていますし、
業務の管理もなされて来たでしょう。
新入社員のように一から説明しないと仕事内容が
理解できませんか?」
清涼を除いた全員に緊張が走った。誰もが思った。
島崎に実務などできる訳ないと。
元々、コネ入社の上、若い頃に創業一家に連なる女性を
伴侶にして、スピード出世した男であった。
会長や社長といった親類縁者に阿ることと
部下を使い潰すことに長けた男であり、実務能力は皆無に等しかった。
島崎が何も答えないために清涼が再度、話始めた。
「何か答えて頂かないとどうにも対処できません。
出来ないならできない。分からないなら分からない。
はっきりとしてください。給与に見合うかどうかは別として、
能力に見合った業務を割り振ります」
島崎は、煙草ケースを掴むと、席を立った。
ひと悶着も何も起きずに全員がほっとした表情になったが、
大人しそうな印象の清涼の言動に不気味さも感じていた。
昼食時は、どこのテーブルも今朝の話題が占めていた。
耳を澄ませば、聞こえてくるのは島崎と
セクハラと言うワードばかりであった。
当の島崎は、昼食後も席に戻っておらず、
清涼がため息混じりに無断早退にせず、有給休暇として処理していた。
定時を迎え社員がぽつぽつと帰宅の徒につき始めていた。
千晴は1時間ほど残業をすると、帰宅の準備のため更衣室に向かった。
目を向けるとかなりの数の社員が群がっているのが目に入った。
千晴もなんの告知だろうと思い、掲示板の方へ向かった。
『人事異動のお知らせ』
表題を眺めた千晴は、この時期にしてはめずらしいな
と思いつつ、詳細を読み始めた。
島崎が課長から主任に降格していた。
資材部の女性社員が依願退職していた。
清涼が課長代理に昇格していた。
千晴は、この告知で会長のお言葉や島崎の落ち着かない態度が腑に落ちた。
席に戻ると既に島崎と清涼のデスクの位置が変更されていた。
いつ変更したのか不思議なくらいの早さであった。
島崎は終始震えていたが、誰も声をかける者はいなかった。
清涼は特に何の挨拶をするでもなく、普段と変わらず
淡々と仕事をこなし始めていた。
周囲のざわつきが気になりつつも総務部の面々は、
清涼に倣い淡々と仕事を開始した。
島崎だけはデスクの前で震えているだけで
仕事をしている様子はなかった。10時半頃に突然、清涼が話し出した。
突然のことに驚き、総務部のメンバーは仕事の手を止めた。
「島崎主任、仕事を進めてください。
仕事内容はメールで通達したはずです。
元々、総務で経験を積んできていますし、
業務の管理もなされて来たでしょう。
新入社員のように一から説明しないと仕事内容が
理解できませんか?」
清涼を除いた全員に緊張が走った。誰もが思った。
島崎に実務などできる訳ないと。
元々、コネ入社の上、若い頃に創業一家に連なる女性を
伴侶にして、スピード出世した男であった。
会長や社長といった親類縁者に阿ることと
部下を使い潰すことに長けた男であり、実務能力は皆無に等しかった。
島崎が何も答えないために清涼が再度、話始めた。
「何か答えて頂かないとどうにも対処できません。
出来ないならできない。分からないなら分からない。
はっきりとしてください。給与に見合うかどうかは別として、
能力に見合った業務を割り振ります」
島崎は、煙草ケースを掴むと、席を立った。
ひと悶着も何も起きずに全員がほっとした表情になったが、
大人しそうな印象の清涼の言動に不気味さも感じていた。
昼食時は、どこのテーブルも今朝の話題が占めていた。
耳を澄ませば、聞こえてくるのは島崎と
セクハラと言うワードばかりであった。
当の島崎は、昼食後も席に戻っておらず、
清涼がため息混じりに無断早退にせず、有給休暇として処理していた。
定時を迎え社員がぽつぽつと帰宅の徒につき始めていた。
千晴は1時間ほど残業をすると、帰宅の準備のため更衣室に向かった。
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