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303.閑話 とある大学での情景4

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「それにしても高澤 健・木村 正・千賀 良一は
本当に在籍してるようだけど、鈴木誠一なる人物は
在籍していないようだね。
あの感じだと、休学の線もなさそうだね。
一体どういうことだろ」
清涼の疑問に千晴は答える術も無かったために
『ヴェルトール王国戦記』で誠一の尋ねてみようと思った。

「天気も良いことだし、ちょっと外のベンチにでも座って、
アルフレートに尋ねてみようか」
清涼はそう言うと千晴を日当たりの良いベンチに誘った。

 清涼はベンチに座ると早速、『ヴェルトール王国戦記』を始めた。
千晴もベンチにハンチを敷いて、座り、同じようにゲームを開始した。

画面ではロジェ、キャロリーヌ、誠一、そして見知らぬ女が
冒険者たちに囲まれていた。
その輪の中で強そうな冒険者たちと対峙していた。
新しい女が誠一の側にいた。もしかして、この誠一と言う男は
とんだすけこま野郎なのかもしれなと千晴は思った。

 その冒険者たちは、どうやらキャロリーヌを
手籠めにしたいようだった。
そして、神や司祭の権力を利用して、有無を言わせずに
部屋にキャロリーヌを連れ込もうとしていた。

千晴はその状況にイラっとした。
キャロリーヌ自身の事を千晴は左程、好んでいなかった。
絶世の美女であり、溢れ出でる色気、誠一との行為から
淫蕩な女性に違いないと思っていた。
しかし、この状況に既視感が千晴にはあった。
会社での立場を利用してセクハラ行為に及ぶ島崎であった。
どうにも千晴はこの冒険者たちが気に食わなかった。

「清涼さん、ちょっといいですか?
何ていうか神の言葉を覆すようないい方法ってありませんか?」

「あっああ、ちょっと待って。画面を見せて」

清涼は手を休めると、顔を千晴の方へ寄せた。
二人の肩が軽く触れ、お互いの髪がほんの少し絡み合った。
その時、木々のざわめきが一際大きくなった。
枝や葉の隙間から眩しい光が彼らの元に一瞬だけ差し込んだ。
二人は眩しそうに手で翳して、光を遮った。

「佐藤さん、神の懐紙が残ってるじゃん。
それに書いて、アルフレートに送ればいいよ。それで問題解決。
それにしてもこのキャロリーヌってキャラクターは美人だね」
清涼は画面を覗き込んだ上に焦点を拡大してキャロリーヌに
合わせていた。

「清涼さん、ありがとう。ちょっと書き込みたいから、邪魔です。
それにしても今日は日差しが強いのかな」
千晴は書き込みむと、空を見上げた。

『見てて、むかつくから、あの連中、やっちゃってください』
書き込まれた紙を誠一が受け取ると言葉を入れ替えて、厳かに宣誓した。

隣でそれを清涼が腹を抱えて笑っていた。
続いて、ロジェとキャロリーヌも何かを宣誓していた。

突然、アルフレート扮する誠一が『婚約者1キャロリーヌ』の称号を
受けていた。

何これと素朴な疑問を感じ、称号の効果をチェックした。

裏切れば、評判は地に落ちるため、注意が必要。

裏切れば、各能力値が呪われて、低下する。

何この呪いみたいなスキル。千晴は吹き出してしまった。
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