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294.旅路12
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剣豪に向かって矢が飛来した。
キャロリーヌが放ったその矢の勢いに手加減は感じられなかった。
しかし、剣豪は、難なく木刀で矢をいなした。
木刀は矢によってえぐられた。
剣豪への死角からの攻撃のため、
ヴェルが珍しく雄叫びを上げずに突撃した。
何でもかんでも叫んでいたヴェルが成長していることを誠一は実感した。
ヴェルは突然、止まり、ハルバートを大きく横なぎに振り切った。
遠心力とヴェルの力が上手く相まって凄まじい速度で弧を描いた。
「どりゃー三日月斬撃」
えっ誠一は、強烈な斬撃と共に発せられた
ヴェルの叫びに呆気にとれてしまった。全然、成長しとらん。
一撃必殺の技は剣豪に難なく躱されていた。
「ふむ、月の斬撃の技をハルバートで繰り出しますか。
そのセンスは流石に秀逸ですね。しかし、遅い上に工夫がない」
解説まで加える余裕がある剣豪であった。
その余裕綽々な表情を見て、厳しい顔つきのヴェルが剣豪を睨みつけた。
ヴェルと違って、余計な雄叫びは一切無く、
一気に距離を詰めたロジェが剣豪にぶちかました。
「ぐううっパワーシフト」
ロジェの技が剣豪を捕らえて、後方へ吹き飛ばした。
ツヴァイヘンダーの一撃をいなしてはいたが、
木刀は切り裂かれて使い物にならなくなっていた。
武具を持たない剣豪へ容赦なく二の矢、三の矢が飛来した。
転がりながら、それらを躱す剣豪であった。
「水源より無数に踊り湧かれろ。流水演舞」
シエンナの詠唱が完了すると同時に彼女の杖から
無数の流水が現れ、剣豪に襲いかかった。
「全てを貫き、迸れ閃電の矢」
同時にキャロリーヌの叫びと共に閃光を発する矢が剣豪に襲いかかった。
剣豪は先ほど木刀を失ったはずであったが、既に両手に木刀を持っていた。
「一撃、二撃、三撃、百撃、千撃、万撃。斬防一体ノ儀」
二本の木刀による無数の斬撃により流水は弾かれ、矢は叩き落とされた。
しかし、木刀はぼろぼろになって、使い物にならなくなっていた。
剣豪は木刀を放り投げ、腰袋から、また一本、木刀を取り出した。
誠一はそれを見て、やはりと納得していた。
四六時中、酒を呑み、服装は清潔を保っていたが、
左程の荷物を持ち運んでいない剣豪であった。
そこに疑問を感じていたが、腰袋から木刀を取り出す様から納得した。
「やはり持っていたか。この世の技術・魔術で成しえない神からの贈り物を」
ロジェが嘆息した。
「ふむ、皆には黙っていて貰おう。無用の諍いの種になるのでな。
特にこの腰袋は規格外のサイズ故、尚の事でござる」
右手に木刀、左手に酒瓶を持ち、ぐびぐびと酒を煽る剣豪であった。
キャロリーヌが放ったその矢の勢いに手加減は感じられなかった。
しかし、剣豪は、難なく木刀で矢をいなした。
木刀は矢によってえぐられた。
剣豪への死角からの攻撃のため、
ヴェルが珍しく雄叫びを上げずに突撃した。
何でもかんでも叫んでいたヴェルが成長していることを誠一は実感した。
ヴェルは突然、止まり、ハルバートを大きく横なぎに振り切った。
遠心力とヴェルの力が上手く相まって凄まじい速度で弧を描いた。
「どりゃー三日月斬撃」
えっ誠一は、強烈な斬撃と共に発せられた
ヴェルの叫びに呆気にとれてしまった。全然、成長しとらん。
一撃必殺の技は剣豪に難なく躱されていた。
「ふむ、月の斬撃の技をハルバートで繰り出しますか。
そのセンスは流石に秀逸ですね。しかし、遅い上に工夫がない」
解説まで加える余裕がある剣豪であった。
その余裕綽々な表情を見て、厳しい顔つきのヴェルが剣豪を睨みつけた。
ヴェルと違って、余計な雄叫びは一切無く、
一気に距離を詰めたロジェが剣豪にぶちかました。
「ぐううっパワーシフト」
ロジェの技が剣豪を捕らえて、後方へ吹き飛ばした。
ツヴァイヘンダーの一撃をいなしてはいたが、
木刀は切り裂かれて使い物にならなくなっていた。
武具を持たない剣豪へ容赦なく二の矢、三の矢が飛来した。
転がりながら、それらを躱す剣豪であった。
「水源より無数に踊り湧かれろ。流水演舞」
シエンナの詠唱が完了すると同時に彼女の杖から
無数の流水が現れ、剣豪に襲いかかった。
「全てを貫き、迸れ閃電の矢」
同時にキャロリーヌの叫びと共に閃光を発する矢が剣豪に襲いかかった。
剣豪は先ほど木刀を失ったはずであったが、既に両手に木刀を持っていた。
「一撃、二撃、三撃、百撃、千撃、万撃。斬防一体ノ儀」
二本の木刀による無数の斬撃により流水は弾かれ、矢は叩き落とされた。
しかし、木刀はぼろぼろになって、使い物にならなくなっていた。
剣豪は木刀を放り投げ、腰袋から、また一本、木刀を取り出した。
誠一はそれを見て、やはりと納得していた。
四六時中、酒を呑み、服装は清潔を保っていたが、
左程の荷物を持ち運んでいない剣豪であった。
そこに疑問を感じていたが、腰袋から木刀を取り出す様から納得した。
「やはり持っていたか。この世の技術・魔術で成しえない神からの贈り物を」
ロジェが嘆息した。
「ふむ、皆には黙っていて貰おう。無用の諍いの種になるのでな。
特にこの腰袋は規格外のサイズ故、尚の事でござる」
右手に木刀、左手に酒瓶を持ち、ぐびぐびと酒を煽る剣豪であった。
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