転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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257.宴3

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「おりゃー」
掛け声と共にロジェを踏みつける盗賊に
ヴェルが飛び蹴りを放ったが、難なく躱されていた。
「ヴェル、どうしてここに?」

「アル!そこの女と話は済んだか?
突然、いなくなったから慌てたぞ。
どこかにしけ込むか、いなくなるなら
一声かけろって。心配するだろうが」
そんなこと言われた覚えもなかったが、
戦の後の高揚で自分が聞き逃したのかもしれないと思った。
「すまん、聞き逃したのかも」

「ん?言ってないけど、そんなの当たり前だろ。
ったくアルは変なところが抜けてるから、世話が焼けるよな」

「まーた、おまえらか。くだらん戯言は他所でしろ。
此処は傭兵と冒険者が集う場所だ。世間の常識は通用しない。
実力が全てだ。死にたくなければ、さっさと去れ」
リーダーの男は余程、不愉快だったのか吐き捨てるように
言うと両手の指をボキボキと鳴らした。

「キャロリーヌに手を出すな。
その薄汚い手をさっさと離せ」
誠一の言葉に周囲は喝采を上げた。
これ以上ない盛り上がりにお互い引くに引けない状況と
なってしまった。

「アルフレート君、彼等は強い」
ロジェが立ち上がり、誠一に声をかけた。

「ええ、良く分かっています。
だけど、二人にあのような狼藉を加えているのを
黙って見て入れませんでした」

「君の気持は嬉しいが、冒険者の世界は実力が全てだ。
ある程度のことは許されてしまう」
ロジェの言わんとすることは理解できたが、
感情がそれを許容できなかった。

「あなたが踏みつけられるのもキャロリーヌが凌辱されるのも
許容できることではありませんでした」

「アル君」
キャロリーヌはそれだけ言うと、頬を桜色に染めて、
誠一を見つめていた。

「こりゃあ、シエンナには悪いが、
アルを兄貴と呼ぶ時が来そうだな」
くだらないことを側でほざくヴェルの言葉を
スルーする誠一だった。

「おいおいおーい。
てめーにゃそこの使い捨てをくれてやっただろう。
それで満足しとけ。キャロリーヌはそこへ置いていけ。
でなければ、五体満足でいられるとオモウナヨ」
盗賊の脅しを撥ねつけた誠一だった。

「よっしゃーそれでこそ、アルだ!
俺の親友だ。いくぞ、アルー」
余計なことを側でほざくヴェルの言葉を
スルーする誠一だった。

「これはこれは、司祭。
神、アルデットより賜った啓示を無視する輩は、
我らがクラン『戦神に集いし英雄』の敵対勢力であることは勿論、
アルデット教の大敵でもありますな」
リーダーの男が司祭らしき人物に声をかけた。
その声は大きく、広間の隅々まで十分に届いたようであった。
周りの喧騒は、一瞬で止んだ。広間には物音一つしなかった。
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