248 / 872
250.出陣10
しおりを挟む
弓兵が破裂した。ソレの魔術が弓兵に直撃していた。
仲間の魔術師も剣士も助けに入ることはなかった。
己の命欲しさに動かなかったのだろうか。
いや、誠一には彼らが助けに入ることが
出来なかったように見えた。
ソレと戦い始めた時と比べて、明らかに
彼等の動作の俊敏さが落ちている様に見えた。
「くそったれ、いいように弄びやがって!
神だが何だか偉そうにしやがって。
てめーが品性劣悪な屑ってことは俺たちが知っている。
何が神だ、万能者だ。変態野郎が」
魔術師が戦うことを止めて、淀み始めた空に向かって、
叫び続けていた。
魔術師は突然、硬直したように直立不動の姿勢をとった。
次の瞬間、ソレより放たれた無数の石礫が魔術師に飛来した。
直撃を受けた魔術師は地に臥してしまったが、
息はまだ、あるようだった。
「アルフレート様、おやめなさい。
回復薬が無駄になるでござる」
誠一は剣豪の腕を振り払い、魔術師の元へ向かった。
「まったく、アルの奴!シエンナ、援護を頼む。
あの不気味なゴブリンを牽制する!」
ヴェルが慌てて、誠一の側へ駆け寄った。
「あーもう!私たちの実力じゃ!」
シエンナは補助魔術と防御魔術を急いで展開した。
魔術師が倒れると同時にもう一組の六人の冒険者たちが
動き始めた。
「おーい、おまえら神さんからのお達しだぞー」
場の雰囲気に合わないのんびりした口調だった。
「へいへい、リーダー。でっどうすんの?」
「魔術師は殺せとのお達しだ。
あとあの剣士の女は、俺らの自由にして良いってよ。
まっ、もう抱き飽きたからどうでもいいか。ほっとけ」
リーダーらしき男は、大剣を鞘らか引き抜くと、
地に臥す魔術師は、誠一が到着する前に真っ二つに
斬られてしまった。
「ボス、あの不気味なゴブリンを殺せば、良い訳ね?
ちょろちょろと五月蠅いのと後ろの二匹はどうするの?
少し手こずりそうだけど」
「どうでもいい。
とにかく魔人を倒した実績が欲しいみたいだ。
さっさと、片付けるぞ」
6人組の冒険者のパーティは、
リーダーの言葉で瞬時に態勢を整えた。
誠一は、呆然としている剣士の方へ向かった。
冒険者たちとゴブリンの戦いは始まっていた。
武器が、経験が、能力が、倒された冒険者たちとは、
隔絶していた。
「これを飲んでください。回復薬です」
誠一はプレーヤーより下賜された回復薬を剣士に差し出した。
「いやああー」
耳を劈くような悲鳴を上げて剣士は、
神より下賜された回復薬を振り払った。
ヴェルは驚き、シエンナは眉を顰めた。
「ひゃひゃひゃぁ。そいつはもう壊れやがるぞ。
ここまで来れたのは神のお言葉の力あってだ。
俺らは、飽きたから欲しけりゃ、やるよ」
不気味なゴブリン相手に余裕のあるパーティだった。
誠一はどう対応していいか分からずにヴェルとシエンナを見た。
仲間の魔術師も剣士も助けに入ることはなかった。
己の命欲しさに動かなかったのだろうか。
いや、誠一には彼らが助けに入ることが
出来なかったように見えた。
ソレと戦い始めた時と比べて、明らかに
彼等の動作の俊敏さが落ちている様に見えた。
「くそったれ、いいように弄びやがって!
神だが何だか偉そうにしやがって。
てめーが品性劣悪な屑ってことは俺たちが知っている。
何が神だ、万能者だ。変態野郎が」
魔術師が戦うことを止めて、淀み始めた空に向かって、
叫び続けていた。
魔術師は突然、硬直したように直立不動の姿勢をとった。
次の瞬間、ソレより放たれた無数の石礫が魔術師に飛来した。
直撃を受けた魔術師は地に臥してしまったが、
息はまだ、あるようだった。
「アルフレート様、おやめなさい。
回復薬が無駄になるでござる」
誠一は剣豪の腕を振り払い、魔術師の元へ向かった。
「まったく、アルの奴!シエンナ、援護を頼む。
あの不気味なゴブリンを牽制する!」
ヴェルが慌てて、誠一の側へ駆け寄った。
「あーもう!私たちの実力じゃ!」
シエンナは補助魔術と防御魔術を急いで展開した。
魔術師が倒れると同時にもう一組の六人の冒険者たちが
動き始めた。
「おーい、おまえら神さんからのお達しだぞー」
場の雰囲気に合わないのんびりした口調だった。
「へいへい、リーダー。でっどうすんの?」
「魔術師は殺せとのお達しだ。
あとあの剣士の女は、俺らの自由にして良いってよ。
まっ、もう抱き飽きたからどうでもいいか。ほっとけ」
リーダーらしき男は、大剣を鞘らか引き抜くと、
地に臥す魔術師は、誠一が到着する前に真っ二つに
斬られてしまった。
「ボス、あの不気味なゴブリンを殺せば、良い訳ね?
ちょろちょろと五月蠅いのと後ろの二匹はどうするの?
少し手こずりそうだけど」
「どうでもいい。
とにかく魔人を倒した実績が欲しいみたいだ。
さっさと、片付けるぞ」
6人組の冒険者のパーティは、
リーダーの言葉で瞬時に態勢を整えた。
誠一は、呆然としている剣士の方へ向かった。
冒険者たちとゴブリンの戦いは始まっていた。
武器が、経験が、能力が、倒された冒険者たちとは、
隔絶していた。
「これを飲んでください。回復薬です」
誠一はプレーヤーより下賜された回復薬を剣士に差し出した。
「いやああー」
耳を劈くような悲鳴を上げて剣士は、
神より下賜された回復薬を振り払った。
ヴェルは驚き、シエンナは眉を顰めた。
「ひゃひゃひゃぁ。そいつはもう壊れやがるぞ。
ここまで来れたのは神のお言葉の力あってだ。
俺らは、飽きたから欲しけりゃ、やるよ」
不気味なゴブリン相手に余裕のあるパーティだった。
誠一はどう対応していいか分からずにヴェルとシエンナを見た。
0
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
リケジョの知識で異世界を楽しく暮らしたい
とも
ファンタジー
私、遠藤杏奈 20歳。
某私立大学 理工学部の3年生。
そんなリケジョの卵だったんだけど、バイトに行く途中、交通事故に巻き込まれて…
…あれ、天国で目が覚めたと思ったのに、違うってどういうこと?
異世界転生?なにそれ?美味しいの?
元の世界には戻れないっていうし、どうやら転生者の先輩もいるそうだから、仕方がないので開き直って楽しく生きる方法を考えよう。
そんな杏奈がのんびりまったり、異世界ライフを楽しむお話。
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
前世は大聖女でした。今世では普通の令嬢として泣き虫騎士と幸せな結婚をしたい!
月(ユエ)/久瀬まりか
ファンタジー
伯爵令嬢アイリス・ホールデンには前世の記憶があった。ロラン王国伝説の大聖女、アデリンだった記憶が。三歳の時にそれを思い出して以来、聖女のオーラを消して生きることに全力を注いでいた。だって、聖女だとバレたら恋も出来ない一生を再び送ることになるんだもの!
一目惚れしたエドガーと婚約を取り付け、あとは来年結婚式を挙げるだけ。そんな時、魔物討伐に出発するエドガーに加護を与えたことから聖女だということがバレてしまい、、、。
今度こそキスから先を知りたいアイリスの願いは叶うのだろうか?
※第14回ファンタジー大賞エントリー中。投票、よろしくお願いいたします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる