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249.出陣9
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「逃げて!もしくは武器で攻撃して。
ソレには魔術の効き目は薄い」
誠一は叫んだ。
彼に出来る事は、ソレの正確な情報を送ることだけであった。
冒険者たちは泣きそうであった。
魔術師が補助魔術を展開すると戦士の男と剣士の女が
ソレに攻撃を加えた。
ソレは恐ろしい速度で攻撃を躱すと、
無詠唱で魔術を展開した。
戦士の男が大地より盛り上がる土に殴られ、
倒れると土に半身を取り込まれて、
真っ二つに引き裂かれてしまった。
弓兵は弓を連射するが、ソレに容易に躱されてしまった。
誠一の眼に裂けた男の死体が映った。
「一度、後方に下ってください!援護します」
剣士の女は泣いていた。そして、誠一の言葉を拒否した。
「無理です。後方に下れば、神の怒りを買ってしまいます。
頭に生じる焼かれるような痛みに耐えられません」
魔術師が補足した。
「我々は、誰よりも早くあの魔人を必ずコロスように
神より言葉を頂いた」
プレーヤーの指示を受けて能力が強化され、
補助魔術で更に強化されているが、彼等にソレを
補足することは難しそうであった。
無理だ、ソレは彼らに倒せない。
それでもそれを強要するプレーヤーの存在に怒りが
湧いていた。何が啓示だ、何が神だ、くだらな過ぎる。
「ヴェル、シエンナ、援護して。彼らを助ける」
ソレはおそらくゴブリンシャーマンの果ての姿だと
誠一は判断した。
物理攻撃は低く、強化された魔術に注意すればいい筈だ。
7面メイスを握り締めて、ソレに向かって突撃しようとした。
その瞬間、ローブが誰かに引っ張られた。
「ぐえっ、痛い」
「放っておきなさい。
彼らは、神の力を利用して、十分に甘い汁を
吸ってきたでしょう。
死んでも神は我らのことなどさして気にかけません」
剣豪だった。この男は一体何を自分に見せたいのだろうか?
ふと脳裏に疑問が湧いたが、目の前で弓兵が土に足を
取られて身動きが出来なくなっていた。
「いやしかし、啓示には逆らえない。
望まぬ戦いを強いられて死ぬなんて」
「都合の良い時だけ神の力を利用する。それこそ人の驕り。
神の全ての言葉を受け入れられなければ、
そもそもあのような力を受け入れなければいいのです」
誠一は無理だと思った。
神の力を否定すれば、恐ろしいまでの苦痛に苛まれる。
たまたま、誠一は、ファウスティノから
売って貰ったアミュレットによる苦痛の緩和と
状況が上手く合わさり、「神々への反逆者」の称号を
得ることができた。
自分は運が良かったとしか思えなかった。
「適当にあんなもはあしらっておけば、
飽きて何処かに神は去ってきます。
超越した能力と選ばれし人間などと
勘違いした者のたちのありがちな末路です」
誠一は周囲に注意を払った。
今の剣豪の言葉をこの世界の6神の教団に伝えれば、
神への背徳者として、異端審問にかけられるだろう。
誠一も聞き手として、厳しく追及されることは容易に想像できた。
ソレには魔術の効き目は薄い」
誠一は叫んだ。
彼に出来る事は、ソレの正確な情報を送ることだけであった。
冒険者たちは泣きそうであった。
魔術師が補助魔術を展開すると戦士の男と剣士の女が
ソレに攻撃を加えた。
ソレは恐ろしい速度で攻撃を躱すと、
無詠唱で魔術を展開した。
戦士の男が大地より盛り上がる土に殴られ、
倒れると土に半身を取り込まれて、
真っ二つに引き裂かれてしまった。
弓兵は弓を連射するが、ソレに容易に躱されてしまった。
誠一の眼に裂けた男の死体が映った。
「一度、後方に下ってください!援護します」
剣士の女は泣いていた。そして、誠一の言葉を拒否した。
「無理です。後方に下れば、神の怒りを買ってしまいます。
頭に生じる焼かれるような痛みに耐えられません」
魔術師が補足した。
「我々は、誰よりも早くあの魔人を必ずコロスように
神より言葉を頂いた」
プレーヤーの指示を受けて能力が強化され、
補助魔術で更に強化されているが、彼等にソレを
補足することは難しそうであった。
無理だ、ソレは彼らに倒せない。
それでもそれを強要するプレーヤーの存在に怒りが
湧いていた。何が啓示だ、何が神だ、くだらな過ぎる。
「ヴェル、シエンナ、援護して。彼らを助ける」
ソレはおそらくゴブリンシャーマンの果ての姿だと
誠一は判断した。
物理攻撃は低く、強化された魔術に注意すればいい筈だ。
7面メイスを握り締めて、ソレに向かって突撃しようとした。
その瞬間、ローブが誰かに引っ張られた。
「ぐえっ、痛い」
「放っておきなさい。
彼らは、神の力を利用して、十分に甘い汁を
吸ってきたでしょう。
死んでも神は我らのことなどさして気にかけません」
剣豪だった。この男は一体何を自分に見せたいのだろうか?
ふと脳裏に疑問が湧いたが、目の前で弓兵が土に足を
取られて身動きが出来なくなっていた。
「いやしかし、啓示には逆らえない。
望まぬ戦いを強いられて死ぬなんて」
「都合の良い時だけ神の力を利用する。それこそ人の驕り。
神の全ての言葉を受け入れられなければ、
そもそもあのような力を受け入れなければいいのです」
誠一は無理だと思った。
神の力を否定すれば、恐ろしいまでの苦痛に苛まれる。
たまたま、誠一は、ファウスティノから
売って貰ったアミュレットによる苦痛の緩和と
状況が上手く合わさり、「神々への反逆者」の称号を
得ることができた。
自分は運が良かったとしか思えなかった。
「適当にあんなもはあしらっておけば、
飽きて何処かに神は去ってきます。
超越した能力と選ばれし人間などと
勘違いした者のたちのありがちな末路です」
誠一は周囲に注意を払った。
今の剣豪の言葉をこの世界の6神の教団に伝えれば、
神への背徳者として、異端審問にかけられるだろう。
誠一も聞き手として、厳しく追及されることは容易に想像できた。
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